第1話 異世界にクラス転移した結果、俺だけ魔王判定で即死刑!?
「――以上の理由により、被告人を死刑とする」
淡々と告げられたその言葉を聞いて、
俺――天間央輔は、頭が真っ白になった。
理由は、たった一つ。
鑑定結果が、
**「魔王」**だったからだ。
⸻
数分前まで、俺たちは同じ教室にいた。
昼休み。
次の授業だるいな、なんて話をしながら、
いつも通りの、どうでもいい日常を過ごしていたはずだった。
それが突然、
強い光に包まれて――
気づけば、
豪華すぎる玉座の間に立っていた。
「勇者召喚だ!」
誰かがはしゃぎ、
誰かが現実感のない笑い声を上げる。
俺も正直、
少しだけ浮かれていた。
異世界。
転移。
テンプレみたいな展開。
一人ずつ、水晶に手を触れ、鑑定が始まる。
「称号・戦士!」
「魔法適性・高!」
「勇者候補!」
クラスメイトたちは歓声を上げ、
空気は一気に明るくなった。
――俺の番になるまでは。
水晶に触れた瞬間、
それは黒く濁った。
「……な……?」
鑑定官の声が詰まる。
「称号――魔王」
「魔王適性――神レベル」
……え?
「は?」
誰かが、後ずさった。
「冗談でしょ……」
「なんで天間が……」
「近づかないほうがよくない?」
一気に、距離を取られる。
「ちょ、待って。
俺、何もしてないし……」
説明しようとした瞬間、
兵士に腕を掴まれた。
「被告人、前へ」
「被告人!?」
助けを求めて、クラスメイトを見る。
だが返ってきたのは――
「仕方ないだろ……」
「魔王なんだし……」
「俺たちまで巻き込まれたら困る」
切り捨てる声。
目を逸らす視線。
その中で、ただ一人。
「待ってください!」
剣道部のエース――高橋剣聖が声を上げた。
「天間は、
そんな奴じゃありません!」
一瞬、救われた気がした。
だが――
「感情論だ」
王の一言で、終わった。
水瀬ひかりが、
震える声で何か言いかけたが、
その声は、誰にも拾われなかった。
こうして俺は、
異世界に来て五分で、
処刑台の上に立たされた。
⸻
首元に、冷たい感触。
ギロチン、だよな……これ。
「……なあ」
思わず、呟く。
「俺、
また何かやっちゃいました?」
誰も答えない。
次の瞬間――
ゴウッという轟音とともに、空気が震えた。
処刑台の前にいた兵士たちが、
見えない力で吹き飛ばされる。
「なっ――敵襲!?」
空間が歪み、
黒い影が広がった。
現れたのは、四人。
黒い肌に赤い目、
紫髪に黒いツノを持つ長身の男。
赤髪ロングの、美人魔導師。
筋肉の塊のような大男。
そして――
少し小柄な、黒髪の少年。
四人は、
同時に俺の前で跪いた。
「「「「――我らが主よ」」」」
「…………は?」
混乱する俺をよそに、
長身の男が静かに名乗る。
「第一四天王、
アルス・クロイツ」
「魔王様の盾であり、剣です」
「いや、
そんな物騒な役職いらないんだけど!?」
赤髪の女性が、
にこやかに微笑む。
「第二四天王、
魔王様専属魔導師――
リリス=アウレリアです」
「安心してください。
回復も防御も精神安定も、全部お任せを」
「範囲広すぎない!?」
筋肉の大男が、
豪快に笑った。
「第三四天王!
ガルド=バルバロスだ!」
「魔王様に害なす奴は、
正々堂々ぶっ飛ばす!」
「ぶっ飛ばさなくていい!」
最後に、黒髪の少年が一歩前へ。
「第四四天王……
ニエル・ノワール」
「……黒龍です」
「さらっと言うな!!」
その瞬間。
王が叫んだ。
「何者だ貴様ら!
衛兵、討て!!」
ニエルの影が、
静かに膨れ上がる。
空が、
夜に沈んだ。
「……黒龍だと?」
誰かの呟き。
俺は反射的に叫んでいた。
「待って!
誰も殺さないで!!」
次の瞬間。
「承知しました」
ニエルの短い返答とともに、
世界は――何事もなかったかのように静まった。
「……え?」
アルスが、当然のように言う。
「魔王様が望まれぬ限り、
世界は壊れません」
「その前提が重すぎる!!」
こうして俺は理解した。
どうやら俺は、
とんでもない立場に立たされたらしい。
そして――
さっきまで同じクラスだった連中は、
もう、俺の味方じゃない。
「……俺、
平和に過ごしたいだけなんだけどな」
四天王は、
揃って深く頷いた。
「「「「はい」」」」
即答。
「即答やめて!!」
――異世界生活は、
どうやら俺の想像より、
ずっと大変そうだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次話では魔王四天王の自己紹介が始まります。




