第2話 異世界人との初遭遇
お気に入り登録件数が9倍になって嬉しい作者です!
なるべく短いスパンで更新していけたらな、と思います。
この世界の魔法には、長ったらしい詠唱は無く、代わりに魔法陣なるものが存在する。この魔法陣が魔法の全てなんだとか。
魔法陣の中には、神代語という遥か昔に存在した言語で文章の様なものが書かれている。この文章に発動する魔法の情報、すなわち属性・威力・規模・効果が記載されている。
魔法を得意とする魔術師達は、まず魔法陣を魔力で投影し、そこに魔力を充填する(この過程を『魔填』と呼ぶ)。魔法陣全体に必要な魔力が魔填されると神代語が効果を発揮し、指定通りの魔法を発動させるというのが魔法発動のメカニズムだ。
この世界で魔法が使われる様になったのは随分昔のことで、言い伝えによれば、ある日突然魔力を持つ全ての生物に神が魔法を与えたらしい。
神は魔法を五段階(基礎、下級、中級、上級、最上級)に分け、敢えて不完全な形で与えた。
初めは与えられた通りに使っていたが、人間の様に好奇心旺盛な種族は独自に魔法の研究を始めた。
しかし魔法を制御する魔法陣に使われている神代語は、本来は神が扱う言語であり、たとえ数千年かけても人間が解明出来る様なものではなかった。
そのため、人間達は方向を変えたのだ。つまり、ゼロから生むのではなく、既存を変化させる方向へと。イメージだけで魔法を魔術へと昇華させる方向へと。神が魔法を不完全な形で与えていることに気付いたわけではないだろうが、結果としてそれが功を奏し、人間はついに与えられたのではない魔法を生み出した。
この時こそ、『魔法』という概念は神が与えた『始原魔法』と人間が生み出した『魔術』とにはっきりと分かれ、魔法時代が始まった瞬間だった。
とは言ってもイメージだけで始原魔法から魔術へと変化させるのには非常に時間がかかり、一つの魔術を生み出すのに人生を掛けてしまうことも珍しくなかった。それでも人々は魔術の開発に勤しみ、今では数え切れない程の魔術が生まれている。一家や一族に伝わる〝秘伝の魔術〟というものさえあるらしい。
しかし結局、神代語の解明には至らず、というより研究を始めてからほとんど成果もなく、今では人力で魔術を開発するのが主流であり神代語の研究はほとんど行われていないらしいーーー
「ふぅ……。暇だったから読んでみたけど、やっぱりこれ〝常識本〟じゃないでしょ。予想通り深奥の魔書だからページ数凄いし。この辺はいいけど後半とか一体何が書いてあるんだろ」
そんなわけで、常識本からの引用でした。
いやー街道に着いたはいいんだけど、全然人来ないや。多分もう三時間くらい待ってる。
着いてすぐは魔法の練習とかしたんだけど街道周りが荒れちゃうから早々に断念。
体を動かすのも考えたけど、汗臭くなって人に避けられたら嫌だから断念。
結局、GIから必要そうな物を転送した後、予定変更して常識本を読んでました。
「まぁ色々参考になったからいいけど、あれはちょっとミスったかなぁ」
そう、この世界では魔法陣に使われている神代語が全くと言っていいほど解明されていない。
にも関わらず、神代語を理解すれば魔法を制御できると知って、考え無しに神代語を理解できるスキル、【天星眼】(魔眼の一種)を転送、取得してしまったのだ。
【天星眼】のスキル自体は非常に便利で、魔法陣の解析、コピー&ペースト、編集が出来る。
魔法陣の解析とは、魔法陣を見た時にそこに神代語で書かれている文章を読み取ることで、その魔法の内容を読み取る機能だ。これにより、僕は魔法を使う相手と戦うのが圧倒的に有利になる。だって魔法陣見れば相手の手が分かるんだからね。
また魔法陣のコピー&ペーストは、一度でも見た魔法陣はその場で脳内に保存し、その後はいつでも自分の魔法陣として発動出来る様になるという機能だ。これもこれで反則くさい。秘伝の魔術とかでも一度魔法陣を見れば使える様になっちゃうし。
そして最後に魔法陣の編集。これが一番反則なんだけど、要は自分の持つ魔法陣を好きに書き換えたり、新たに魔法陣を生みだすことが出来る機能だ。まぁ神代語が理解できればこの機能は無くても似たような事は出来るんだけど、自分の持つ魔法陣を管理するという意味でもかなり便利だし、この機能を得る副産物として神代語の知識が手に入るので、やっぱりこれが一番反則。
そんなわけで、僕はこの世界で唯一〝神代語を操れる生物〟になってしまったのだ。
まぁ強いからいいけどね。
「結局僕のステータスってどうなったんだっけ。確認しよっかな、≪ステータス≫」
すると僕の脳内に、僕の能力を示したステータスが浮かび上がった。
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シン Lv1
人族
HP 11000/11000
MP ∞
Str 1103
Vit 1047
Int 2188
Min 1029
Dex 1078
Agi 1512
ユニークスキル
【次元間転送】
【解析】
【異世界言語】
ノーマルスキル
【武神】
【全属性適性】
【身体能力強化】
【腕力強化】
【知力強化】
【脚力強化】
【状態異常耐性】
【属性魔法≪火≫】
【属性魔法≪水≫】
【属性魔法≪風≫】
【属性魔法≪土≫】
【属性魔法≪雷≫】
【属性魔法≪氷≫】
【属性魔法≪光≫】
【属性魔法≪闇≫】
【属性魔法≪無≫】
【属性魔法≪木≫】
【属性魔法≪時空≫】
【回復魔法】
【補助魔法】
【連装魔法】
【天星眼】
【遠視】
【暗視】
【鍛治】
【調合】
【彫金】
【錬金術】
【二刀流】
【泳ぎ】
【水中適性】
【縮地】
【空歩】
【魔填短縮】
【能力隠蔽】
【隠密】
【空間掌握】
【罠解除】
【万物合成】
称号
最高神の加護
生命神の加護
創造神の加護
武神の加護
魔導神の加護
運命神の加護
神々の寵児
渡りし者
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うん、まぁ皆の言いたいことは分かるよ。僕も後になって冷静に考えたら〝やり過ぎだ〟と思ったもん。
まず能力値。武神様と魔導神様やり過ぎ。Str〜Agiまでの能力って人族の平均は100前後なんだって。……10倍余裕ですけど。MPとかもう何も言えないし。
称号も色々おかしい。教会の人に見つかったらヤバそう。
そして数々のスキル。
ユニーク以外のスキルにはLv1〜10まであって、Lv10になると表示が消えるんだとか。
……はい、全部Lv10で取得しました。
だって何だかんだ言っても〝異世界〟に来て少しテンション上がってたんだもん!
まぁ仕方ないよね、うん。同じ轍は踏まない様にしよう。
【武神】は全ての武器スキルを取得したら出て来た複合スキル。うん、多分そういうスキル。
ちなみに複合スキルというのは、幾つかのスキルの効果を併せ持つスキルのことらしい。
【全属性適性】は魔導神様が言っていた様に、元々僕が持っていた複合スキルっぽい。どの属性の魔法も習得が早くなり、また魔術の開発速度が上がるらしい。魔眼があるから後者は要らなくなったね。
【身体能力強化】【腕力強化】【知力強化】【脚力強化】は割とそのまま。順番に、全能力、Str、Int、Agiが強化されている。
【状態異常耐性】もそのまま。状態異常になりにくい。というか多分なりません。
【属性魔法≪〜≫】も魔導神様が言っていた通り、その属性の魔法|(つまり魔法陣)が扱える様になるスキル。
【回復魔法】【補助魔法】は、前世のゲームでもお馴染みのもの。RPGの認識で問題ないかな。
【連装魔法】は、魔法陣を同時に複数扱えるスキル。本来魔法陣は同時に複数は扱えない物らしい。このスキルのレベル分だけ、同時に扱える数が増える。僕の場合は同時に11個も扱えちゃいます!(ドヤァ
【天星眼】は既出。
【遠視】【暗視】もそのまんま。遠くが見えたり暗くても見えたり。ちなみに【透視】なんてスキルは無かった。いや、期待してたわけじゃないよ? 本当だよ?
【鍛治】【調合】【彫金】もそのまんま。素材から作る楽しさってあるよね。
【錬金術】は割と便利なスキル。回復薬を薬草にしたり、薬草を薬草の種にしたり。その逆も然り。また『合成スキル』の様な役割も持っていたりする。
【二刀流】は武器を二本装備してもそれぞれを一本だけ装備している時の様に扱えるスキル。
【泳ぎ】は泳げるスキル。
だんだん雑になってきたなぁ。
【水中適性】は水中でも地上と同じ様に行動できるスキル。呼吸も出来る。
【縮地】は前世の世界で有名な武術のアレ。瞬間移動並みの速度で移動出来る。
【空歩】は空中散歩が出来るスキル。
【魔填短縮】は名前のまんまで、魔法の発動に必要な魔填の過程を短縮出来るスキル。
普通魔填というのは、標準で
基礎魔法→必要なし
下級魔法→1秒〜10秒
中級魔法→30秒〜3分
上級魔法→5分〜10分
最上級魔法→10分以上
ぐらいの時間がかかる。これはあくまで目安であり、得意不得意で前後するらしいけど。
にも関わらず【魔填短縮】Lv10を取得した僕は、最上級であっても10秒ほどで魔填完了してしまう。目安を見る限り元々魔填は結構得意だったみたいだけど、にてしも異常な速度であることには変わりない。というわけで、魔法使いには必須のスキル。
【能力隠蔽】は【鑑定】などで能力を見られた時に、予め設定しておいた偽の能力を見せることが出来るスキル。やり過ぎな人には必須。はい、僕のことです。
【隠密】は気配を消せる暗殺者みたいなスキル。色々役立ちそう。
【空間掌握】は【気配察知】【魔力感知】【罠探知】の複合スキル。発動すると頭の中に自分を中心とした球形のレーダーの様なものが広がり、範囲内の生物の気配、魔力の気配、罠の位置を探知して、脳内のそのレーダーに表示するというなかなか強力なスキル。空間を立体的に捉える能力もある。ちなみに範囲はLv×200mみたいなので、今の僕は全力だと2kmを掌握範囲に収められる。頭が疲れるから2kmはやらないと思うけど。
【罠解除】は罠を解除できるスキル。この世界には迷宮があるみたいなので、そこで役立ちそうなスキル。
【万物合成】はただのチートスキル。あらゆるものを掛け合わせて新たなものを生みだすスキルらしい。魔道具作りに便利そう、ぐらいにしか思ってない。
「それにしても人来ないなぁ。もう一か八かでどっちかに歩いてみようかな」
左に進んで蛇行した道を進むか、右に進んで森を迂回する様に大きく右に曲がって行くか。
「右は森に隠れて道がどうなってるのか見えないし、取り敢えずあっち行ってみようかな……って、お?」
なんて僕が迷っていると、ちょうど右の方から音が聞こえる。
何かがカタカタする音と、カッポカッポとリズミカルに走る音。
「これは……馬車、かな?」
そう思って見ていれば、次第に見えてくる音源物体。予想通り馬車だ。
ボロボロではなく、しかし豪華でもない。実用性を重視した様な作りの馬車。御者席には三十代くらいの男性が一人、服装からして冒険者とかではなさそう。
僕の手前まで馬車が来た時に勇気を出して声をかけてみると、馬車を止めてくれた。
「おや、こんにちは。こんなところでどうしたんですか? 見た感じ冒険者ではないようですが」
「はい、あの、ここってどこですか?」
「ファラード国内、という答えで良いですかな?」
ファラード。常識本にも書いてあったな。確か人族の国だったはず。
「あと、右と左、どちらが街まで近いか教えてもらえますか?」
「私が来た方にはイシュタルの街が、向かう方にはミーネの街がありますよ。近さで言えば、断然ミーネでしょう」
左だったか。この人が来なかったら右に行ってたな、危ない危ない。
というわけで、ここからは予め考えておいた〝設定〟を話す。
「そうでしたか、ありがとうございます。いやー、気が付いたらここにいまして、なんでここにいるかさっぱりだったんですよね。今までどうしていたかもあまり覚えていなくて。助かりました」
「ふむふむ、記憶喪失というものでしょうか」
「どうでしょう、名前やある程度の知識はあるんですけど。あ、僕シンって言います」
「私は商人をしています、リンダ・エルマーという者です。シンさんはミーネに向かわれるのですか?」
「そうですね、取り敢えず近くの街に行ってみたいのでそうなりますかね」
「そうですか。もし良かったら、相乗りしますか?」
相乗り……馬車に乗るチャンス!
「良いんですか?」
「ええ、ここで会ったのも何かの縁でしょう」
「ふふ、そうかもしれませんね。今度からご贔屓にさせていただくやもしれません」
軽い冗談を挟みながら、馬車に乗せてもらった。馬車には荷物がいっぱいだし、空いていたので御者席の後ろの空間に座る。
するとそれを合図となったのか、リンダさんの指示で馬が再び歩き出し、馬車は走り始めた。
感想、誤字・脱字・誤用法報告等、お待ちしております。
【レーダー】→【空間掌握】に修正しました(3/4)




