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攻略のために出会うべき人物

バーから出て徒歩15分歩く。

その途中でふと左手につけている時計を見る。


「1時45分…」

そういえば、あの世界にいる時間って…

バーに行き、あの世界に行って、またバーに戻って来てからの帰路。

バーにいた時間が合計で1時間くらいだから…

1時にバーを訪れたのだから、経っている時間は45分。

ってことは、バーにいた時間しか経過していないこととなる。

「あっちの世界の時間はこっちには影響していないんだ…。」


何か、倍の人生を送っている気分。

『わたし』と『私』を生きているんだから当然と言えば当然なような…

でも、あちらの時間はどんな風に進むんだろう?

次に行った時にちゃんと見ておかないと。


考えているうちに部屋に着く。

昨日出してきた懐かしいゲームを再度つける。

えっと、ステータスを見るためには…

コントローラーを操作しながら、画面を動かしていく。

自分の部屋では見る事ができないんだっけ…?

いや、確か…

部屋の窓際にあるコンピューターに近づく。

そこにはその日仕入れた情報が映し出されている。

「そうか、ここでも自分のステータスと親密度、好感度も知れるんだ。ってことは自分の部屋に戻った時にオルフェ様のをみればいいってことよね。」

でも、これじゃライバルのエリザのステータスは知る事ができない。

「オルフェ様との仲もわからないし…どこかで知る方法ってなかったっけ?」

うーんと考えているが思い出せない。

「にしても、現実でもこのステータスとかがわかれば楽なのに…。」

不意に言葉にしてしまう願望。

「まぁ、現実には選択肢もないんだけどね…」


ってあれ?

あっちの世界でオルフェ様と話した時にそんな選択肢なんてなかった…

普通に会話をしていた。

あの時はそんな分岐はなかったから?

ううん、イベントが発生している以上選択肢はゲームの中にはあったはず。

じゃあ、選択肢がなくなっている。


「えっ?どういうこと…?」


生きている世界には選択肢がないから…?


心臓が大きく跳ねる。

そこから鼓動が早くなる。


選択肢がないのであれば、あの世界でわたしはどのくらいのステータスと親密度と好感度があるの?

そもそもそれは調べる事ができるの?


自室以外で、知る事ができる場所はたしか…

ドキドキうるさい鼓動と戦いながら、屋敷からでて学校、図書館、食堂、森の湖、花畑に丘、公園…

違う。もっと正確な数字がわかるところ…

誰かに聞いたような気がする。

確か、サブキャラの一人。

予言者のルナ。

でもそのキャラに会える日は決まっていて…

確か日の曜日だったはず…


スキップ機能をつかって日の曜日まで時間を進める。

そこから学校の裏にある、森に行く。

日の曜日だけその森に行くと普段とは流れる音楽が変わる。


いた。


黒いマントをすっぽりとかぶった人。

声をかけると振り返る。

『あの、ルナさん…?』

『ああ、貴女でしたか。今日はどうしました?』

にっこり微笑んでくれる。

そうだ、この挨拶への返答もキャラとの親密度の高さによって変わる。

このゲームをやりこんでいたわたしは、もちろんサブキャラとも親密度は高くしている。

『あの…ルナさんに今日もお聞きしたくて。』

『はい。』

『オルフェ様との親密度を教えて欲しいんです。』

『オルフェ様と貴女の…?ええ、お望みとあらば…』

瞳を瞑り、わたしの頭に指を置く。

『オルフェ様との親密度は100%。』

そう、ここで聞く事ができる。

100%ということは、エリザとオルフェ様が結ばれる可能性はゼロということだ。

『本当?嬉しい。ありがとう、ルナさん。』

にっこり笑って、ルナにお礼をいい、森から去ろうとするヒロイン。

『あっ…今日の夜、貴女にとってとても素敵な事が起こるみたい。楽しんで。』

立ち去る際にそう教えてくれるルナ。

『素敵なこと?楽しみ。ありがとうございます。』


ああ、そうここにくれば彼に会って知る事ができる。


明日、さっそく行ってみないと…

そして確かめよう。あの世界の私がどうなっていくのか。


少しだけ治まった鼓動と共にわたしは急激な眠気に襲われてそのまま目を閉じる。

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