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どうやら俺は異世界で  作者: 雪華
9/19

悪い予感が当たったみたい

ザワザワ


ノアが異世界に来て三日目になる朝。


「ん…ふぁ…」


ノアは、外から聞こえる喧騒に目を覚ます。

欠伸をしながら、ベッドから起き上がり、窓の外を開ける。見ると、外の道路はかなり大勢の人で埋め尽くされていて、道路の部分はほとんど見えない。


「何かあったのか?」


『おはようございます、主様。どうかされましたか?』


何事か、とノアが考えていると、後からハクが声を掛ける。先程まで隣でスヤスヤと眠っていたハクは、まだ小さいままで、話す声は体長に合わせてか、幼く若干高めの声だ。


「おはよう、ハク。いや、外が騒がしくて起きてみたら、人が大勢集まっていてな。気になった。」


ノアがそう言うと、ハクはベッドから飛び降りて、窓まで駆け寄ってくる。体が小さいので、少し時間が掛かるが、短い足でトテトテと走る姿は、何とも愛らしい。


「よっ…と、ほら見えるか?」


『あ、ありがとうございます…』


ノアはハクを抱き上げて窓の淵にのせ、外の様子を見せてやる。


『本当ですね。何かの行事ごとでしょうか?』


「かもなー。来たばかりだからまだ分からないが。とりあえず、外に出てみるか。」


『はい。』



ノアとハクは軽い身支度をして、部屋を出る。外とは違い、宿屋の中はどこか寂しく、静かだに感じる。食堂に行くと、人が一人もおらず、席ががら空きだった。ノアは理由を聞くため、受付嬢の猫耳少女に問いかける。


「あの、今日は行事か何かなんですか?」


「あ、おはようございますだにゃん!今日はこの街に、5年ぶりにリア様がいらっしゃるという情報が入って、朝からお祭り騒ぎだにゃん!」


「リア様?」


「えぇ!?知らないのですかにゃん??」


「あ、あぁ。昨日この街に来たばかりですから。」


身を乗り出し、心底驚いたという表情をする少女に、ノアは気圧される。


「そうでしたかにゃん。では、教えてあげるにゃん!まず、この街は大昔に竜に造られたと言う伝説がありますにゃん。」


(竜にって…あぁ、そう言えば此処は、"竜国"アルバスの王都って言ってたなぁ。)


昨日の騎士らしき男との会話を思い出す。


「そして、その竜は現在もこの街を見守っていると言い伝えられているにゃん。リア様は、その竜の子孫に当たりますにゃん。」


「なるほどな…つまり、そのリア様って言うのは国王と同等ぐらい、いやそれ以上の重要人物って訳か…」


「そうにゃるにゃ。」


「それで、なんでリア様は急に来る事になったんですか?」


5年ぶりと聞いて、よっぽどの事があると踏んだノアは、猫耳少女に問う。


「それが、ある人間を探しているとか、いないとかにゃん。海で偶然見かけたという、人間と、話があるらしいですにゃん。」


「海で人間を見かけた?」


「はいにゃん。あ、あとその人間は大きい獣に跨っていたらしいにゃん。」


(あ、これは…いや、まだ分からない。うん、分からないったら分からない。)


ノアの頭の中に、嫌な考えが思い浮かぶが、振り払う。まだ、決まったことでは無いと。


「…因みになんですけど…それっていつの事ですか?」


「一昨日だにゃん。」


(はい、アウトォーー!それ完璧、俺とハクじゃん!海で人間を見たってところから薄々分かってはいたけども!なんで俺なんだ!?)


この国にとって、最重要人物となる程の人に呼ばれる事に、頭が痛くなる。自分が何かしたのかと思い、頭の中でハクに問いかける。


『私にも心当たりがありません。海ではひたすら上を走って、出てきた魔物を排除していただけですから。


どうやらハクにも心当たりが無いようだ。


「い、色々ありがとうございます。じゃあ俺はこれで。」


「あ、ご利用ありがとうございましたにゃん!!」


ノアは猫耳少女との会話を切り上げ、そのに出る。

外は人が密集していたが、何とか間を縫って、人のいない場所へと出る。


「ハク、とりあえずこの街から出るぞ」


『はい。』


ノアはハクを肩に乗せ、走る。門に近づいたところである事に気づく。


「あ、身分証取ってない。」


そう、この街に入る時と、この街を出る時は身分証を提示しなければならないのだ。昨日は仮身分証を作ってもらい、なんとか入ることが出来たが、今日は無理だろう。


なんとかならないか、と思い、門を見ると、騎士らしき男が立ってないのに気づく。どうやら、皆行事に夢中で、警備を怠っているようだ。


「助かった!よし抜けるぞ。」


『はい!』


ノアは門の外へと全力で駆け抜ける。そして、門から数十メートル程離れたところで、誰も見てないのを確認し、大きくなったハクへと跨る。


『行きます。』


ハクは全速力で、草原を走る。風の様に走ると、すぐさま森が見えてきた。


ん?森?


「ハク………海に近づいてない?」


『はっ!!すみません!考え事をしていたら…』


「…因みにどんな?」


『竜と聞いて、戦ってみたいと思っていたら、自然と…すみません。』


「oh…」


ハクは天然プラス戦闘狂の二属性持ちだったみたいだ。


「ハク、とりあえずここから離れよう。」


ノアを降ろし、土下座をするハクを立たせ、再度出発を促す。


『わかりました…』


と、出発しようとしたその時。


バキバキバキバキッ


後から、木を倒し何かがこちらへ向かってくるのが聞こえる。


ノアとハクは何事かと後ろを確認する。


すると、見えたのは体長10メートルを越す、ものすごく巨大な、"蜘蛛"。その大きさにも驚きだが、それよりも、その蜘蛛の背中にまたしても巨大な船が乗っかっていることに驚く。


ノアは呆然と立ち尽くし、それを見つめる。ハクは、ノアを守るように前に立ち、巨大蜘蛛を睨む。


メキッバキバキッ


巨大な船を乗せた巨大な蜘蛛が草原に足を付けてこちらへと向かってくる。そして、ノア達と10メートル程の距離で止まる。


「見つけたぞ!」


巨大蜘蛛を眺めていると、突如、上から声が掛かる。

見上げると、船から何かが飛び出したのが見えた。それは、下へと降りてきて、地面にふわりと着地した。


「探したぞ…とりあえず、死んでもらう。」


降り立ってすぐに、物騒な言葉を吐いたのは、見た事は無いが、天女が着ている様な薄い青色の羽衣を身につけた、青髪の美女だった。





難しい…

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