表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界にクラス転移した結果、俺だけ魔王判定で即死刑!?助けてくれた魔王四天王が最強すぎた!  作者: 小鳥遊夜乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

第4話 魔王城の日常は、だいたい俺の想定外

読んでいただきありがとうございます。

世界が終わりかけているらしい。

……らしい、というのは、

俺自身にはまったく実感がないからだ。


「魔王様、朝です」


目を開けると、

黒い肌に赤い目、紫髪に黒いツノの男――

アルス・クロイツが、いつも通り立っていた。


「……おはよう」


「はい。良い朝です」


良い朝の基準が分からない。

魔王城の食堂は、今日も無駄に広い。

長いテーブル。

豪華な椅子。

そして――明らかに多すぎる料理。


「……量、おかしくない?」


「魔王様の栄養管理です」


答えたのは、

赤髪ロングの美人魔導師――リリス・アウレリア。


「朝は大事ですから」


「大事なのは分かるけど、

 これは戦争準備だよね?」


ガルドが、

山盛りの肉を頬張りながら親指を立てる。


「食えない分は俺が食うぞ!」


「それは助かるけど胃袋どうなってるの!?」


俺が箸を止めていると、

リリスが静かに俺の隣へ来た。

手には、スプーン。

嫌な予感しかしない。


「魔王様」


「……いや、言わなくていい」


「はい、あ~ん」


「言った!!」


即座に手を振る。


「自分で食べられるから!」


「ですが先ほど、

 量が多くて手が止まっていましたよね?」


「事実だけど!」


アルスが真顔で補足する。


「第三者による摂食補助は、

 効率が約一・三倍になります」


「数値で追い詰めるな!」


ニエルが、少し離れた席から小さく言った。


「……冷める」


「それが一番効くからやめて!」


リリスはくすっと笑い、

スプーンをほんの少し近づける。


「一口だけです」


「……一口だけだからな?」


観念して口を開ける。


「はい、あ~ん」


……普通に、美味しい。


「……」


「いかがです?」


「悔しいけど、美味しい」


リリスは満足そうに微笑んだ。


「魔王様の好みに合わせて、

 味付けを調整しましたから」


「そこまで把握してるの怖いんだけど!?」


ニエルが視線を逸らしつつ、ぽつり。


「……似合ってた」


「聞こえてるからね!?」


結局その日、

俺は最後まで自分でスプーンを持てなかった。


「次はお着替えですね」


差し出されたのは、

黒と赤を基調にした豪華なローブ。


「動きづらくない?」


「戦闘になれば、

 アルスが前に出ますので」


「俺が動かなくていい前提やめて!」


城内案内が始まる。


・訓練場(壊滅済み)

・結界制御室(常時稼働)

・魔導書庫(空間に本が浮いている)


「……これ全部?」


「ええ。管理しています」


リリスはさらっと言う。


「城の維持、結界、気候、魔力循環ですね」


「それ一人の仕事じゃない!」


ガルドが壁を指差す。


「ここ、俺が軽く殴ったらこうなった!」


「軽くって何!?」


「全力の一割!」


「一割で城壊すな!」


ニエルが壊れた壁を見て呟く。


「……雫、落とさなくてよかった」


「落とす前提なのやめて!!」


一日の終わり。


広すぎる寝室で、

ベッドに腰掛けて考える。


「……なあ」


「俺、本当に魔王なのかな」


扉の向こうから、

四人分の声が即座に返ってきた。


「「「「はい」」」」


「即答やめてって言ってるでしょ!」


……でも。


怖いことはなかった。

誰も傷つかなかった。


四天王はズレているけど、

本気で俺を守っている。


「……まあ、悪くないかも」


布団に潜り込むと、

小さな声が聞こえた。


「……おやすみなさい、魔王様」


ニエルだ。


「……おやすみ」


――魔王城の日常は、

今日も平和だった。


少なくとも、

世界が終わらない程度には。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ