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1話

「―――鬼!おい、百鬼(なきり) (いつき)!起きろ!」

「ん、ああ……はい?なんすか?」

「今は授業中だぞ?!寝るやつがあるか!」


 ……うるさいな。


「ったくお前はいつもいつも……!」


 俺を起こした教師が、怒ったように授業を再開する。


「……眠い」


 まあ俺を起こしたところで、また寝直すんだけどな。


「退屈だな……もっと刺激的な日常だったら退屈しないですむのかな……?」


 そんなことを言う―――瞬間、俺の眼前は白い光に包まれて―――


――――――――――――――――――――――――――――――


「おめでとう!抽選の結果、君を異世界に送ることが決定したよ!」


 ―――白い、白い部屋の中、目の前の豪華な椅子に座る幼女がそんなことを言った。


「……は?」


 こういう反応を取るのはしょうがないことだと思う。


「……ここは?」

「ここは『神界』!私たち神が暮らす世界さ!」


 目の前の幼女が―――


「え?何て言った?神が暮らす世界?」

「そう!……ああ、自己紹介がまだだったね!」


 幼女が椅子から立ち上がり、優雅にお辞儀をする。


「私は『四大女神』の1人『ヘルアーシャ』だよ、どうぞよろしくね!」


 ……幼女が神って、マジかよ。


「……さっき『抽選の結果、君を異世界に送ることが決定したよ』って言ってたけど……どゆこと?」

「うーん……どこから説明したものかな」


 困ったように幼女が―――ヘルアーシャが頭を掻く。


「この世界じゃない別の世界、『アナザー』っていう世界があるんだけど……その世界が、突如現れた『魔神王』が率いる『魔王』の軍勢によって支配されそうになってるんだ」

「……それで?」

「その『アナザー』って世界は、私が見守る3つの世界の1つなんだけど……私が見守る世界を好き勝手にされるのはおもしろくない」


 ……なんだろう、もう大体話のオチがわかった。


「そこで『地球にいる人間の中から異世界の救世主を召喚しよう!』と思ったわけ」

「抽選の結果って言ってたのは?」

「誰にしようか迷ったから、くじ引きで決めたの!」

「舐めんな」


 俺の言葉を無視し、ヘルアーシャが何やら書類を渡してきた。


「……何、これ」

「『異世界転移特典』の書類だよ!生身のまま異世界に行っても、すぐ殺されておしまいだし」


 ……まあ『魔神王』とか『魔王』とかいる世界なら、俺みたいな人間が行ったところですぐ死ぬのは目に見えている。


「……この中から、特典を選ぶのか?」

「そうだけど……もしかして、足りない?」

「い、いや、そういうわけじゃない」


 改めて書類を見る。


「『聖剣 エクスカリバー』『魔剣 ダークマター』『獣王の血統』『戦神の加護』『精神把握』」


 ……名前からして、チート臭がプンプンするんだが。


「……ん、この『変化式魔導銃』ってのは?」

「おお、その『神器』に目をつけるとはね!その名の通り、変化する銃さ!」

「具体的には?」

「んー……基本形態は『壱式 片手銃(ハンドガン)』、そこから形態変化して『弐式 散弾銃(ショットガン)』『参式 機関銃(マシンガン)』『肆式 狙撃銃(スナイパーライフル)』『伍式 対物銃(アンチマテリアル)』……この五形態に変化することができるよ!」


 ……形態変化って、なんかかっこいいな。


「……俺、この『変化式魔導銃』ってのが欲しい」

「オッケー!その『神器』は『所有者の『魔力』を弾丸として射出する』んだ、だから君に『無限魔力』っていう能力も授けてあげる!」


 至れり尽くせりじゃねえか。


「ついでに君の『身体能力を底上げ』しといてあげるね!」


 ……それって、俺最強になるんじゃね?


「それじゃあ、異世界に送るよ……準備はいい?」

「ああ……あの退屈な日々から開放されるなら、異世界でもどこでも行ってやる」

「オッケー……それじゃ、頑張ってね!」


 ヘルアーシャがこちらに手を向ける……俺の体が少しずつ薄くなっていき―――


――――――――――――――――――――――――――――――


「―――あ、ぁぁ……ああ?」


 頭を振り、体を起こす。


「うお……マジで異世界に来たんだな」


 ゆっくりと辺りを見回す。

 ―――スゴい……こんなに綺麗な景色、初めて見た。


「……お、これが『変化式魔導銃』か」


 俺の手には、純白に輝く『片手銃』が握られていた。


「『無限魔力』に『身体能力底上げ』ねえ……」


 なかなかのチート能力……これってもしかして無双できるんじゃないか?


「……まあ、危険な目には遭いたくないから、できる限り戦闘は避けたいところだな」


 ……でも、この世界でなら―――


「―――退屈しないですみそうだ!」

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