アレックス慌てる
アレックスが本屋に戻ると、親父は泣きそうな顔になって喜んだ。
「もう!死んじまったかと思ったよ!」
「花好きだったら、死んでたかもな。」
「なんだい、そりゃ。ああ、旦那。大変だよ!さっき竜国から戻ってきた賞金稼ぎが言ってたんだが、竜国で村一つ、町一つ、あの古代の呪いの疫病で人っ子1人居なくなっちまったってよ!」
「何!?何時だ!」
「町は、今日の朝だって。おっかねえから、急いで飛んで帰って来たんだってさ。他にも、ペガサスや麒麟国でもあったとか他の奴らが話して…って、旦那?」
アレックスは大慌てで荷物を纏め始めた。
「麒麟国もだなんて…。ラグナ!ミリイの所に飛ばせ!親父、世話になったな!賞金が入り次第、この礼はする!」
「旦那?ちょ、ちょっとお!?」
アレックスはラグナを全速力で走らせ、行ってしまった。
親父は、呆然と見送った後、にやーっと笑った。
「ああ、ペガサス王妃と麒麟国に住んでんだったね。ご馳走さん。」
ところが、急いで帰ったものの、マリアンヌの姿は見えず、カレンしか居ない。
「マリーは!?」
「へ!?あ、アレックス様!?マリー様なら、竜国やここではでは危ないからと、アデル様のご指示で、獅子国にお里帰り中でございますが…」
「ああ…、なら良かった…」
アレックスは疲れきった様子で、椅子に腰かけた。
「あの、その際、ダリル殿とアンソニー殿が、アレックス様にご用があるとかで、アーヴァンクに向かっておられましたが…」
「なんの用だと言っていた?」
「お急ぎでお帰りになったので、ご存知でしょうか。各地で村や町から人が消えている事件は。」
「ああ。知ってる。」
「その調査でお力をお借りしたいと申されていました。」
「詳しい事は言っていたか。」
「いえ。お急ぎでしたので。」
「ー利害が一致したな。待ってるかと言いたいところだが、さっさと見つけねば大変な事になる。俺は先に動く。ここへ来たら、勝手に探せと言っておいてくれ。」
「ええ…?あ、あと彦三郎も調べている様です。老中からの依頼だとかで、麒麟国の村人が消えた村の事を。」
「そうか…。行ったら会えるかもしれんな。じゃあな、カレン。お前も気を付けろよ。」
アレックスは休む間も無く、また出て行ってしまった。