第7話 可愛い子には旅をさせろ
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では、第7話、どうぞ。
6:00に鳴る一回目の鐘で目覚めた僕は食堂で朝ご飯をとった後、部屋に戻ってきていた。
「今日はどうしようかな。依頼は簡単なのにして、あとは魔法実験とかかな」
昨日気になったことを常識本で調べた後、さらっと予定を決めた僕は部屋を出てジェフさんにお弁当を貰い、受付へ向かった。
「ん、あの子は……?」
受付にいたのはニーナさんではなかった。
年は10代半ば。どことなくニーナさんに似ている気もするが、似ていない気もする。でも美少女は美少女だ。
「あ、もしかしてシンさんですか?」
なんて思っていたら向こうから話しかけられてしまった。
まぁ【解析】とか使うまでもなく。
「うん。あの、リアちゃんだよね?」
「はい、娘のリアです。父さんのこと、ありがとうございました」
そういえばリアちゃんが受付やってることも多いって言ってたっけ。
「いやいや、気にしないで。それとこれ、よろしく。夕方には戻るから」
「はい、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
リアちゃんに部屋の鍵を預け、なんだかいつもと違う気分で僕は冒険者ギルドへ向かった。
「メイリーンさん、こんにちは。何か簡単そうな依頼とかありますか?」
「こんにちは。昨日は大変でしたから、今日はあまり張り切らないのですね?」
「まぁそんなとこです」
まぁ本当にそんなとこだ。それに何か焦る必要があるわけでもないし。
そんなわけで僕が受けた依頼は、ラビウルフ5体の討伐依頼。
ラビウルフは昨日ラビラビットを探す過程で狩ったので、魔力感知で探せるだろう。
「じゃあ行ってきます。試したいこともあるので、昼頃に帰ると思います」
「はい、お気を付けて」
メイリーンさんの笑顔に見送られ、僕は冒険者ギルドを後にした。
「あ、冒険者っぽい鉄の剣忘れた。まぁいいか、元々僕は魔術師だし」
場所は変わってミーネの街の東の草原。
「そういえばオーガとか盗賊とか倒したけど、Lv上がったかな」
どれくらい上がったのか気になって、僕は≪ステータス≫と唱えて確認する。
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シン Lv17
人族
HP 11187/11187
MP ∞
Str 1137
Vit 1061
Int 2221
Min 1050
Dex 1089
Agi 1532
ユニークスキル
【次元間転送】
【解析】
【異世界言語】
ノーマルスキル
【武神】
【全属性適性】
【身体能力強化】
【腕力強化】
【知力強化】
【脚力強化】
【状態異常耐性】
【属性魔法≪火≫】
【属性魔法≪水≫】
【属性魔法≪風≫】
【属性魔法≪土≫】
【属性魔法≪雷≫】
【属性魔法≪氷≫】
【属性魔法≪光≫】
【属性魔法≪闇≫】
【属性魔法≪無≫】
【属性魔法≪木≫】
【属性魔法≪時空≫】
【回復魔法】
【補助魔法】
【連装魔法】
【天星眼】
【魔闘術】
【遠視】
【暗視】
【鍛治】
【調合】
【彫金】
【錬金術】
【二刀流】
【泳ぎ】
【水中適性】
【縮地】
【空歩】
【魔填短縮】
【能力隠蔽】
【隠密】
【空間掌握】
【罠解除】
【万物合成】
称号
最高神の加護
生命神の加護
創造神の加護
武神の加護
魔導神の加護
運命神の加護
神々の寵児
渡りし者
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「おー、結構上がってる! でも、能力値って意外と伸びないんだな。後半になるとよく伸びる、とかないかな」
Lvは結構上がっているけど能力値は微妙にしか上がっていない。まぁそれ以前に出力100%に出来ていないからあまり関係ないっちゃないけどさ。
あと、【魔闘術】というスキルはさっき取得した。昨日の戦いで、武器が無くても体術で大きなダメージを与えられると楽そうだな、と思ったからだ。
ちなみに魔力を体の必要な部位に溜めて、そのエネルギーを攻撃に変換しながら戦うのが魔闘術らしい。まぁ使ってみた方が分かりやすいだろう。
「さて、ラビウルフ5体をちゃっちゃと倒しちゃいますかね」
【空間掌握】でラビウルフの魔力反応を探すと、1体、3体、4体と合計8体発見。
「まぁ慎重に行きますか」
取り敢えず1体だけのところへ。あまり遠くないので、割とすぐに見つかった。
「ふむ……」
大型犬程度の大きさに、汚れた灰色の毛皮。筋肉もありそうではあるけど、決して硬そうではない。
「取り敢えず【解析】」
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(名前なし) Lv9
ラビウルフ オス
はぐれ
ユニークスキル
なし
スキル
【身体強化】Lv1
【爪術】Lv2
【遠吠え】Lv1
称号
なし
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「はぐれか……。ていうか魔物相手だと能力値は出ないのね。多分能力値が人間準拠だから、とかそんな感じかな」
まぁなんでもいい。Lv的にもスキル的にも問題無さそうなので、【魔闘術】の実験台となってもらう。
「では……」
狙いを定めて走り出す。地を蹴る足の裏に魔力を溜め、それを爆発させることで脅威的なスピードが出る。ラビウルフも僕の接近に気付くが、もう遅い。
踏み出した左足を踏ん張り、魔力を溜めた右足に腰の捻りも加えて渾身の蹴りを敵に叩き込む。
「ハッ!…………あっ」
どうやら力を入れ過ぎたのか、狼さんの頭だけが綺麗に飛んで行き、軽くスプラッタになってしまった。
「あちゃー。まぁ威力がある攻撃の仕方が分かったし良しとするか」
GIから剥ぎ取り様のナイフを取り出し、周囲に敵がいないことを確認してから剥ぎ取りを始める。
剥ぎ取りはギルドで任せるのもありだが、手数料分が引かれてしまう。自分で剥いで買い取りカウンターに持って行くのが一番儲かるらしい。
「あー、ぬちゃぬちゃして気持ち悪い。というか全然うまくいかないなぁ」
剥いでいる内に魔物の血液でナイフも手もぬちゃぬちゃになった。
いやそれ以上に問題なのは、全然うまくいかないことか。切断面がガタガタだし、どこを切ったらいいかも見た目じゃ分からない。
「うーん、あれなら……。いや無理かなぁ、うーん。まぁ試してみる価値はあるかな?」
僕は一つの魔法を思い付き、早速製作する。今自分で剥いだ素材や魔石はアイテムボックスへ入れ、新たな獲物を探し始めた。
ちなみに魔石とは、魔物の心臓部にある素材のこと。魔物の体の中にあるうちは魔核と言い、まさに心臓の様な働きをする。
次なるラビウルフの群れを目指して歩いて行けば、途中でラビラビットに遭遇した。
実験は誰相手でもいいので、こいつで行うことにしよう。こいつなら昨日ギルドの職員さんが解体しているのを見たから最終的な解体結果も照らし合わせることが出来る。
「≪風刃≫」
さっきみたいに飛んで行くと困るため風魔法で首をスパッと斬り、あっさりと殺す。
「ではでは、本日の実験魔法その1! ≪解体≫」
投影された魔法陣が一瞬にして発動し、目の前のラビラビットの死体がスパスパ切れていく。
元々切れていた首元から始まり、体を一周する様に切れ目が走り、空間魔法と風魔法で剥がされる。
「おお……」
血濡れた毛皮は水魔法で洗い落とし、その水分は火魔法と風魔法で乾かす。
体の方から、最後に魔石がポロッと出てきて、魔法終了。
「想像以上に完璧じゃん!」
予想以上の出来に興奮してしまう。
空間魔法で切るべき部分を認識し、風魔法で切断。それらを分けた後、水・風・火魔法で汚れの洗い落としと乾燥をこなす。
ここまで上手くいくとは。
「これは捗るぞー」
ラビラビットの毛皮と魔石を回収し、次なる魔物を探す。
見つけた魔物は魔法か【魔闘術】で倒し、≪解体≫で解体、アイテムボックスへ回収。
「今日は流しのつもりだったけど、これは結構稼げるぞー」
僕はハマりすぎて、それをそのまま2時間近く続けた。
「さて、そろそろ次の魔法実験に移りますか」
次に行うのは、ゴーレムの作成だ。
僕はゴーレム作成の魔法を作ってからずっと試したかったのだ。
ちなみにゴーレムとは、鉱石を魔核とした魔物だ。れっきとした魔物だし野生にも現れるが、土魔法で作ることも出来る。
どのくらいの大きさの何の鉱石を魔核としたかにより、ゴーレムの強さや体を構成する物質も変わってくるらしい。
「というわけで鉱石が必要なわけだけど、まぁ問題ないよね。≪鉱石作成≫!」
そう、土魔法はゴーレムだけでなく、鉱石も作れる。まぁ、とは言ってもこんな魔法陣を作れるのは僕だけだと思うけど。
というわけで、まずは鉄を作ってみた。ラビラビットやラビウルフの魔石より少し大きいくらいの大きさで。
「よし、実験魔法その2! ≪生命土創造≫!」
鉄に向かって≪生命土創造≫を発動。
大きさは普通だし、鉄は対衝撃性も魔力親和性も低いので、大したものは出来ないはず。
「お、これは……。なるほど、まさに〝創造〟だね」
≪生命土創造≫が発動すると、頭の中にゴーレムの設定画面の様なものが浮かんでくる。どうやらこれで、ゴーレムの見た目や能力を設定出来るらしい。
「ふふふ、徹底解明しようじゃないか」
そのまま30分間、何度もゴーレムを生み出しては崩してを繰り返して、色々と発見があった。
まず、鉱石の大きさや種類は、ゴーレムのキャパシティの様なものに影響する。このキャパシティの許す限り、ゴーレムに能力を設定出来るのだ。
見た目は、相当無理がなければ大体どんな形でも取れる。
鉱石が大きかったり質が良かったりすれば、より大きいモデルや無理のあるモデルを取れる様になる。
ただ、これはよりたくさんのキャパシティが必要というわけではなく、単にその方が取れるモデルの選択肢が増えるというだけだ。何故そうなのかは分からない。
能力値は、『攻撃力高め』とか『脚力高め』の様に設定する。
よりキャパシティを使えばより多く能力を設定出来るわけだ。
また、『〜低め』と設定すると残存キャパシティが少し増えることが判明。これは作り甲斐が出る仕様だ。
ちなみに『高め』とか『低め』はあくまで標準との差のことらしい。
より大きい鉱石やより質の良い鉱石を用いればこの標準も高くなる。
そして最後に、余ったキャパシティを用いてスキルの設定が出来る。
余ったキャパシティと言っても、このスキル設定と能力設定がゴーレムの鍵っぽいので、最初からスキル設定のことも考えておくんだけど。
最大いくつのスキルを設定出来るとか、設定出来るスキルのLv上限とかも鉱石次第。当然、数やLvを増やすと必要キャパシティは増える。
「要するに、大きくて質の高い鉱石を用いれば強いゴーレムが作れると」
なんだか、調べなくても予想できてしまいそうな結果になってしまった。
まぁ細かい仕様が分かったので良しとする。
「≪鉱石作成≫で質も大きさも自由自在な僕って、実はゴーレム作るのにめちゃくちゃ適してるんじゃ?」
うん、普通に反則級のゴーレムが作れる気がする。
もっと言えば、【万物合成】である程度のスキルを本体に付与出来るし、足りない分はスキル付与した指輪とか首輪とか作って装備させれば済む話だったりする。
「能力重視のゴーレムに最低限のスキルを付けて、足りないスキルは【万物合成】と装備品でカバー、と。ふふ、間違いなく反則だよこれ」
どんなゴーレムを作るかで僕は頭がいっぱいになった。結構無理の有りそうなモデルも取れるので、可能性は割と真面目に無限大なのだ。
ちなみに、ゴーレムも使い魔と同じくLvが有る。同じゴーレムを使い続ければゴーレムは成長するのだ。
ただまぁここまでぶっ飛んだゴーレムが作れるのも僕の魔法ありき(というか【天星眼】ありき)なので、結局世間ではあまり使い勝手の良い魔法ではないだろう。
「せっかくだから、ゴーレム作って放置してみよう。色々と面白いかもしれない」
そう考えた僕は≪鉱石作成≫で、オリハルコンとアダマンタイトを大量に作りまくった。
ちなみに、オリハルコンは対衝撃性最高の鉱石で、アダマンタイトは魔力親和性最高の鉱石だ。この二つを【万物合成】で合成すると、対衝撃性と魔力親和性共に最高級のヒヒイロカネが生まれる。
これも多分、こんな作り方するのは僕だけだろうな。
「次はこれらをまとめて……」
次に、オリハルコンとアダマンタイトを合成してヒヒイロカネを作り、作ったヒヒイロカネ同士を合成して大きくし、1mほどのヒヒイロカネを6個作った。
「でか過ぎたかなぁ……。まぁ仕方ないよね」
そうして出来上がったヒヒイロカネ一つ一つに、≪生命土創造≫を発動する。
「下手に魔物をモデルにすると冒険者に狩られちゃうからなぁ、やっぱり人型か。だとすると、これかな」
僕は六つのヒヒイロカネを、人型モデルのゴーレムへ昇華させた。
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レッド Lv1
人(シンのゴーレム) 男?
物理攻撃力高め
防御力高め
脚力高め
魔力高め
魔法攻撃力低め
ユニークスキル
なし
スキル
【剣術】Lv5
【盾術】Lv3
【指揮】Lv3
【身体能力強化】Lv5
【自動修復】Lv3
称号
赤戦士
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ブルー Lv1
人(シンのゴーレム) 男?
物理攻撃力高め
防御力低め
脚力高め
魔力高め
魔法攻撃力高め
ユニークスキル
なし
スキル
【槍術】Lv5
【水属性適性】Lv2
【属性魔法≪水≫】Lv5
【身体能力強化】Lv5
【自動修復】Lv3
称号
青戦士
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グリーン Lv1
人(シンのゴーレム) 男?
物理攻撃力極高
防御力極高
脚力低め
魔力低め
魔法攻撃力低め
ユニークスキル
なし
スキル
【大剣術】Lv4
【斧術】Lv5
【身体能力強化】Lv5
【回復魔法】Lv2
【自動修復】Lv3
称号
緑戦士
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イエロー Lv1
人(シンのゴーレム) 女?
物理攻撃力極低
防御力極低
脚力極低
魔力極高
魔法攻撃力極高
ユニークスキル
なし
スキル
【全属性適性】Lv3
【属性魔法≪火≫】Lv3
【属性魔法≪水≫】Lv3
【属性魔法≪風≫】Lv3
【属性魔法≪土≫】Lv3
【MP自動回復】Lv4
【自動修復】Lv3
称号
黄戦士
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ピンク Lv1
人(シンのゴーレム) 女?
物理攻撃力低め
防御力低め
脚力高め
魔力極高
魔法攻撃力低め
ユニークスキル
なし
スキル
【弓術】Lv5
【回復魔法】Lv5
【補助魔法】Lv3
【MP自動回復】Lv5
【自動修復】Lv3
称号
桃戦士
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ブラック Lv1
人(シンのゴーレム) 男?
物理攻撃力極低
防御力低め
脚力極高
魔力高め
魔法攻撃力極高
ユニークスキル
なし
スキル
【魔闘術】Lv5
【身体能力強化】Lv5
【心眼】Lv1
【自動MP回復】Lv3
【自動修復】Lv3
称号
黒戦士
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「1mのヒヒイロカネはどこに入っているんだってつっこんだら負けなのかな」
出来上がった六体のゴーレムは身長が150cm〜190cmの間である人型だ。
それぞれ、名前が表す色の全身スーツアーマーの様なものを着ている。というか中の人なんていないので、体の表面が全身スーツアーマーであるようにモデル化したんだけどさ。
体内に直径1mの球体を持っているはずなのにそれらしき膨らみがないため、圧縮か何かされているんだと思う。
「これでも街中とか歩けそうだけど、一応【認識阻害】を合成した方がいいかな」
ヒヒイロカネで作ったおかげか、ゴーレム自体にスキルを合成出来そうだったので、六体に〝人間っぽく見せる〟認識阻害スキルを合成した。
「これで完璧でしょ。あとは武器か」
鋼で作られたそれぞれが得意とする武器をGIから取り出し、六体に渡す。
「俺の鉄の剣より強い武器だな。って今は無いけどさ」
本当は防具も付けてもいいんだけど、予想外に強くなったので敢えて付けない。というか【自動修復】スキルがあるから、魔核を破壊されない限りどんなに壊されてもこのゴーレム達は再生するし。
それにこのクラスになると思考と会話がゴーレムにも可能になる。
こいつらの強さなら冒険者になって稼ぎ、防具を買うくらい余裕だろう。
「ヒヒイロカネの大きさとかオリハルコン等の配合比率とかが適当だったからか、能力に少し差があるなぁ。まぁいいか。結構気に入ったしパーティー名をつけよう。うーん、よし、色軍団だ!」
6色のカラフルなパーティー。うん、悪くない。
「というわけで準備オーケー! 死ぬなよ、僕のゴーレム達!」
僕は時空属性上級魔術≪他者転移≫を、着地点を『地上で街の外である場所』に設定して発動。当然、こんなに抽象的に着地点を設定すると、ランダム転移になる。
一瞬にして目の前の六体は消え、この世界のどこかへと飛んで行った。
まぁゴーレムは使役者と繋がっているから破壊されれば分かるし、そもそもあの強さならその辺の敵には負けないので僕はあまり心配していない。
「可愛い子には旅をさせろ、とはよく言ったものだねぇ」
晴天の下、僕は一人そう呟き、次の実験を始めた。
感想、誤字・脱字・誤用法報告など、お待ちしております。
・ブルーの魔法を火→水に変更(3/9)