第12話 3人目
ジャイアントマイマイを討伐した後、翔太とジルは途中助けた謎の少年フィースと一緒にアルカナに帰る。空は真っ赤な美しい夕焼けが周りの草原をより一層美しくなる。そんな帰り道で三人の話し声が聞こえる。
「なあ、フィースって王都出身の人」
「はい。生まれも育ちもアルカナです。御二人は何をなされているのですか」
「私たちはまだまだ旅立ってから日は浅いけど旅人だよ。ね、翔太」
ジルは笑顔で翔太の方を向く。翔太は少し顔を真っ赤にする。
「羨ましいです。わたくしの家系ではマナーや勉学にとても厳しいのであまり外に出た事ないのです。そのため王都外に憧れを持っているのです」
言い方としては楽しそうに言っているが、翔太はフィースのそこはかとなく悲しい雰囲気を感じる。身だしなみも小奇麗にしており、もしかして彼は偉い立場の息子なのかと考える。とりあえず翔太はフィースに直接聞いてみることにした。
「フィースって君、偉い立場の人なのか?」
そう彼が言った瞬間にフィースは少し固まる。
「い、いえ、違いますよ。ただ父上と母上が厳しいだけですから」
「その生活って息が詰まりそう。私だったら絶対抜け出すよ」
「フィースがどんな人でも僕たちは友達だよ」
「そうだよ、フィース」
その言葉を聞いた途端にフィースは笑顔になる。そんな会話をしている内に三人は王都に着く。王都の門を通った時フィースは急に走り出し振り向きだす。
「またお会いできるのでしょうか」
「出来るよいつか」
「またいつでも会いに来てね」
フィースは走って家に帰る。ジルと翔太はギルドに向かい報酬を受け取りに行く。
「はい、ジャイアントマイマイ討伐ありがとうございます。ジャイアントマイマイの魔石900エイナに報酬で2500エイナ、計3400エイナになります」
「思ったより報酬金が手に入ったよ。お金の重さってつい笑みがこぼれるよね」
そう言っている翔太の口角は少し上がっていた。ついそれにはジルも苦笑い。
「フィースと違って翔太は心が汚れてるわね」
「うるせえ。あんなに純粋な人僕初めて会ったわ」
翔太は生前、友達は多い方ではないがそれなりに楽しく過ごしてきたが、こんな純粋な人とは翔太のいた世界でもそうそういないタイプの人であり、どうやって接していけばいいかと戸惑う翔太だった。
「(コミュニケーション能力があればなあ)」
自身のコミュニケーション能力の無さに呪うも、考えても仕方ないので次会ったときに自然に接すればいっかと結論付く。
「さて、ここで一泊だね」
「二人で1400エイナでございます」
二人は宿に泊まる。
~翌日~
「よーし、今日も頑張っていきましょう」
「朝から元気だね」
朝にも関わらずロビーで大声を出すジルを横目にあくびをイアントマイマイを討伐した後、翔太とジルは途中助けた謎の少年フィースと一緒にアルカナに帰る。空は真っ赤な美しい夕焼けが周りの草原をより一層美しくなる。そんな帰り道で三人の話し声が聞こえる。
「なあ、フィースって王都出身の人」
「はい。生まれも育ちもアルカナです。御二人は何をなされているのですか」
「私たちはまだまだ旅立ってから日は浅いけど旅人だよ。ね、翔太」
ジルは笑顔で翔太の方を向く。翔太は少し顔を真っ赤にする。
「羨ましいです。わたくしの家系ではマナーや勉学にとても厳しいのであまり外に出た事ないのです。そのため王都外に憧れを持っているのです」
言い方としては楽しそうに言っているが、翔太はフィースのそこはかとなく悲しい雰囲気を感じる。身だしなみも小奇麗にしており、もしかして彼は偉い立場の息子なのかと考える。とりあえず翔太はフィースに直接聞いてみることにした。
「フィースって君、偉い立場の人なのか?」
そう彼が言った瞬間にフィースは少し固まる。
「い、いえ、違いますよ。ただ父上と母上が厳しいだけですから」
「その生活って息が詰まりそう。私だったら絶対抜け出すよ」
「フィースがどんな人でも僕たちは友達だよ」
「そうだよ、フィース」
その言葉を聞いた途端にフィースは笑顔になる。そんな会話をしている内に三人は王都に着き、一緒に依頼の報酬を受ける。
「またお会いできるのでしょうか」
「出来るよいつか」
「またいつでも会いに来てね」
フィースは走って家に帰る。
「はい、ジャイアントマイマイ討伐ありがとうございます。ジャイアントマイマイの魔石900エイナに報酬で2500エイナ、計3400エイナになります。フィース様は薬草の採取依頼報酬として1100エイナになります。」
報酬を受け取りギルドから出る。フィースは急に二人の目の前に立つ。
「またお会いできるのでしょうか」
「出来るよいつか」
「またいつでも会いに来てね」
フィースは走って家に帰る。翔太とジルはフィースが見えなくなるまで彼を見る。
「何だろう、あんなに純粋な人僕初めて会ったわ」
「いいじゃないの、また一緒に行動したいわね」
翔太は生前、友達は多い方ではないがそれなりに楽しく過ごしてきたが、こんな純粋な人とは翔太のいた世界でもそうそういないタイプの人であり、どうやって接していけばいいかと戸惑う翔太だった。
「(コミュニケーション能力があればなあ)」
自身のコミュニケーション能力の無さに呪うも、考えても仕方ないので次会ったときに自然に接すればいっかと結論付く。
「さて、ここで一泊だね」
「二人で1400エイナでございます」
二人は宿に泊まる。
~翌日~
「よーし、今日も頑張っていきましょう」
「朝から元気だね」
朝にも関わらずロビーで大声を出すジルにまだ眠そうにしている翔太。宿に出るとこれから働く人がゾロゾロと人がたくさん移動している。自分も頑張らなきゃと思い背を伸ばし目をこする。
「さて、これからどうしましょうか。また依頼でもする?」
「ごめんけど僕は調べたいことがあるから、依頼なら一人でやって」
「え~、何でよ」
ジルは頬を膨らませて翔太を睨む。翔太は考える、この王都は広いのでもしかしたら<ロイス・エイナ>や翔太が持っている<特別な力>の手がかりが分かるかもしれないという単純な考えであった。その事を彼女に伝える。
「分かったわ、私は頑張って稼ぐからお互い頑張ろう」
「ありがとう。今度何か奢るよ」
ジルは依頼をしに、翔太は情報を探しにそれぞれ別行動をとる。
「さてと、図書館みたいな施設があればいいけど」
とりあえず、書物がたくさん置かれている所を探す。途中で人に聞きながらもなんとか図書館みたいな場所に付き中に入るも、中は書物が所狭しと置かれていることにギョッとする。
「はぁ~、探すしかないか」
色々置かれている本を途中で頭がパンクしそうになりながらもペラペラと読む。幸運なことにもこの世界で使われている文字は日本語と変わらない文字だった。そして時間が掛かるもロイス・エイナの国の情報が書かれている本を見つける。
「えーっとなになに、いつからか存在したか分からないが滅んだのは今から800年前から、そしてなぜ滅んだのか理由も分からなく恐らく王が失踪したことが原因であることに違いない。そして、なぜ側近の騎士アイズもいなくなったのか、世界各国の歴史学者が廃墟となったロイス・エイナで一丸となって調査するも何も手掛かりなし。か」
「(やばい、頭が痛くなってきたような感じがする)」
翔太はあまりにも情報が多すぎて混乱しそうになりながらも読むが、どれもこれも全部曖昧な情報ばりだった。しかし、この本の最後の一文にこう書かれてあった。
‐ロイス・エイナ城は固く閉ざされているが、きっと中には歴史の謎を紐解く情報がある‐
「今も廃墟として存在するのか、これは行ってみるしかないな」
次の旅の目的地は決まった。そこは廃墟となったロイス・エイナであり、今度こそ確証のある情報があると信じて。翔太は図書館をでると赤い髪をした人がこっちに走って来る。
「翔太様奇遇ですね、こんなところで出会うなんて。もしかして勉強しですか?」
「えーっとまあ、そんな感じだよ。ちょっとロイス・エイナという国を調べてた。君も勉強かな?」
「はい、魔術の勉強をしようと思いまして」
「すげーな魔術なんて。後、顔が近いよ」
フィースと翔太の距離はとても近く翔太は少し圧に押されながらも答える。それと中性的な顔立ちなので男女分からないことも圧に押される理由の一つでもあった。
「あ、すみません、わたくしのしたことが。その国がどうされたんですか」
フィース顔を近づいた事に謝り何故調べたのかを聞く。
「僕たちは訳ありの旅人なんでね、行こうと思ってるんだ。今や廃墟となったロイス・エイナを」
「もしよろしければ、わたくしも一緒に連れて行ってください」
「・・・は?」
一瞬言葉の意味を分からなくなってしまったが、意味を理解した時開いた口が閉じれなくなった翔太であった。