第2話 魔王四天王の自己紹介が重すぎる
目を開けると、俺は知らない天井を見上げていた。
黒い石造り。
やたらと高い。
シャンデリアが無駄に豪華。
「……ここ、病院?」
「魔王城です」
即答だった。
声のした方を見ると、
そこに立っていたのは――
黒い肌に赤い目、紫髪で黒いツノを持つ長身の男。
無言で立っているだけなのに、
圧がすごい。
「……あ、はい」
俺はとりあえず頷いた。
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第一四天王 魔王の盾と剣
男は一歩前に出て、片膝をつく。
「第一四天王、
アルス・クロイツ」
「魔王様の盾であり、剣です」
「盾と剣を同時にやる意味ある?」
即ツッコむと、
アルスは一瞬だけ目を瞬かせた。
「……なるほど。
“剣を抜く必要がない世界を望まれている”と」
「そんな深い意味じゃないから!」
なのに、
なぜかメモを取られた。
やめてほしい。
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第二四天王 色気と魔法の過剰供給
次に前へ出てきたのは、
赤髪ロングの美人だった。
白い肌。
胸元がやたらと自己主張している魔導衣。
そして――
彼女の横に、
勝手に浮かんでいる大きな杖。
「第二四天王、
魔王様専属魔導師――
リリス=アウレリアです」
「……杖、持たなくていいの?」
「手が空いた方が便利でしょう?」
そう言って、
距離を詰めてくる。
近い。
「大丈夫ですよ、魔王様。
回復、結界、精神安定、全部任せてください」
「範囲が広すぎない?」
「魔王様ですから」
基準が分からない。
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第三四天王 能力なしの最強
「おおおおお!!」
床が揺れた。
振り向くと、
そこにいたのは筋肉。
とにかく筋肉。
「第三四天王!
ガルド=バルバロスだ!」
金髪ショート。
鎧が似合わないほどの肉体。
「能力はない!!」
「え?」
「だが!!
強く!!
固く!!
速い!!」
「説明が雑!」
ガルドは胸を叩く。
「武に卑怯は不要!
正々堂々、真正面から戦う!」
「命までは取らないよね?」
「当然だ!
それが武士道だ!」
……この人、
見た目より一番話が通じるかもしれない。
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第四四天王 静かすぎる最終兵器
最後に。
少し離れた場所に立っていた、
小柄な黒髪の少年が前に出た。
「第四四天王」
……それだけ。
「え、終わり?」
「……ニエル・ノワール」
小さな声。
「能力は?」
「……黒龍です」
「さらっと言うな!?」
場の空気が、
一瞬で重くなる。
「……必要な時だけ、出ます」
「出ないで済むなら、
その方がいいな」
そう言うと、
ニエルはほんの一瞬だけ――
少し嬉しそうな顔をした。
……今、笑った?
アルスが静かに補足する。
「魔王様。
彼は褒められると機嫌が良くなります」
「言わなくていいから!」
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四天王、まとめると
俺は深く息を吸った。
「……整理すると」
アルスが言う。
「私は守ります」
リリスが微笑む。
「私は支えます」
ガルドが胸を張る。
「俺は殴ります!」
ニエルが小さく。
「……終わらせます」
「最後だけ物騒すぎる!!」
全員、
悪気がないのが一番怖い。
「なあ……」
恐る恐る聞く。
「俺、本当に魔王なの?」
四人は、
一切の間を置かずに答えた。
「「「「はい」」」」
即答。
「即答やめて!!」
こうして俺は理解した。
この人たちは、
世界最強で、
俺を本気で守ってくれていて――
全員ちょっとズレている。
「……俺、
また何かやっちゃいました?」
四天王は、
なぜか誇らしげに頷いていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次話で「知ってはいけないもの」を知ることになります。




