41話:プライド
はーむ。と大きな口を開けてアンパンを頬張る。
ん~やっぱり餡子って美味しいよね。
頬を片手でおさえながらうっとりとする私。
「相変わらず餡子が好きだね」
「この甘さが癖になるんだよね」
「確か舞桜って糖分で霊力回復するんだっけ?」
「そう。だから一石二鳥なんだよね」
術を使うのに必要な霊力は時間が経てば回復するのと、ほかにその人それぞれの回復方法があるらしい。
大抵は私みたいに食べ物が多いらしいが、中には寝ることだったり、遊ぶことだったりと色々あるらしい。
「記録から言うとそういった好きなことが霊力の回復条件って例は多いらしいな」
「そーなんだ。
ま、嫌なこと無理やりするのなんてごめんだから、そっちの方が嬉しいよね」
そう言いながらもぐもぐと弁当を食べる昧。
「そういえばさ、決闘、大丈夫なの?」
「大丈夫って何が?」
「だって...ほら、一応相手ってSランクなんでしょ...?」
心配そうに聴いてくる昧
「別に元とはいえ私もなんだけど…もしかしてボコボコにされるとか思ってるの?」
「いやぁ。そうじゃなくて…」
「Sってのは軍の大隊1個分くらいの戦力って意味だからな。
軽い戦争くらいなら再現できる」
なにそれ…初耳なんだけど…。
ランクってそんな規定みたいなのあったんだ。
「そう!だからそんなのに巻き込まれたらどうなることやら...」
「心配しすぎでしょ、ランク試験サボって落ちたとはいえ私Sだったんだよ?」
「だからだよ!それに巻き込まれるかもしれないこっちの身にもなってよ!」
あ、わが身の心配か…。
「さすがにお互い手加減はするでしょ、バカじゃないんだから」
やれやれ、と呆れ顔になる私。
「それもそっか。...そういやなんで決闘なんてすることになったの?」
昧にそう聞かれて少し考え込む私。
なぜ私は自分にほとんどメリットのないこの話を受けたのだろう、と改めて疑問に思ったからだ。
「そう...だね。強いて言うならプライド、かな」
あいつの、天宮のやり方では本当に救いたい者すら守れないと言ってやりたかった。
…そしてなによりも、あいつを肯定してしまったら、私のやってきたやり方を全て否定されてしまうことになる。
私が切り捨ててきた少数が無駄だったとそう肯定することになってしまう。
多分、それが嫌だったのだろう。
普段なら何を言われても気にしない。
だが、なぜだか天宮に対しては感情的になりやすいみたいだ。
「なんか、珍しいね。舞桜がそんなに感情的なの」
「私だって好き嫌いくらいあるよ」
「ん~そういう意味じゃなくって、舞桜って面倒事はできるだけ避けるために穏便にすまそうとするでしょ?
だからこうやって首を突っ込みにいくのは珍しいな~って思っただけ」
昧の言うとおりだ。
「......正直、私もよくわからないんだけど、天宮には負けたくないんだよね」
「えぇ~なになに?ライバルってやつ?」
と茶化してくる昧。
「そんなんじゃないよ。多分、もっと根本的なところ」
「話をするのはいいが、食べる時間なくなるぞ?」
「え?もうそんな時間!?」
阿津斗に言われて急いで弁当を食べる昧を微笑ましく見るのだった。




