第18話 地下遺跡
「ちょっと、この辺りの魔物驚かせすぎじゃない」
ここの地下遺跡の魔物は、人型の魔物がほとんどだった。一見何の変哲もない兵士の石像が動きだしたり、急に壁から現れて出てくるボロボロの鎧を身についている骸骨が現れる。当然、そんな状況に遭遇すれば誰でも驚く。しかも、その魔物は意外と強いが幸いにも数は単体で現れるのでそんなに苦戦はしていなかった。
「翔太、ちょっとどいて」
「え、うぉ」
翔太が後ろを振り返ると同時にジルは矢を3発ほど矢を放ち、それを見た瞬間翔太は反射神経で横に回避する。
「あっぶねえじゃねえか」
「まあまあ、倒せたんだからいいじゃん」
「石像の魔物なのに意外と柔らかいのですね。まあ、地上の魔物に比べたら固いですけど」
ここでも上手く三人のコンビネーション?で対処していくが、魔物も一段と強くなってきており疲労も徐々に溜まっていく。
「ちょっと休むか」
そういうと翔太はもう倒れて崩れている柱に腰掛けると、続けてジルもフィースも隣に座る。
「なあその魔力が回復?するポーション、何個持ってんだ?」
ふと気になった事をフィースに聞く。それはフィースが同じようなポーションを何個も飲んでいることだった。
「このポーションは一日に最高20回飲めて、かつ日付が変わると使用回数が回復するという代物ですよ」
「え、そんなポーションあるの!」
結構な代物にジルは声を大にして驚き、翔太は目を見開く。
「それどうやって手に入れたの?」
「私が正式に魔術師になった記念に父から貰ったものです」
「親厳しいのに意外だね」
「まあ、厳しいですが、褒めるときは褒めてくれるんです。だからわたくしはここまで必死に頑張ってこれたのですから」
健気すぎて若干目が潤ってくるジルと翔太であった。少しの休憩が終わり再びこの地下遺跡から脱出を試みる三人。細い通路で翔太がうっかり罠を踏んで巨大な鉄球が転がってきたり、ジルは宝箱を見つけて開けるがそれはミミックだったりなど色んな出来事が起こった。
「なあ、この先何かあるよな」
「うん、あるよ」
翔太達が目にしたものは、決してそんなに大きくない両開きで石の扉だったが強大な紋章が彫られていた。意を決し重い扉を両手で押して開く。
「い、意外と固いな」
扉の先の部屋は円形になっており、その中央には青く錆びた鎧を装備している騎士が座り込んでいた。その近くに床に突き刺さった剣と盾が置かれている。
「妙に広い部屋だし、あれ動くよな」
「引き返すにしても、此処しかないですね」
翔太の予想通りに錆びた騎士は頭を上げこちらを認識したら、ゆっくりと立ち上がり床に刺さってた剣と盾を持ち構える。
「やっぱり動くか」
騎士は高く飛び上がり翔太に向けて剣を逆手に持ち突き刺そうとするも、間一髪にその攻撃は避ける。
「っぶな」
ジルとフィースは急いで錆びた騎士から離れそれぞれ矢と魔術で応戦するも、フィースの魔術は盾で防がれ、ジルの矢は鎧こそ刺さったものの手ごたえが無かった。
「錆びた鎧のくせに意外と身軽に動くわね」
「翔太、その騎士の注意を逸らしてください」
「分かった。できる限りのことはする」
騎士はそのまま翔太に剣を何度も振り、彼はそれを避けている。そんなに速い振りでは無いが、剣が地面に当たったところを見ると石造りの床は砕いていた。もしこの攻撃を受け続けていたら翔太の姿勢は簡単に崩せるだろう。
騎士のシールドバッシュにより翔太はよろめいてしまい、その隙に素早く彼の横腹に剣を直撃してしまう。
「っう・・・あ」
あまりの痛さに蹲る。直撃したところを手で押さえるほどに。幸いにも、剣は凄く錆びているので切れ味は無いに等しく、血は出なかった。
「フィース、翔太が落ち着くまで私たちが」
「はい」
二人で何とかして時間を稼ぐ。ジルは三人の中で俊敏少しだが高いので囮になる。そして、少しでもダメージを与えられるように狙いはせず、ただ力いっぱい弦を引き矢を放つだけ。それでも手ごたえは無かった。
「鎧には刺さってるんだけど」
「おそらくですが、錆びてるのでそんなに耐久力はないと思います」
「すまねえ、今度はもう遅れをとらない」
ここで、翔太は立ち上がり三人揃って錆びた騎士に再び戦いに挑む。一人が騎士のヘイトを買い、もう二人がその内に攻撃するというルーティンを繰り返す。これで多少の事故は減らせる。
「今度はわたくしの番です」
ジルが囮になっており、彼女の呼吸の回数が増えてきたところにフィースが魔術を撃つ。すると騎士が持っている錆びた剣が紫色に光りだし、フィースに向けて斬撃が飛び肩から脇腹に当たる。
「す、すみ、ま、せん」
フィースは膝から地面に倒れこむ。騎士はフィースに向けて走り出し上から斬りかかる。
「うおおおおおおおお」
翔太もフィースを助けに猛ダッシュし、ギリギリガードに間に合う。
「(お、重い)」
翔太が装備しているブロードソードは刃の幅が太いため、何とか折れずに済む。騎士の力が抜いたところで翔太は剣で弾く。
「翔太、フィースはポーション飲ませたから大丈夫だけど、もうないわよ」
まさに背水の陣だった。




