第17話 廃墟のロイス・エイナ
「もう、追って、来ないみたいだな」
三人は走り肩で息をするほど必死に走った。フィースはあまり体力がなく、しかも翔太に無理矢理走らせているので余計に疲れたので地面に倒れこむ。
「も、もう、朝から、無理矢理ですね」
「す、すみましぇん」
彼らはしばらくそのその場から動けずにいた。ようやく翔太やジルはまともに動けるようになるもフィースはまだ疲れが取れていない様子なので動けるようになるまで待つことにした。
「もう大丈夫です」
フィースが大丈夫って言ったので三人は廃墟のロイス・エイナに目指して旅を続ける。ここら辺の雑木林を抜けると人の気配が無く、家が植物に浸食されている都に着く。そう、ここが廃墟になったロイス・エイナだった。
「・・・すごいわね」
言葉にならないほどの光景を彼らは見る。この国が栄えたのは数百年も前の話なのに、現在の王都アルカナより技術力が上だという事を廃墟になっても分かる。
「今でもたまに、宝探しをするために行く人がいるみたいです。ここで取れる魔術のスクロールや武器はそこら辺のお宝より価値があるので。でも、人がいない反面魔物も沢山住み着いていると聞いたので油断せず行きましょう」
三人は手に汗握りながら、廃墟の国を探索する。フィースが言った通りに空き家に住み着いている魔物も少なくなかった。
「気を付けてください。その魔物はホブゴブリンと言い、ゴブリンの上位種です」
翔太はホブゴブリンのパンチを防御する。
「ちょっと、大丈夫」
「へっ、このパンチ、この前戦った奴の突進に比べればかわいいぜ」
ジルはホブゴブリンの目に向けて矢を撃ち、膝をついた後に翔太は胸に剣を突き刺しすぐに離れる。もうヤケになったのかその魔物ははその場を暴れまくる。
「翔太、ジル、少し離れてください。魔術<旋風>」
ホブゴブリンを中心に激しいつむじ風が起こり、そのまま天高く魔物は飛んで真っ逆さまに落下した。落下の衝撃でとどめを刺す。
その調子で三人は魔物と戦いながら辺りをうろつく。その一方の翔太は頭の片隅に置いていた城の存在が気になり始める。
「(あの中にきっと…)」
「お宝なんてないじゃない」
「まあまあ、もう数百年も前ですので」
しばらくの間探索をすると、人骨が数多く見かけるようになる。
「不気味だな」
「そうですね、古いものから綺麗なものまで」
「ねえ、ちょっと嫌な予感がするんですけど」
三人に緊張が走る。これほどの強い魔物がいると考えると帰りたくなるが、翔太は使命の手がかりの一つも見つかっていない状況なのでまだ帰りたくなかった。
「ねえ、翔太とフィース。あれ」
ジルが指を指した方向を見てみると、王都アルカナの城よりも大きい建物がある。
「もしかしなくてもこの国の城ですね」
周りの建物は植物に浸食されたり崩れたりと原型をとどめていないものがほとんどだったが、その城はまるで、中に人がいるかのように綺麗だった。早速三人は城の中に入ろうとするも城門がとても固く閉ざされていた。
「ダメだ、ビクともしない」
「ちょっとこれ見てよ」
ジルが再び何かを見つける。そこには薄く小さな文字が彫られていた。
-強い力を求めよ-
「力とは何でしょう」
フィースが首を傾げる一方で、翔太は心当たりがあった。エルフの里の村長が言うに翔太は何かしらの不思議な力を持っている事を知らされるが、それはまだ未完成だと言われる。どうやって完成するかはまだ分からないものの、一つだけでも手掛かりが見つけた事は翔太にとって大きかった。
「少し休憩してもう一回この辺りを調べるか」
「そうだね腹減ったし」
城門を少し離れたところで後ろからとても大きい咆哮が聞こえる。三人は慌てて両耳を手で塞ぐが、塞いでもその大きな咆哮は頭に響く。まさかと思いそれが聞こえた方向は目にしたら三人の顔は青ざめる。それはこの旅の道中で出会ったドラゴンと願ってもないのに出会ってしまう。
「なんでここにあのドラゴンがいるんだよ」
「知らないわよ」
「落ち着いてください。今回も見逃してくれると信じましょう」
襲わないでくれ、とは願ったものの残念ながらそのドラゴンは翔太達に向けて攻撃を仕掛ける。
「あぶない、二人とも全力で走れ」
そう言った時はもう遅かった。そのドラゴンが口から放った大きい火球が翔太達には直撃しなかったものの、着弾した爆発によって彼らの立っている場所が崩れ落ちる。
「お、お、重い」
翔太は何とか崖際に捕まるも翔太の足にはジルが、ジルの足にフィースが捕まっていた。
「頑張って翔太」
「この状況でどうしろ・・・って、あ」
翔太が捕まったところが崩れ三人は穴に落ちてしまう。誰もが死という言葉が思い浮かぶが、幸いにもその下にあったものは地底湖だったので三人共無事に済む。
「な、何とか助かりましたね」
「何よあのドラゴン、最初会ったときは襲わなかったくせに」
「なんかあの城を守る存在なんですかね」
「今はそんなことはいいとして、地上に出る道を探さないと」
地底湖から上がり地上に出る道を探すことにする。地下は暗く三人共松明の代わりなど持っていなかったが、フィースが<魔術 照明>を詠唱したことにより光の玉がその人の頭の上に留まる。
「これで明るくなりました」
「便利だな」
「これで宝が見つけやすくなるね」
「お前そればっかだな」
フィースを中心に周りが明るくなり、翔太とジルはフィースに離れないように地下遺跡を探索する。




