53話:ファンクラブ
寮に戻ってからは特に何もなく数日ぶりにゆっくりと寝ることが出来た。
次の日、約束より10分ほど早く待ち合わせの場所に向かう。
「あっ!舞桜!えへへ。おはよ」
トタトタと先に待っていたらしい昧が駆け寄ってくる。
…う~んめちゃくちゃ主人を見つけてしっぽ振りながら走ってくる犬っぽい。
などと失礼なことを考えつつ
「おまたせ。その服似合ってるね」
とオシャレをしている昧を褒める。
昧のイメージに合ったスポーティな雰囲気の服だ。
「ありがと!初めて着るからちょっと不安だったけど舞桜のおかげで自信出たよ!」
えへへへ、と嬉しそうにはにかむ昧。
「そう言う舞桜さんは……。いつも通りですな…」
やや呆れた表情で制服姿の私を見る。
「しってるでしょ?私服を持ってないこと」
「いやいや!前に一緒に買ったじゃんか!」
「あぁ~あれね…」
すぅ~と視線をそらす私。
「え、まさか…また?」
「…普通の服なんて戦闘に向かないんだから…。だから、私悪くない」
緋巫女とししての依頼はいつ来るか分からない。
貰った服を着ているときに依頼が来て服をだめにしてしまうのは私にとってよくあることだ。
ならば日頃は着なくてはいいのではと言われそうだが、せっかく貰ったものを着ないのは失礼というものだ。
ちょうどその時着替えのための御札なかったし…。不可抗力というやつだ
「…むぅ、仕方ないなぁ。元々行く予定だったし、先に洋服屋さん行くことにしよう」
「毎回言ってるけど戦闘しても破けたりしないのでお願いね?」
「服なんて利便性なんかよりも見た目でしょ!芋臭い服ばっかり着てたらせっかくの美人が台無しだよ!」
とぷんぷん怒る昧。
「私なんかよりも昧の方が人気者でしょ?たまに告白されてるの私知ってるからね?」
「な、何でそれを知って…、じゃなくって!それを言うなら舞桜なんて隠れファンクラブとかあるんだからね!
舞桜はSランクだし、雰囲気的に近寄り難いってのもあるけど昔から人気なんだよ!」
ふふ〜ん。と何故か自分のことのように誇らしげに言う。
…というか、ほんとに初耳なんだけど、それ。
「ちなみに私は会員No.1だから!
──つまり私が1番舞桜を愛してるという証拠っ!」
いや…そこまでいくとちょっとキモさが勝つよ?
「というか、そのファンクラブって何が目的で結成されたの?」
「そりゃもちろん可愛い舞桜様を崇めるためなんじゃない?
私会議とか参加したことないから知らないけど」
会員No.1がそれでいいのか…?
「ま、それはともかく早く行こっか。時間は有限だしね」
とは思ったがまぁこれ以上深堀りする必要も無い話のため話題を切り替える。
「そうだね!せっかくのデートだし、早く行こ!」
そうして私と昧のデートが始まった。




