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異世界にクラス転移した結果、俺だけ魔王判定で即死刑!?助けてくれた魔王四天王が最強すぎた!  作者: 小鳥遊夜乃


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第12話 それでも、二人で行かなきゃいけない

水瀬ひかりは、

一人で行くつもりだった。


少なくとも、

立ち上がった時までは。



談話室の空気は、

重く沈んでいた。


「……無理だろ」


「近づいたら死ぬって」


「今さら何しに行くんだよ」


誰も、

前に出ない。


誰も、

責任を取らない。


ひかりは、

その輪の外で静かに言った。


「……私、行ってくる」


一瞬、

時間が止まった。


「は?」


「どこに?」


ひかりは、

はっきり答えた。


「天間くんのところ」



「正気かよ!」


「自殺だろ!」


「魔王だぞ!?」


言葉が、

一斉に飛んでくる。


ひかりは、

それでも目を逸らさなかった。


「分かってる」


「怖い」


「でも……」


声が、

少しだけ震える。


「処刑の時」


「私、

 賛成しなかった」


「……でも、

 止められなかった」


その場が、

静まり返る。


「それが、

 一番ズルいって

 分かってる」


ひかりは、

胸の前で手を握った。


「だから」


「せめて、

 自分の足で行きたい」



「……一人じゃ行かせない」


低い声。


高橋剣聖だった。


全員が、

驚いて振り向く。


「高橋?」


剣聖は、

ひかりの横に立つ。


「俺も行く」


「え……?」


ひかりが、

目を見開く。


「お前を

 守るためじゃない」


剣聖は、

まっすぐ前を見る。


「責任を、

 取りに行く」



「俺は、

 剣を振れる」


「強いって言われてきた」


「でも――」


拳を、

強く握る。


「一番大事な場面で、

 何もできなかった」


処刑台。


剣聖は、

その光景を思い出す。


「だから」


「もし、

 あいつが俺を斬るなら」


「それでいい」


「……それでも、

 話は聞く」


誰も、

言葉を返せなかった。



「護衛は?」


兵士が、

事務的に尋ねる。


剣聖は、

首を横に振った。


「要らない」


「剣も、

 抜かない」


ひかりが、

隣を見る。


「……いいの?」


「ああ」


「逃げない」


それだけだった。


二人は、

歩いた。


馬車も使わず、

魔法も使わず。


ただ、

足で。


「……ねえ」


ひかりが、

小さく聞く。


「怖くない?」


剣聖は、

少し考えてから答えた。


「怖い」


即答。


「でも」


「剣を握るより、

 逃げる方が

 怖い」


ひかりは、

小さく笑った。


「……ありがとう」


「礼を言われることは、

 してない」


黒い城が、

遠くに見えた。


圧倒的な存在感。


ひかりは、

一瞬だけ足を止める。


剣聖も、

立ち止まった。


「……なあ」


剣聖が言う。


「もし、

 途中で戻りたくなったら」


「無理に

 進まなくていい」


ひかりは、

首を横に振る。


「一緒に来たんでしょ?」


「……ああ」



「……ごめんなさい」


ひかりは、

城を見つめて呟く。


「遅くなって」


剣聖は、

その言葉を聞いて――

ただ、前を見た。

二人は、

再び歩き出す。

それが、

世界にとって

どんな意味を持つのか。


まだ、

誰も知らない。

読んでいただきありがとうございます。

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