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異世界にクラス転移した結果、俺だけ魔王判定で即死刑!?助けてくれた魔王四天王が最強すぎた!  作者: 小鳥遊夜乃


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11/12

第11話 観測結果という名の、絶望

王国中央魔導研究塔。


その最上階は、

普段なら静かで、

神聖な場所だった。


――普段なら。


「……再計測を要求する」


白衣の老魔導士が、

震える声で言った。


「三度目です」


記録係の女性が、

青ざめながら答える。


「結果は……

 すべて一致しています」


部屋の中央。


巨大な観測水晶が、

まだ微かに黒い光を帯びていた。


「君たちにも、

 見てもらう必要がある」


そう言われて、

集められたのは――


クラス転移者。


その中には、

高橋剣聖もいた。


「……何の話ですか?」


腕を組みながら、

短く聞く。


その隣で、

水瀬ひかりは不安そうに水晶を見つめていた。


他のクラスメイトは、

どこか苛立った様子で立っている。


「また魔王の話かよ……」


「どうせ、

 四天王が暴れたんだろ?」


「もう終わった話じゃん」


誰かが笑った。


――その空気は、

次の瞬間、凍りつく。


水晶に映し出されたのは――

魔王城の中庭。


「……これ、

 結界観測?」


「はい」


研究員が頷く。


「王国最高位観測式です」


映像の中。


赤髪の魔導師――

リリスが、炎を出していた。


「……普通の魔法じゃん」


クラスメイトの一人が呟く。


「それは手本です」


研究員の声が、

低くなる。


「問題は、この後です」


画面に、

天間央輔が映る。


その瞬間。


数人が、

明らかに表情を歪めた。


「……あいつ」


「まだ生きてたのかよ」


「魔王に拾われたとか、

 笑えないんだけど」


高橋は、

何も言わない。


ただ、

映像を見つめていた..


映像の中で、

天間が手を出す。


そして。


――黒い炎が空を覆う。


「…………は?」


誰かが、

間抜けな声を漏らす。


研究員が、

震える手で資料を開いた。


「観測結果――

 “熱量測定不能”」


「結界耐久――

 限界突破」


「空間歪曲――

 同時発生」


沈黙。


「……いや、待て」


男子の一人が、

声を荒げた。


「こんなの、

 映像トリックだろ!?」


「魔王は四天王だって話じゃ――」


研究員が、

首を横に振る。


「違います」


「四天王は――」


一拍置いて。


「抑止装置です」


部屋の空気が、

凍りついた。


「我々は、

 長年誤解していました」


老魔導士が、

水晶を見つめたまま言う。


「魔王とは、

 “最強の敵”ではない」


「魔王とは――」


「世界を基準にしてしまう存在です」


誰も、

言葉を返せなかった。


「……ふざけんなよ」


小さな声。


振り向くと、

男子の一人が、震えていた。


「じゃあ……

 俺たち、

 何と戦うんだよ」


誰も答えない。


別の女子が、

涙ぐみながら呟く。


「……私たち、

 あの人に」


「死刑、賛成したよね」


沈黙。


重すぎる沈黙。


その中で。


高橋だけが、

静かに口を開いた。


「……あいつは」


全員が振り向く。


「俺たちと同じクラスだった」


それだけ言って、

黙る。


拳が、

わずかに震えていた。


「……会いたい」


小さな声だった。


「謝りたい」


水瀬の言葉に、

誰も反論できない。


だが。


研究員が、

静かに告げる。


「王国は、

 接触許可を得ようとしました」


「結果は――」


「“今は会わない」

その一言。


それだけ。


「……それって」


誰かが呟く。


「怒ってるってこと?」


老魔導士が、

ゆっくり首を横に振る。


「違う」


「最も恐ろしいのは」


「――敵として認識されていないことだ」


観測水晶が、

静かに暗くなる。


部屋の誰もが、

同じことを考えていた。


もし。


もし、あの炎が――

こちらに向けられたら。


勝敗など、

存在しない。


ただ、

終わる。


「……なあ」


クラスメイトの一人が、

かすれた声で言う。


「俺たち……」


「本当に、

 異世界に来たんだよな」


誰も、

笑わなかった。

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