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どうやら俺は異世界で  作者: 雪華
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街に入るみたい

異世界に来て二日目の朝。ノアとハクは森の中を歩いている。何時間も彷徨っているが、一向に出口が見えない。


「しかし、広いな。後どのくらい…ん?おい、ハク見ろ!あれって…」


突然ノアが大きな声を上げ前方を指さす。ハクは言われた通りに指が向いている方向を見ると、木の間から整備されているのであろう道が見える。


『人口的に作られた道ですね。行きましょう!』


ノアとハクは、道の見えた方向へと走る。そして、気の間を抜けると、土が均された場所へと出る。


「やっとかぁ…よし、ハク行こう。」


『それでしたら主様、私にお乗り下さい。』


ハクはそう言うと、元の大きさへと戻る。道の幅は広いので窮屈にはなっていない。


「ありがとな。」


「いえ。では出発します。捕まっていてください。」


ハクはノアを乗せて全力で駆け出す。周りの景色が次々と入れ替わり、風を切る音が耳に響く。


そして、数分後。長い間居た、森を抜ける。木々に遮られていた太陽の光を体全体で感じる。森を抜けると、そこは広大な草原だった。


「はぁーー…長かったなー。」


ハクから降りて一息つくノア。辺りは一面草で埋め尽くされている。ヒューっと風が吹き、草原の草とノアの肌を撫でていく。空気が美味しく感じる。


「…綺麗だな。」


海は透き通り、空は快晴。雲一つなく真っ青。遮るものが何も無い草原で吹く風。目に映る、肌で感じる全てのものが綺麗だと、そう感じた。


『主様少し遠いですが、街の城壁らしきものを見つけました。』


ノアが風に当たっていると、ハクから声が掛かる。


「本当か!どれ…あぁ、薄らと見えるな。よし、とりあえず歩くか。」


『主様、お乗り下さい。走ればすぐです。』


ハクはノアの前で身を屈ませる。主の為に、すぐ行動ができる、優秀な子なのだ。しかしノアは、


「いや、今回は大丈夫だ。疲れてるだろ?少し休め。」


『しかし…』


「今は歩きたい気分なんだ。」


ノアがそう告げるとハクは少し残念そうに頷く。


「…そうだハク。凄い小さくなってもらえるか?」


何かを思いついたのか、ノアが言う。


『このくらいですか?』


ハクの体はどんどん縮んでいき、子犬ほどの大きさになった。


「あぁ、それでいい。よっ…と」


そして、ノアはハクを抱えて肩に乗せた。


『あ、主様!?』


「ありがとな、今度は俺が乗せてやるから。街に着くまで寝てると良い。」


『でも……では、お言葉に甘えて…』

ノアが、肩に乗ったハクに撫でながら言うと、最初は渋っていたハクだが、撫でられて気持ち良かったのと、疲れていたのがあってか、了承してからすぐにハクはノアの首元に軽く巻き付き、まるでマフラーの様になって、眠ってしまった。


「よし、行くか。」


ノアは優しい風が吹く中、歩み始めた。




「おぉ、でかいな。」


数時間歩いたノアは、ようやく街の前に着いた。近くで見ると、街の壁はかなり大きく聳え立っている。

ノアは、中に入るため、門に向かう。


「ようこそ!ここは竜国アルバスの王都シーダの街だ!少年身分証は、持ってるか?」


門に行くと脇に立っていた、鉄の鎧を身につけた騎士らしき、中年の男に話しかけられる。


「身分証ですか……すみません、実は森を散策している時に魔物に襲われて落としてしまって…」


身分証がいるとは知らなかったが、怪しまれぬ様に理由をでっち上げて誤魔化す。


「そうか、それは災難だったな…ちょっと待ってろ。」


そう言うと、騎士らしき男はどこかに走って行き、すぐに戻って来た。


「これを持ってると良い。これは仮身分証だ、街に入ったら、正規の身分証を作って、これを返しに来てくれ。とりあえず今はこれで通っていいぞ!」


渡されたのは、手に収まるぐらいの木の板。見ると表面に仮身分証と書いてある。


「あ、ありがとうございます。」


「気にするな!本当は金がかかるんだが、魔物に襲われたんだったら仕方ねぇ。次は気をつけるんだぞ!」


「はい。」


すみません。嘘です。魔物に襲われはしましたが全部倒しました。(主にハクが。)

騎士らしき男の優しさに罪悪感を覚えるが、ノアは礼を言って、街の中に入る。


正面には石畳の道が真っ直ぐ続いていて、馬車や多くの人が行き交っている。道の脇では服や食べ物を扱った店が立ち並んでいる。


「おぉ異世界。改めて実感したな…」


それもそのはず、行き交う者の多くは人間だが、ちらほらと獣の耳を生やした者や、肌が鱗で出来た者も見ることが出来る。


ノアはとりあえず、と立ち並ぶ店を見て回る、途中、匂いにつられて、串に刺さった肉を買ったり、買ってはいないが、服屋も覗いて見た。



「そうだ、宿屋みたいな所を探さなきゃな。」


長い間、店を見て回っていたせいで、日が落ちかけている。

ノアは、探してやっと見つけた宿屋に入る。


「いらっしゃいませだにゃん。」


受付には猫耳を、頭から生やした、ブロンド髪の少女が居た。


「部屋、空いてますか?」


「はいだにゃん。何泊するんだにゃん?」


「んー……とりあえず、1週間で。」


「分かりましたにゃん!」


ノアは特徴的な、語尾の少女に1週間分の宿泊費を渡し、部屋の鍵を受け取る。猫耳の少女が部屋まで案内してくれる。


「ここにゃん。朝ごはんは6時からやってから、食べると良いにゃん!」


「あぁ、ありがとう。」


「ごゆっくりだにゃん!」


そう言うと、猫耳少女は受付に戻って行く。

ノアは部屋の鍵を開け、部屋に入る。中は、木のテーブルと、ベッドがあるだけの、簡素な作りをしたものだった。首に掛かったハクをベッドに下ろし、自分もベッドに横になる。そして、いつの間にか意識が遠のいていき、眠ってしまった。




遅くなってすみません。

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