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第8話

 次の日、早朝、俺は姿見を通って異世界に行った。

 デニムのジーンズとジャンパーという格好だ。

 これでノースリーブだったら『ワイルドだろ?』という芸人みたいだと思ったら、父親に言わせると「昔、池袋駅で偽造テレフォンカードを売っていたイラン人みたいな格好だ」との事だ。

 それ以来、このデニムのジャンパーは封印していた。

 だけど、何かで読んだ事がある。

 『デニムは丈夫で燃えにくい。怪我や火傷の防止になるから作業着としても利用されている』との事だ。

 デニムでなければ化学繊維の服が多い。

 火の魔法もあるだろう。

 火を吐くモンスターもいるかも知れない。

 化学繊維の服を着るのは愚作だろう。

 どうせ異世界人には『変な格好』と言われるのだ。

 だったら『イランルック』でも全く問題はない。

 「俺が生まれ育ったところではこれが普通の格好だ」とでも言えば良い。

 熱い日本に対する風評被害だが、そんな事を言っていてもどうせ他の日本人にはバレないんだから良いだろう。

 靴はバイト先で支給された安全靴だ。

 モンスターがどれくらいの重さなのか、どれくらいの衝撃が爪先にかかるのかはわからない。

 でもこの重機に踏まれても足が粉々にならない靴を履いておけば、少しは防御になるんじゃなかろうか?。

 

 格好に関してはこんなもんだ。

 装備は冒険者として稼げるようになったら、買い足していこう。

 「格好が変だ」と言われても「遠くの国から来た。地元では珍しくもない格好だ」と言えば問題ないだろう。

 「イラン人みたい」と言う地球通の異世界人などいる訳がない。


 そして眼鏡を外し、小屋へ置いていく。

 必要ないし、してると頭が痛くなる・・・だったら、外しておいた方が良いだろう。


 取り敢えず『冒険者ギルド』へ行こう。

 職業適正とかを冒険者ギルドで見るんだろうか?。


 日記にはコミュニケーションについて少ししか書かれていなかった。

 最も不安な部分の一つであるにも関わらず・・・だ。


 『言葉は通じるんだろうか?』

 『文字はわかるんだろうか?』

 『何か知らず知らずに失礼な事をしちゃうんじゃないか?』

 『何か知らず知らずに犯罪行為をしちゃうんじゃないか?』

 『何か知らず知らずに失礼な事を言っちゃうんじゃないか?』

 『「世間知らず」と思われるのはしょうがない。だが「こんなに知らないのは怪しい」と思われるんじゃないか?』


 日記には「言葉は通じる。この世界の神のような存在の力によって、翻訳されているようだ」と書かれていた。

 「翻訳されて互いの頭の中に意味が通じているが、異世界の言語体系は日本語とは異なっており、文字で意志疎通をしようとした場合、異世界の言葉と文字を覚えなくてはならない」

 つまり言葉は通じるけど『文字は書けない』という態度をとらなくてはならない。

 異世界の識字率は低く『文字が書けない』と言っても別に怪しまれないそうだ。

 取り敢えず、小屋を出て冒険者ギルドへ行こう。 

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