44話:推理の対価
「起こしちゃった?」
「いえ、だい、じょうぶです」
うとうととした様子で自身のポケットをまさぐり、銀紙に包まれたチョコのような何かを取り出す。
それをパクリ、と口の中に放り込んだ。
「...一応聞くけど、大丈夫なやつだよね?」
「はい。ただの糖分補給ですので。
先輩もお1つどうぞ。甘くて美味しいですよ」
そう言ってポケットからもう1つ取り出して私に差し出すシエスタ。
悪意は見えないし、もらっておこう。
糖分は霊力回復にも繋がるし、損はない。
「ありがと、もらっとく。
......それはそうとして聞きたいことがあるんだけどいい?」
「ええ。先輩の頼みならぜひ」
手を合わせて嬉しそうにそう言ってくれる。
お言葉に甘えて昨日の事件のことを話してみる。
「ふむ、なるほど…」
癖なのか顎の下に右手をそえて考え事を始めるシエスタ。
とても集中している様子の彼女の姿は名探偵、と呼ばれるのにふさわしかった。
「......正直、情報が少なすぎてなんとも言えないですかね」
「さすがの名探偵様でも無理だよね...」
「いえ、断言出来ない、というだけでいくつかの推理、自体はできてます。
あくまで予想の域は出ませんが」
いやいや、逆になんでいくつか思いつくの!?
「でも...ただで教えるのもアレ、ですよね...?私にメリットが無いですし」
「それはもちろんいいけど。
できないこと頼むのはやめてよね?」
もともとタダで聴くになんてなかった。
というか何か対価を求めてくるのは普通のことだし。
「そう...ですね」
う~んとまた顎の下に手をそえて考え始める名探偵。
「──そうです!先輩、デートしましょ」
パン!と手を叩いて嬉しそうにそう言ってくる。
「で、デート...?そんなことでいいの…?」
と困惑してしまう私。
「はい!そんなことでいいんです!
私にとってはとっても大きな価値があるものなので!」
こうも笑顔で言われると断りづらい…。
まぁ、断るつもりなんて無いのだけど。
「分かった。なら明後日でもいい?」
明日も休みだが昧の様子を見ておきたい。と思いそう言う。
「ええ。もちろんです!しっかり予定開けときますね」
…なんか、気持ち悪いくらいにご機嫌だ。
私目線は楽だからいいのだけど出かけるだけで本当にいいのだろうか…?
「先輩、明後日はとっておきのプラン考えときますね!」
そう言い残しこうしちゃいられないとばかりに小走りで図書室を出ていってしまった。
......時間つぶし、どうしよ。




