56話:癒し
「結局それにしたんだね」
一番最初に選んでもらった白いワンピースを選んだ私にそう言ってくる。
買ってもらったワンピースはその場で着て、除霊高の制服は袋の中に仕舞ってある。
「うん。すごく気に入ったからね。でも、本当に買ってもらって良かったの?お金なら私あるのに…」
基本的に生活に必要なもの以外は買うことのない私はかなり貯金のある方だ。
逆に昧はいろんなものを買っているので私のほうが経済的には余裕があるはずなのだが…。
「日頃の感謝の意味もあるからね。正直に痛い出費だけど…」
と苦笑する昧。
「無理しなくてよかったのに…」
「いいの!したくてしてるんだから!」
「…そこまで言うなら遠慮なく貰っておくね」
そんな会話をしながら街をぶらついているのだが、周りからの視線が痛い…。
チラチラとどっちを見ているのが嫌でもわかる。
そんなに変なのかな…?この服。
「舞桜、人気者だね。やっぱり世間は美人をほっとかないんだよ」
どうやら昧も視線に気づいていたらしくにこにこと笑顔でからかってくる。
「そういうのいいから…ほんとに。私多分言うほど可愛くないよ?」
なんせ世間知らずで基本的に知らない人には無愛想だし。
「舞桜が可愛くないなら世の中の大抵の人が可愛くなくなっちゃうんだよね…」
と苦笑する昧。
う~ん褒められて嫌な気分もしないし、あんまり自分を卑下しても嫌味に取られるだけか…。
そう思いこれ以上この話を深堀りするのを止める。
「…にしても、舞桜も女の子だねぇ。服一つでそんなにテンション上がるなんて」
これでも生物学的にちゃんと女なんだけど…。
「そう言う昧もテンション高いよね」
「そりゃ綺麗なものを見ていると心が癒やされるからね」
そう言ってじっと私を見つめてくる。
昧はいつも私を褒めてくれるので正直にとても嬉しい。
こんな私でもいいところがあるんだってそう思えるから。
昧は私にとって緋巫女などの仕事などで疲れた時の癒やしのようなものだ。
もちろん阿津斗と一緒にいても楽しいけどね。
「おっ、クレープだって!食べてみよ!」
そう言うやいなや駆け足でクレープの移動販売の方へ向かっていく。
あまり着慣れていない服なので少しもたつきながら昧を追いかける。
「へい!大将!オススメは!?」
「オススメかい?う~んそうだなぁ、このイチゴクレープはどうだい?
このイチゴが今朝採れたて新鮮のものをくれてねぇ。きっと美味しいよ」
「よし!それ買ったっ!」
バンッ!と叩きつけるように600円を出す昧。
「あいよっ!最高のやつ作るから待ってな!
そっちの可愛い嬢ちゃんは何にすんだい?」
「えっと…じゃぁ、チョコバナナで」
メニュー表を見て一番最初に目に入ったものを言ってお金を払う。
なんで昧はともかく店主さんまでノリノリなんだろ…。




