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どうやら俺は異世界で  作者: 雪華
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杖は物理に弱いみたい

「硬貨が多いなぁ…」


ノアは、ゴブリンの巣になっていた洞窟から奪って…もとい頂戴してきた物を、歩きながら確認する。


「それより、これどうなってんの?」


色々と物を詰めてきた袋を、目の前に掲げる。大きさは肩掛けの鞄程で、黒く染色された革で出来ている。


『その、鞄ですか?それはアイテムボックスです。簡単に申しますと、外見は変わりませんが、魔法により、中に詰められる量が多くなる鞄です。』


「あー、アイテムボックスね。本当にあるとは…」


ノアは、歩いていて見つけた、腰掛けるのに丁度良いぐらいの切り株に、アイテムボックスの中身を出す。


ジャラジャラジャラジャラ


「うわ…」


鞄をひっくり返すと、金色や銀色の硬貨、銅の硬貨、さびてボロボロの短剣や、果てには、蒼い宝石があしらわれたいかにも高級そうな杖など、鞄の大きさからして有り得ない量の物が次々と落ちていく。


「こうして見ると、色んな物を入れたな。」


洞窟では、ゴブリンがまた現れる前にと急いで袋に詰めたので、中身を詳しくは知らないノアとハク。



約10分後、たくさんあった戦利品を、種類事にまとめ終わった。全てを種類別に分け、金、銀、銅の硬貨が、数えるのが面倒くさい程と、宝石の付いた杖1本、他には錆びた短剣が5本、後は鉄屑などのゴミという結果になった。


「なぁハク、この硬貨がこの世界でのお金になるのか?」


『はい。価値で言うと、銅、銀、金の順に高くなっていきます。』


「見た感じ、金貨が2番目に多いんだけど。」


因みに1番多いのは銀貨。明らかに銀貨の山だけが大きく、1番小さいのは銅貨の山だった。


「まぁ、無くて困る物でもないから良いか。」


そう言って、切り株の上に乗った物を鞄に詰め込み、再び歩き始める。次魔物に襲われた時の為に杖だけ片手に持ち、鞄を肩に掛けて再び歩き始める。


(あんなに入れたのに、重さが変わらないって、アイテムボックス…いや魔法って本当に有能だな…)


肩にかかる鞄のみの重さにそんな事を思った。



洞窟での一件から早くも数時間がたち、日も落ちようとしている。これまでの道のりで、数回程魔物に襲われたが、全てハクが速攻で対処している。


「なぁハク、次魔物が来たら俺にやらせてくれないか?」


『…分かりました。主様がそう仰るなら。』


答えるまで少し間があり、渋々と言った感じではあったが、戦うことを了承してくれたハク。自分の為と分かっているが、あまりの過保護ぶりに、ノアは苦笑を浮かべる。


「俺だってある程度は動けるから心配するな。」


『分かりました…クゥン』


頭を撫でながら言ってやると、ハクは目を細め、嬉しそうに鳴く。


と、そんな事をしていると近くの茂みが揺れる。ノアはすぐに、臨戦態勢をとる。すると茂みから1体の魔物が。出てきたのは洞窟で見た醜悪な顔をした、皮膚が紫色の剣を持った魔物。どうやらゴブリンのようだが、一点だけ違うところがある。洞窟で見た時のゴブリンより一回り以上大きく、それに伴い隆起した筋肉が目立つ。


『主様、そいつはゴブリンソードマンです。洞窟で見たようなただ剣を持った様なものではなく、ゴブリンの上位種になります。』


ハクは、ノアの戦闘を邪魔しないため、少し離れた所から、冷静に情報を告げる。




「了解!…さて、やっと戦闘出来る。」


ようやくあり付けた機会に、感情が高揚感で満たされる。口元には、笑みを浮かべ、その風貌はまるで、獲物を前にした狩人の様。


さぁやるか__と意気込んだノアだが、ひとつの事に気づく。


(あ、俺今杖持ってるけど魔法は契約魔法しか使い方分からないや。)


なんてことを考えていると、さほどお互いの距離が無かったので、素早く間合いを詰めてきたゴブリンが剣を振り下ろすのが見える。


「っと!」


ノアは、咄嗟にバックステップをして躱す。その事にイラついたゴブリンソードマンが、睨んでくる。


手には、長さ60cm程の上が棍棒のように太くなっていて、下が少し細くなっている宝石があしらわれた杖のみ。


攻撃手段が無い__かと思われたが、


(仕方ない、最終奥義を使うか。)


ノアは、不敵な笑みを浮かべ、杖を上に掲げる。

ゴブリンソードマンが自分の間合いに入り込んで来たのを、見計らい、そしてゴブリンソードマンの顔面に目掛けて、


「はぁ!」


()()()()()()()()()()()()


バキッッ

ゴガァ!!


不穏な音とともに、ゴブリンソードマンは後方へと物凄い勢いで吹き飛ばされる。ゴブリンソードマンは木を何本も折って行き、やがて止まった。


「…」


驚きのあまり声が出ないノアは、その光景を黙って見届ける。そして、殴った時に聞こえた音を探るため、ゆっくりと手元に目を向ける。ランクSのカンストしている力を持ってして、全力を込めた一撃により、本来魔法を使う為に存在していた手元の杖は、案の定真っ二つに折れていた。


ノアの顔は段々と青ざめて来て、額には汗が見える。


「やらかしたぁぁああ!」


頭を抱えて崩れ落ちた。


ノアが頭を抱えるのはそれもそのはず。荷物の整理を

した時に、この杖を見たハクがかなりの上物だと呟いた程のもので、魔法を使う事になったらこの杖を使おうと決めていたのだったが、それも今やただの木屑。


広大な森の中に1人の男の叫び声が響き渡った。






物理強し。

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