八話 電気は回復!元気は・・・
やはりなかなか旅に出ないキャラクター達。
鳥飼の“実家”に到着した。
先程まで、鳥飼の自宅マンションで準備をして、実家に置いてあるキャンプグッズも持って行けそうな物は、持って行く事になった。
「太郎君 車で待ってるのも退屈だろうから、一緒においでよ」
と、鳥飼。
「は、はぁ……」
確かに車に乗って待ってるのも退屈なので、胡桃は素直に従う。
ガチャ……
「ただいまぁ〜」
玄関を開けて中に声を掛ける鳥飼。
「おかえりなさい。あれ?男性と一緒!?えっ?恋人?えっ?年下よね?えっ!?」
鳥飼の母親らしき人物が、胡桃を見て驚いている。
「ちっ!違うわよ!会社の後輩よ!」
顔を真っ赤に染めて、精一杯 否定をする鳥飼。
「は、初めまして。胡桃と申します」
と、頭を下げて挨拶をする胡桃。
「初めまして」
そう挨拶を返す鳥飼の母親らしき人物。
「太郎君 私の母です。で、こちらは会社の後輩の胡桃 太郎君よ」
母親と胡桃の双方に、互いを紹介する鳥飼。
「そうなの?素敵な男性ね。うちのちえみと仲良くして下さいね」
と、胡桃に言う鳥飼の母親。
「あ、いえ、鳥飼先輩には、色々とお世話になっています」
そう返事をする胡桃。
「あ、うちに最近 全く使わなくなったキャンプ用品が有るよね?それが欲しいんだけど……」
と、母親に伝える鳥飼。
「あんた そんなもん何に使うの?」
怪訝な顔をして聞く鳥飼の母親。
「仕事で使うかも知れんのよ。今 ずっと停電しているでしょう?そんなのの調査よ」
と、ザックリと説明する鳥飼。
「はあ?そんな仕事じゃなかったんじゃないの?転職したの?」
と凄く不思議に思う鳥飼母。
「えっとね。今 県からそんな仕事を委託されたのよ!もう!説明が難しいのよ!」
と、キレてしまった鳥飼。
「まあ……良いけどね……」
と、納得いかない様子の鳥飼母。
「さて、こんなものかな?」
「そうですね。これで少しでも楽になると良いですね」
実家の倉庫にしまってあったキャンプ用品を探し出して、使えそうな物を車に積んだ鳥飼と胡桃
「行くの?そう、仕事を頑張るんだよ」
と、鳥飼母が見送ってくれた。
「うん。頑張るね」
と、鳥飼。
「お世話になりました」
と、挨拶する胡桃
「あれ?ちえみ姉ちゃん?」
と、鳥飼に声を掛けてくる女性。
「あ、日奈子ちゃん?」
と、鳥飼。
「ちえみ姉ちゃん 帰ってたんだ?彼氏?」
と、質問する日奈子と呼ばれた女性。
「違うわよ。用事が有って、会社の後輩と来たのよ」
鳥飼は顔を真っ赤にして答える。
「そうなんだ?もう帰るん?」
と、日奈子。
「うん。じゃあね」
と、鳥飼。
「失礼します」
と、胡桃
鳥飼の車に乗ってから、胡桃が鳥飼に
「きれいな方でしたね。妹さんですか?」
と聞く。
「そうでしょう!?きれいでしょう!?妹じゃなくて、従姉妹なんだけどね。ここらじゃ有名な美人なんよ」
と、説明する鳥飼。
「じゃあ、行くよ」
そして、そそくさと車を発進させる。
鳥飼の車で胡桃の借り上げの寮の近くまで着いた。
「実はね。私 この近くの高校に通ってたのよ」
ニトリの近くの胡桃の自宅に向かう途中、そんな話をする鳥飼。
「へー そうなんですか?じゃあこの辺りはよく知っているんですね?」
と、胡桃。
「そうね。でも、高校に通ってた頃とは、かなり変わってるからね。ニトリも無かったし……」
と、答える鳥飼。
そんな話をしながら胡桃の自宅に到着。
「下着とか着替えと……そんなに持って行く物って無いですよね?」
と、胡桃
「そっ!そうね!」
そんな胡桃の下着を見て、顔を赤くさせて答える鳥飼。
「じゃあ……こんなもんかなぁ……」
と、出る準備を済ませる胡桃。
「それじゃ行きましょうか?」
と、鳥飼。
胡桃の荷物も鳥飼の車に積んで、会社を目指す。
「あれ??あっ?!もしかして、電気が回復した!?」
と、移動中の車内から外を眺めていた胡桃が驚きの声をあげた。
「えっ!?そうなの!?」
驚く鳥飼。
「はい!道沿いの店舗内が明るくなっています!」
そう鳥飼に伝える胡桃。
「あーーーーーっ!!本当だ!!」
鳥飼も店内の様子に気が付く。
「これで便利になるね!」
と、鳥飼。
「携帯電話の通信は……どうなんでしょう?」
と、スマホの電源を入れながら呟く胡桃
「・・・ あー・・・ まだですね・・・」
落胆する胡桃。
「でも、この状況じゃ通信が回復しても、インターネットは使えないだろうから……」
と、胡桃を慰める鳥飼。
「ですよね……」
と、胡桃。
そんなやり取りを車内でしている間に、会社に着いた。
会社の外では、稲葉社長と犬飼が待っていた。
「おっ?来たな。そのまま車二台で県庁に行こうか」
と、稲葉。
「解りました」
鳥飼が応える。
「なあ、電気が回復したのは気が付いとる?」
と、犬飼。
「あ、はい。さっき移動中に気が付きました。ね?鳥飼先輩?」
と、応じる胡桃。
「ね?ビックリしたよね。まだかと思ってたから……」
と、鳥飼。
「でも、これで調査が少ししやすくなりますね」
と、胡桃。
「さて、行こうか」
稲葉が言う。
この後 岡山県、いや吉備国の地域が、大騒ぎになる。