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どうやら俺は異世界で  作者: 雪華
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魂になったみたい

新作です。呼んでもらえると嬉しいです。

辺り一面白い花が咲き誇る世界。


少し離れた所に、木製の椅子がひとつこちらを向き、置いてあるだけのどこまでも続く広い花畑。


"夢か…"


明晰夢だろうか。しかし、自分の声は聞こえない。

見回すと、どうやら体も無く、あるのは意識だけ。


椅子に目を向けるといつの間にか()()が座っている。

良く見えないので寄ってみる。体は無いが移動はできる。


近づくとその()()も椅子から立ち上がりこちらに目を向ける。


「こんにちは」


銀髪ロングの超がつくほどの整った容姿を持つ美少女が、微笑みながら挨拶をしてくる。それを見て、息が詰まる。


「ここはあなたの夢の中。私はあなたに伝えたいことがあり、ここへ来ました。」


察してか、そう言う少女の顔は心做しか嬉しそうだ。


"伝えたいことって?"

少女に問う。


「はい。あなたはあなたにはもうすぐ迎えが来る、つまりあなたは近いうちにお亡くなりになられます。」


少女が言ったことに驚愕する。さっきあったばかりの人の言ったことで疑いの気持ちはあるが、先程まで微笑んでいた少女の顔は真剣で、しかし僅かに哀しみを漂わせている。


"死ぬってことか…近いうちにっていつぐらいかは分かるのか?"


「はっきりとした日時は分かりませんが、恐らく1週間以内には。」


"一週間以内か、早いな…でもなぜそれを伝える必要があったんだ?"


自分の死期を知ることなど、病院で余命宣告をされるぐらいだろう。人はいつ死ぬかわからない、その期間が残り1週間あるか無いか。それを知ることが出来るのは些かおかしい。


「それはまだお教えすることはできません。それに、時間はあと少し。」


風が吹く。それは白い花たちを撫で、靡かせる。

花は風によって青い空へと舞う。その光景に少しの間心を奪われる。


「では、またお会いしましょう。」


少女の声が聞こえた後、一際大きな風が吹く。少女がいた方向に目を戻すと誰もいない。そして、自分の視界もぼやけていき、暗転した。


________________________



ジリリリリリリリリリ


時刻は朝の6時半。セットしておいた時計が朝を告げる。時計を止め、ベッドから起き上がる。先程まで広がっていた景色は無く、あるのはいつも使っている椅子とテーブル、本棚やテレビが置いてある紛れも無い自分の部屋のみ。一人暮らしのため凄く静かだ。


「はぁ…何だったんだあれは…」


顔を洗って、欠伸をしながらも朝ご飯を作る。その間も頭の中は夢の事で埋め尽くされている。


「死ぬか…はっ、全然実感ないけどなぁ。」


まだ確実に信じたわけではない夢の内容。特に死ぬことに恐怖などは抱いていないが、もし本当に死ぬことになったらどうなるのか、残りの時間で何をすればいいのか考えさせられる。



ガチャ


準備を終えて家を出る。いつもの光景。いつもの行動。しかしどこかいつもと違う気がする。


通学路を10分程歩いたところ、横断歩道の挟んだ先に見慣れた少女が歩いてくる姿が見える。こちらに気づいた少女は笑を浮かべこちらに走ってくる。

何かがおかしい。


「せんぱーい!」


少女は手を振りながら小走りで横断歩道を渡る。


信号は赤。


1台のトラックが迫る。少女はそれに気づき、顔を驚愕に染めたまま、立ち止まってしまう。


おかしい。

あいつは信号が赤になってることに気づかないような奴では無い。ましてや、横断歩道で辺りを注視せず突っ込んで来る馬鹿でもない。


足は自然に動き出した。全速力で駆け出し、横断歩道のド真ん中に立ち尽くす少女を突き飛ばす。


ドンッ!!


コンマ数秒後けたたましい音と共に身体は宙に舞う。


全てが繋がった。いつもの日常なのにどこかが違った今日の朝。夢でされた1週間の余命宣告。後輩の奇妙な行動。


(なるほどな。つまり今日迎えが来たって事だろ?)


視界が回転する中、そんなことを思い意識は途絶える。最後に聞こえたのは後輩の咽び泣く声だった。


________________________



「んで?俺は死んだって事でOKですか?」


「はい…」


「了解。まぁそれは良いとして、あまりにも強引だと思うんですけど。」


「す、すみません。」


夢で見た広い花畑。しかし夢とは違って椅子に座るのは男。先程トラックに跳ね飛ばされて命を落とした、名前を東城秋(とうじょうあき)。そして椅子の前には土下座をする少女が。姿形は夢で見た美少女なのだが、今は泣き目になって、秋に説教されている。


「余命1週間っていうのは分かってたけど、まさかその日だとは、ねぇ女神様、」


「うっ、」


そう、彼女は女神。女神エインスフィール。生を司る、列記とした紛れも無い神なのだ。


「いや責めてるわけでは無いですから、土下座辞めてもらえないでしょうか?」


「はい…」


エインスフィールは立ち上がり、どこからともなく木の椅子を出すと秋の前に座る。


「では…もうお分かりいただけたと思いますが、東城秋さん、あなたはお亡くなりになられました。」


エインスフィールは真剣な顔で話し始める。秋も黙って相づちを打ちながら聞く。


「本来亡くなった方は魂となり、次の転生を待つことになります。そしてあなたも転生することになるのですが…」


「東城さん、異世界に興味はありますか?」


少しの間の後、エインスフィールは、秋に提案を持ちかけた。


「異世界?ってあのラノベとかの奴ですか?」


突然の質問に驚くも、地球で得た知識を元に答える。


「はい、そういう認識で構いません。剣あり魔法ありの世界。科学こそ地球程発展していませんが、魔法があるのでそこはご心配なく。」


「魔法が使えるのか!」


(魔法とか最高じゃないか。あぁ、だめだ。色々考えると俺の中二魂が…大丈夫だ、まだ発症はしていない。魔法か…)


「魔法に適正があれば誰でも使えます。それで異世界の説明移っても宜しいですか?」


「あ、はい。」


魔法が使えると聞いて妄想に耽っていた秋を現実に引き戻す。


「秋さんは異世界アーティカルドという世界に転生することができます。本来転生するという事は新しい人生を同じ世界でやり直すということ。あなたはまた0歳から始める事になります。そして記憶も消されることになります。」


秋は黙って頷く。


「しかし、あなたは特別です。特別に異世界転生という選択肢を設けます。何故だか分かりますか?」


何故か?…分からない。何故自分だけ特別なのか。他とは違う異世界転生という選択肢があるのか。


自分は平凡に日々を生きてきた、普通の人間であると思っている秋は、いくら考えても分からない。

黙考する秋を見つめながらエインスフィールが口を開く。


「あなたは、東城秋という人間は、他の誰よりも強い魂を持っています。」


「強い魂?俺がですか?」


魂の強さなど考えたことも無い。むしろ自分の魂の強弱などという目に見えないものを推し量る人はいないだろう。


「元々強いってことですか?」


元々、つまり自分は選ばれた魂ということになる。しかし、自分は普通の人間であると信じている秋は、今ひとつ信用出来ない。


「いえ、あなたの魂は洗練されて出来たものです。元々の魂は普通の人間と同じ様なものでした。しかし、今まであなたが生きてきた17年間を振り返ってみてください。思い当たる節はあるでしょう?」


女神様に言われて思い返してみる。


(あぁ言われてみればあった気がするなぁ、意図してそうした訳では無いが、命を救ったことが数回あった。今回もそれで死んだ訳だし。)


命を救うなどという、傍から見たらもはや普通では無いことを秋はやってのけているのだ。それも普通に。


「分かりましたか?ですから、これは1つのご褒美でもあるんですよ?」


なるほど、と秋は理解する。今まで自分は頑張って来たのか。自分のやってきたことは無駄ではなかったのか、という安心感で秋の心は満たされる。


少し間を取り、エインスフィールは言う。


「では、東城秋さん選択してください。このまま魂として転生を待ち、地球で0歳からやり直すか。それとも、異世界へと転生し、自由な人生を歩むか。今なら特別に年齢と、姿はそのままにしてあげましょう。」


姿そのまま、つまり17歳のこの容姿で転生出来るのだ。かなり魅力的な特典。


「さぁ、選択肢は2つです。お選びください。」


女神エインスフィールは手を広げ秋に告げた。




次はすぐ出せると思います。

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