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第11話 初めての依頼

 「はい、もう着きましたよ」


 馬車は王都の中央で止まった。


 「あ、あり・・・がとう・・・ございます」


 翔太とジルは必死に馬車にある物に掴んでいたので息切れをしていた。時間にしては三十秒近くだったが、その時間は永遠に続くんじゃないかってほど長く感じた。


 「ある意味、今まで一番怖かったかもしれない」


 「同感だ」


 青ざめた顔でジルは言い、それに翔太は同感する。でも、予定よりも早く王都に着いたので見回ろうとする。


 「さあ、思ったよりも早く着いたことだし少し散策しない」


 「もうちょっと休ませてよ」


 ジルはまだ疲れがとれてない様子。すると二人の前に団長イグルスが現れる。


 「私はこれで、仕事があるので城に戻るよ。君たちの旅のご武運を」


 「何かあったら私たちに相談して」


 「「ありがとうございます」」


 イグルスはお辞儀をして立ち去る。マリアも言葉はしないが会釈をして彼の後を追う。


 「優しい人たちだったな」


 「そうね。さて、体力も回復したしここら辺を観光しましょうよ」


 ジルは翔太の手を引っ張り楽しそうに歩く。ジルは目を光らせており、まるで初めてエルフの里に入った翔太のように。


 「何かすっげー楽しそうだな」


 「だって都会だよ。私こう見えて都会に憧れてたんだ」


 そう言われて翔太は周りをみてみると、そこには人間以外の種族もたくさんいた。人間、耳が長いエルフ、人型を獣の外見を持つ獣人など様々な種族がこの王都で営みをしている。


 「すっげーな、なんか楽しくなってきた」


 ゆっくりと口角が上がり笑顔になり、自分の世界には無かったものがこの世界にあると思うと無駄に冒険心が高鳴る。


 (ぐぅ~~)


 誰かの腹が鳴っている。音がした所へ見てみると顔を真っ赤にしながらお腹を押さえているジルの姿があった。


 「と、とりあえず何か食べようよ」


 「そうだね、何か食べようか」


 ちょうど近くにあったレストランに入る。昼時なのか客はたくさんいて席全体のの八割近くは埋まっている。二人は空いている席に座り料理を注文しこれからのことを話す。


 「これからどうする翔太?」


 「今のところはお金はあんまりないしなあ。魔物を狩りながら情報収集したいね。この世界の歴史や地理を一通り頭に入れておきたい。ロイス・エイナという国の手がかりが欲しいところだね」


 「そっか~。現状翔太の使命がどういうものが分からないのよね。」


 「まずお金なんだよなあ」


 翔太はお金のことに悩んでいる時に後ろの席の人が急に話しかけてきた。


 「なんや、お前らお金が無いんか」


 「え、あ、はい」


 「そういう事ならギルドで<依頼>というものを受けたらいいぜ。成功報酬でお金がもらえるしな」


 「情報ありがとうございます」


 情報料として50エイナを後ろの人に渡す。魔物から取れる魔石を売ること以外で稼ぎがあるのを知った事は二人は、出された料理を食べた後ギルドに向かうことにした。


 「えーっと、ここがギルドだね」


 「よーし、入るよ翔太」


 「ちょっと待って」


 ジルが勢いよくギルドに入りそれに続き翔太も入る。中には受付や掲示板、たくさんの机と椅子がある。二人は受付に行き説明を受けに行く。


 「あのーすいません。<依頼>というものを受けたいのですが」


 「御二人はハンター登録をしましたか?」


 「ジルってこういうの登録してる?僕はしてない」


 「私もしてないよ。里にはギルドなかったし」


 「では御二人とも登録します。登録料を100エイナほどお支払いください」


 受付嬢に従いお金を支払った後、受付嬢はジルと翔太に鉄のドッグタグを渡す。


 「翔太さんとジルさんですね。これでいつでも向こうの掲示板にある依頼書で<依頼>を受けることができます。御二人は今ランク☆1なので☆1の<依頼>しか受けれないので注意してください。」


 「「ありがとうございます」」


 二人は礼を言い<依頼>を受けることにした。その依頼書には、討伐する魔物の絵が描かれておりその内容には、近くの湖(カリーナ湖)に生息しているジャイアントマイマイ3体を討伐する依頼。推奨レベルは6だったのでちょうどいいと決めたからだ。


 「では、今から出発するわね」


 「そこの御二方、近くのカリーナ湖に行かれるのでしたら少しお話が」


 ジルが今から出発と意気込んでいる時、受付嬢に呼び止められる。翔太は何だろうと、ジルは仕方ないという気持ちで再度受付に行く。


 「朝、採取依頼をされた方が今だに帰ってきませんので様子をみてくれませんか?ちょうどその場所がカリーナ湖だったので」


 「その位でしたら大丈夫ですよ」


 同じ場所だったのでついで感覚にそのお願いを受けることにした翔太とジルは再度気を取り直してカリーナ湖に向かう。


 歩いて30分後カリーナ湖に着く。それはとても綺麗で広く向こう側には森があるが、僕たちの目的はジャイアントマイマイの討伐と人探しだ。それらを探すために翔太とジルは湖の周りを歩く。するとどこからか声がする。


 「おーい、そこに人がいるなら助けてくれぬか」


 「翔太」


 「分かってる、早く助けよう」


 ジルと翔太は声のする方へ駆けつける。その声は目の前にある岩場から聞こえており、大きな岩を避けて裏側に行くと人の腰ぐらいあるカタツムリみたいなモンスター三体、その魔物に囲まれているローブを被った人がいた。そうその魔物は依頼に描かれていたジャイアントマイマイなのだ。


 「ジル、援護お願い」


 「分かったわ」


 ジルはその場にとどまり弓を構え、翔太はなんとか注意をこちらに促そうと2体ほど後ろから攻撃する。運よく二人は魔物をおびき寄せることに成功する。さらにカタツムリなので動きが遅いので多少の猶予はある。


 「火矢を使ってみよう、ヌメヌメで火が消えるかもだけど」


 ジルはここで初めて火矢を使う。弓に火矢を番えた途端、鏃に大きな炎が付き冷静に二つの触角の間を狙う。すると、ジャイアントマイマイは苦しいのかその場で暴れる。ジルはこれはチャンスだと思い、連続で火矢を放つ。動きが止まったのを確認し翔太のところへ行く。


 「火矢は強かったけど、炎のせいで見え辛いのが玉に瑕ね」


 一方の翔太では二匹を相手していた。玉に少し飛んでこっちに向かってくることはあるが、それを冷静に避けるほど翔太は成長しているが、ジャイアントマイマイと戦っている彼の顔は少し青ざめている。


 「(うわー近づきたくねえ、気持ち悪いなこの魔物)」


 どうやら翔太はこういう類の生き物は苦手なのだ。蝶々やカマキリ、カブトムシなどは平気だがゴキブリや蜘蛛、毛虫などの見た目が気持ち悪い虫は大の苦手なのだ。


 「クソ、これでもくらえ」


 気持ち悪いのを我慢し、一匹のジャイアントマイマイの懐に飛び込み頭に装備しているブロードソードを突き刺す。そして、尻尾までに勢いよく切り裂いたらジャイアントマイマイは動かなくなった。


 「そうだった。まだもう一匹いたわ」


 気持ちが晴れないまま再度武器を構える。ふと、自分には極意を覚えたことを思い出した。


 「確か、<毒の息吹>だっけ」


 すると、左手に何か左手に集まったような違和感を覚える。見てみると翔太の左手には緑色をした霧が集まっていた。


 「うわ、なにこれ」


 翔太は驚き左手に纏った霧を振り払おうと前に腕を振るったら、なんと目の前に毒々しい霧が広がっていた。その毒の霧の中にジャイアントマイマイおり、何か苦しそうにしていた。


 「今が攻撃する良い機会だけど、僕は入っても影響ないのかな」


 そう戸惑っているうちに横から火矢が連続で飛んできてジャイアントマイマイを仕留める。


 「ありがとうジル」


 「誰もあの中には入りたがらないよね」


 彼女はなぜ自分が攻撃しないのかという理由が彼女には分かっていた。気づいたら毒の霧が無くなっており、二人は怪我をしている人に近づく。


 「この人足怪我してるわね」


 「あ、ポーション<小>ならあるよ」


 翔太はポーション<小>を怪我した人に渡す


 「ありがとうございます。ちょっと周りの景色を見ようと岩に上ろうとしたら足が滑ってそのまま落ちて足を怪我して立ち上がれなくなった上に、気付いたらジャイアントマイマイに囲まれるという不運にあなたたちが助けてくれました」


 丁寧な言葉遣いとお辞儀でジルと翔太はつい謙虚になる。その人は顔を上げた後頭に被っていたローブを下げた。見た目は男とも女ともいえる中性的な顔立ちと赤髪をしており見たところ翔太と同じ年をしている。


 「わたくしの名前は、えーっと、あ、フィースと申します。以後よろしく」


 その少年はフィースと名乗った。


 


地味に投稿が長くなりました。

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