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29話

「グローリアスさん」

「イツキ君か、女性たちは見つかったか?」

「いえ、もうめんどくさくなったんで探すの止めました」

「そ、そうか」


 高級そうな宿の中、グローリアスさんが何かの資料を読んでいた。


「……『竜王』が呼んでます」

「バハムートが……?何故だ?」

「なんか、『話の詳細を聞こうではないか』って言ってましたよ」


 室内の椅子に腰掛け、グローリアスさんと向かい合う。


「……イツキ君が、何かしてくれたのか?」

「まさか、そんなわけないでしょ」

「だが―――」

「じゃあグローリアスさんは、俺が人のために行動すると思いますか?」


 俺の質問に、グローリアスさんが返答に困っている。

 ……いや、そこは嘘でも『イツキ君は人のために行動すると思うぞ』とか言ってほしかったな!まあ別にいいけど!


「そうか……何があったかわからないが、『竜王』に会ってくるとしよう」


 そう言ってグローリアスさんが立ち上がり、宿を出ていった。


「……サリスはどこ行ったんだろ」

「え?……あっ」


 ……3人の捜索、プラスでサリスの捜索か。


―――――――――――――――――――――――――


「……おかしいな」

「何がですか?」

「んや、サリスが空を飛んでランゼ達を探してるんなら、こっちからも見つけやすいって思ってたんだけど」


 空を人間が飛び回ってたら、嫌でも目立つだろうし。

 でも……上空にサリスの姿は見当たらない。

 って事は……


「ランゼたちと合流したって事か……?」


 いや、それならランゼたちと離れないくらいの距離で空を飛んでいるはず……だ。

 サリスは頭が悪いわけじゃない。だから空を飛んでいた方がお互いに見つけやすいというのもわかっているはず……なのに。


「……なんで、どこにもいない?」


 ……サリスの強さなら、何かあっても大丈夫だろうし……なら、単純に空を飛ぶのが疲れたのか?


「……イツキさん?」

「……早くみんなを探そう。なんか……嫌な予感がする」

「嫌な予感……ですか?」


 ……『天秤座』を倒した後にまた問題事とか笑えねえぞ。


「……どこでもいい、とりあえず探す―――」

「あ、イツキー!」

「……あ?」


 背後から誰かが駆け寄って来る……あれは―――


「ストレア?お前1人か?」

「うん、みんなを見つけたんだけど、はぐれちゃって」

「そうか……」


 参ったな……ウィズとサリス、あとランゼ……どこにいるんだろ。


「……なあストレア、ランゼたちとはどこではぐれた?」

「わからない……気が付いたらいなくなってて」

「……………」

「まあとりあえず、早くみんなを探そ?」


 そう言ってストレアが町中へと歩き始める。


「イツキさん、私たちも―――イツキさん?」

「シャル、ちょっと離れてろ」


 ……俺はそのストレアの背中に、『魔導銃』を突きつけた。


「え?!イツキさん?!」

「イツキ……どうして?」


 俺を止めようとするシャル、そんな俺の顔を悲しそうに見つめるストレア……いや、ちょっと待て。


「……お前、誰?」

「ぇ……?誰って……ストレアだよ?」

「んなわけあるか……ストレアはな、髪に『月の形をしたバレッタ』を付けてんだよ」


 ストレアが―――いや、偽者が驚いたように目を見開く。


「もう一度だけ聞くぞ……誰だお前、何が目的だ」

「へぇ……リーブラを討ち取ってた所だけを見るとバカにしか見えなかったけど、なかなか頭も回るんだね」


 ニヤッと口元が歪んだかと思うと、凄まじい速さで偽者が距離を取った。


「討ち取った所を見ていただと……?」

「うん、ちょっと遠くからずっと見ていたよ。本当はリーブラの加勢をするためにずっと見ていたんだけど……よくわからないけど、リーブラは簡単に殺されちゃったしね」


 肩をすくめ、おどけた仕草を見せてくる。

 ……『よくわからないけど、リーブラは簡単に殺されちゃったしね』って事は……俺の狙撃銃(スナイパーライフル)には気づいてないってことか。


「……お前、『ゾディアック』か?」

「まあそうだね……私は『ゾディアック』、『牡羊座』の『アリエル』さ。まさか私の変身が見破られるなんて思ってなかったけど……バレちゃったらしょうがないね、ここは大人しく退くとするよ」

「逃がすと思ってんのか?」


 引き金を引き、アリエルに弾丸を飛ばし―――


「『トランスフォーム』」

「なっ―――」


 ―――アリエルの体が輝いたかと思うと、1羽の鳥に変身してしまった。

 俺の放った弾丸は、鳥の横を通り抜けて行った。


「それじゃあ、またねー」


 そう言い残すと、小さな鳥は大空へ飛び去ってしまった。


「『牡羊座』のアリエル……」

「イツキさん……」

「……なんで『ゾディアックセンサー』が反応しない?」

「え?……あ、言われてみれば……」


 ……『ゾディアックセンサー』に反応しない体質に変身してたってことか?

 だとすれば……『牡羊座』が攻めてきてもわからないってこと……なのか?


「……いくらなんでもチート過ぎるだろ」


―――――――――――――――――――――――――


「もう嫌だ」

「何があったかわからないけど……どうしたの?」

「何なのこの世界?1日に2回も『ゾディアック』に遭遇するとかやってられないんだけど?」


 なんとか全員と合流し、グローリアスさんがいる宿に帰っている所だ。


「2回も……って、どういうこと?『天秤座』以外にも『ゾディアック』が来てたの?」

「……『牡牛座』だ」

「え?でも『ゾディアックセンサー』が―――」

「ああ、反応していなかった」


 高級そうな椅子に腰掛け、向かい合うランゼの言葉に頷く。


「イッチャン、その『牡牛座』ってどんな見た目だったの?」

「……わからねえ」

「わからないって、どういうこと?」

「あいつの能力は『見た目を自在に変身させる』……みたいな感じだった。その能力でストレアの姿になってた」

「僕?」


 月の形をしたバレッタを付けているストレアが首を捻る。


「どこでストレアを見たか知らねえけど……そっくりに変身しやがるからな。ありゃあ警戒が必要だ」


 親しいやつに変身されて、グサッてヤられたら終わりだし。


「よく偽者ってわかったね」

「『牡牛座』はバレッタ付けてなかったからな。なんかいつものストレアじゃねーなーって思ったら、案の定だ」

「バレッタって……これ?」

「ああそれだ」


 ……それの存在に気づかなかったら、今頃どうなってたか……


「お邪魔するよ。グローリアス、いるかい?」

「ったくよぉ……探すの大変だったぜぇ」

「アクセル、ライガーさん見つけたんだな」

「あぁ、何っとかなぁ」


 苦笑するアクセルと、ライガーさんが室内に入ってきた。


「あれ?グローリアスはいないのかい?」

「あー……『竜王』の所に行った」

「え?それはまた、なんで?」

「『事の詳細を聞こう』って言ってて……」


 隣に座るシャルが、少し嬉しそうに笑う。

 ……まあ、シャルは何があったかわかってるからな。


―――――――――――――――――――――――――


「……こいつと一緒に行動するのは本当に嫌だが……仕方がない」

「ねえ……それは僕の台詞(セリフ)何だけど?」


 翌日の早朝……顔を合わせたライガーさんと『竜王』。早速、剣呑な雰囲気だ。


「ふん……不本意極まりないが、グローリアスと、そこの少年の頼みだ……今回は貴様と行動を共にしてやる」

「何を上から言ってるんだい?行動してあげるのはこっちだよ?」

「そこまでだ……行くぞ」


 グローリアスさんに止められ、やっとライガーさんが馬車に乗る。


「女性たちは、『竜王』の用意した馬車に乗ってくれ」

「え?なんで?」

「人数が多くなってきたからだ」


 ……まあ、確かに多いな。


「イツキ君、早く行くぞ」

「あ、はい」

「イツキさん、『森精国』でまた会いましょう!」

「ああ」


 元気に手を振ってくるシャルに手を振り返し、馬車に乗り込んだ。


―――――――――――――――――――――――――


「『森精国』か……また面倒な所に行くのだな?」

「仕方があるまい……あの小僧は身の程をわきまえず私の愛娘に手を出そうとしているのだそれは許されるかいや絶対に許され―――」

「落ち着けグローリアス」

「娘の事となると、相変わらず歯止めが利かないんだから……」


 早口になるグローリアスさん……そんな姿を見たライガーさんと『竜王』が溜め息を吐く。


「なんつーか……グローリアスさん、シャルの事が大好きなんですね」

「……うむ、そうだ」


 ……親から愛されるって、いいな。


「グローリアス、事の詳細を」

「うむ、そうだった……『森精王子』エスカノール、あの小僧はシャルの事を好いている」

「……そのシャルロットは、そこの少年を好き、と」

「そういうことだ」


 ……今考えてみたら、俺って一国の国王の娘から好意を寄せられてるってことなのか。

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