43話:記憶にない
「何も知らない…?どういう意味なんですか?」
「言ったまんまや。この事件のことについてな~んも知らんかった。
──記憶に無いって言った感じでな」
はぁ、とため息。
「結構ちゃんとしば...聞いてみたんやけどな」とかいう物騒な発言は聞き流しておこう…。
記憶に無い...?でもあいつの発言的に6年前、「百鬼夜行」に関わっているのはほぼ確実なはずなのだ。
だとしたら...
「意図的に、もくしくは第三者によって記憶を消すような処置をされた...?」
でも、そんな事ができるなんて聞いたことがない。
「んな力現実にあったらそれこそやりたい放題やっとるやろ。もっとまともに考えてみい」
ゴツン、と拳骨を頭に叩き込まれる私。
冗談で言ったつもりなのに...。
「誰かに操られて...とかですよね?
そう言った術があるのは聞いたことがあります」
ヒリヒリとする頭を抑えながらそういう私。
「ま、その線が濃いやろうな」
先生は今夜だけ操られていたと考えているのかもしれないのでその結論でいいのだろう。
でも6年、もしくはそれより前から操られていた可能性すらある。
そういった術は往々にして、もって1日ほどのはずだ。
毎日わざわざかけ直していた…?
バレるリスクが高くなるだけなのに?
う~んと首をひねっていると
「なんなら直接話してみるか?
当事者だしそのくらい融通をきかせたる」
融通って...どっちかというと当然の権利な気がするけど?
そうは思いつつもここでとやかく言って会えなくなるのだけは避けたいので「ありがとうございます」とお礼を言う。
さすがにいきなり会うわけにも行かず、色々と準備が必要なため一度出直すことになった。
職員室を後にした私は特にすることもなく校内をぶらぶらと歩き回ることにした。
そういえば、シエスタは図書室にいるだろうか?
男子生徒の謎について考えていたらふと探偵様のことを思い浮かんだ。
見たところ少なくとも実力はあるみたいだし相談するだけ得だろう。
そう思い図書室に向かうことにした。
案の定机に突っ伏して寝ているシエスタの姿が窓越しに見えた。
できるだけ静かに扉を開ける。
「ん…ふわぁ」
眠たそうに伸びをした後ごしごしと目を擦るシエスタ。




