52話:お出かけ
「あんな奇襲で勝った程度で調子に乗らないでほしいよねっ!」
いつものように3人での帰り道、ぷんぷんと怒った様子の昧がそう話しかけてくる。
「でもまぁ負けは負けだし。見抜けなかった私も悪いよ」
仮にあれが殺し合いなら私は死んでいる。
勝負には卑怯だとかそんな言い訳は通じない。
結局は何をしようが勝ったやつが生き残るのだから。
「でもでも!術を消し去るなんて見たことも聞いたこともないから分かんなくても仕方ないよっ!」
それはそうだ。私もあんな事ができるやつがいるなんて初めて知った。
というか、術を消し去るというよりも霊力が使えなくなったことを考えると、霊力そのものを消している説もある。
術を消すといえば私が昧にやってみせた解呪があるが、あれは時間をかけてゆっくりとやるものであんなにとっさにできるものではない。
う~ん考えるだけ謎が増えていく。
こういう理由のわからないものはそういうもの、と割り切る方が早い。
──と自分の中で結論を出す。
「あ、そうだ昧。明日暇なら一緒にお出かけでもする?」
先程本音を見てしまった申し訳なさからそう言うと
「ままま、舞桜が私をデートに誘う…だと!?なにか裏があるのかっ!」
…あれ?いつもなら大喜びで「行くっ!」と即答するはずなのに。
こういう時だけ勘が鋭くなりやがる…。
「あれからの体調とか、かけられた呪いがちゃんと消えたのかとか気になるからね。そっちはついでだけど」
といっても隠すことでもないので正直に話す。
「むぅ、ほんとについで?」
「うん。昧としばらく出かけられてなかったからね。
そうだ、どうせなら阿津斗も来る?」
私がそう阿津斗に声をかけると
「ガルルルルッ」と阿津斗に威嚇を始める昧。
「いや、いい。用事があるからな」
そんな昧なんぞつゆ知らず、といった様子で淡々とそう言った。
「そっかそっか。いやぁ。残念ですなぁ。せっかく出かけられたのにねぇ」
とか口では言ってるけどガッツポーズが漏れ出てますよ?昧さんや。
「また依頼か何か?」
「そんなところだ」
阿津斗の情報収集の実力は飛び抜けていると言ってもいいくらいだ。
なので大人気でいつも依頼で忙しそうにしている。
「人気者は辛いねぇ阿津斗さんや。
神童様は伊達じゃないというやつですな」
「そう言う昧は仕事をしなさすぎ。ちゃんとしてないとまた進級怪しくなるよ?」
と阿津斗をからかう昧にお灸を据えておく。
思いのほか刺さったのか「うぐっ」と呻いている。
「っと、そんなこと話してたらもう寮に着いちゃったね」
「残念…また明日ね!舞桜」
「うん。じゃぁ9時にここで。阿津斗もお仕事頑張ってね」
「了解っ!」
「あぁ」
そんなこんなで2人と別れてそれぞれ自身の寮に戻って行くのだった。




