48話:様子見
トントン、と自分の頭を人差し指で叩く天宮。
…あぁ、髪飾りを外さなくていいのかってことか。
できれば外したくない私は小さく首を振って否定する。
「そ、ならレディーファーストだ。先に来いよ」
くいくい、とこっちに来いのジェスチャーをしてくる。
そこまで言われて乗らないのも失礼なので
「んじゃ、お言葉に甘えて」
歩いて天宮に近づいた後、
ブンッ!といきなり上段回し蹴りをする私。
「うおっ」
とちょっと情けない声を出しながら上半身を後ろに反らして避ける。
私は回し蹴りの勢いのまま地面に手を付き、低姿勢で足払いに繋げる。
それに対して天宮はそのまま後方転回をして避けてくる。
逃さない。
一連の流れだけで倒せるとは思っていない。
低姿勢のままダッ!と地面を蹴り、飛び上がるようにして急接近する。
そのまま攻撃を続ける。
が、攻撃を全ていなされ、止められる。
パシッ、と私の放った拳を手の平で受け止める天宮。
「あのなぁ、こんな力がこもってない攻撃が当たるわけ無いだろ…」
はぁ、と呆れたようにため息をこぼす。
手加減してるのバレているらしい。
「一発で終わっちゃったら楽しくないでしょ?」
ムス、とした顔で私がそう言うと
「お前に退屈なんてさせねぇから安心しろよ」
とかくさいセリフを吐いてくる。
「…それはいいけど、いつまで握ってんのよ」
ドスッ、と天宮の手首に手刀を入れると「いてっ」といいながら手を離してくれた。
それと同時にヒュュュュュッ!!と何かが風を切る音。
──天宮の回し蹴りだ。
...やられたらやり返す、ということだろう。
とっさに術で風で囲んだ空気の層を作る。
パンっ!という破裂音とともに蹴られて弾き飛ぶ。
一瞬だけ天宮の蹴りが減速したおかげでギリギリしゃがんで避けられた。
そしてカウンターとして飛び上がるようにしてレバーを打ち込む。
それに負けじとすぐに体勢を整えた天宮は膝蹴りをお腹に目がけて入れてくる。
メリッとお互いの攻撃が同時にめり込む。
「けほ、けほっ!よく、女の子に普通に膝入れられるよね」
「普通の女の子はこんな完璧なレバー入れられねぇっての」
私は咳き込み、天宮は苦笑しつつ、その額に少しの汗を浮かべる。
「そういやなんで決闘なんて受けたんだよ。
調べてる限り面倒くさそうなことやりたがらない感じの性格だろ、お前」
天宮の考えは正しい考えで、そうであるべきこと。
でも、それはそれとして私の今までを否定されるような考えを看過することは出来ない。
いわば、そう。
「あんたが嫌いだから、かな?」
「俺はお前が好きだけどな」
私のセリフにすぐさまそう返してくる。
「良くも照れずにそんなくさいセリフ言えるよね…」
そういいながら存在を忘れていたいつぞやのナイフを天宮に投げつける。
ちなみに洗濯するときに気がついて今日、明日くらいに装備科に売りに行くつもりだった。
パシッ、とさも当然かのように人差し指と中指で挟むように真剣白羽取りをやって止めてみせる。




