[Ⅰ]
オレは、静谷怜也。(しずたにれいや)
名前のせいではないと思うが…、
静かな人間だ…。
自分でもそう思うくらいだ。
友達も出来なかった…。
もちろん、彼女だって出来なかった。
というか、作ろうとしなかった。
どうせ叶わない願いなら、願う必要なんてないと思った。
好きな人なんて、作ったとしても…どうせ、こっちの片思いで終わるから。
だから作らないはずだった。
でも…
―あの時オレは…3年たった今でも、忘れられないような…恋をしたんだ―
中1だった3年前、オレのクラスに転校生が来た。
皆が盛り上がる中…
何も興味が無かったオレは、ただ外を眺めていた。
そのあと、先生の話が終わり休憩時間になると、転校生がこっちに来た。
「よろしくね。…外、好きなの?」
怜也は、自分に話しにくるとは思いもしていなかったので、少しびっくりした。
「あぁ、よろしく。…いや、外というか、桜…かな。」
返事はいたって無愛想だ。
「桜好きなの!?ウチも大好き!!一緒だね!!」
そう、笑顔で言った。
ドキ…。
とびっきりの笑顔に、胸がときめいたような気がした。
何なんだ…?
オレは…
きっと…あいつに一目惚れしたんだ…。
また人を好きになった。
封印してきた“好き”という感情を、心の奥から引きずり出した。
どうせまた…
不安はある。
なにもかも上手くいかないオレに恋愛なんて…。
ただ、ほんの少しの可能性にかけてみたいと思った。