40話:楽しいよ?
ガチャリ、と屋上への扉を開けると
「こらーっ!それは私のお稲荷さんだぞー!」
「きゅきゅー!」
ドタバタと走り回る昧と天狐の姿が迎えてくれた。
そんな光景に対して目もくれない様子の阿津斗の隣に座る私。
「楽しそうだね」
「途中で天狐と会ってな。で、案の定これだ」
あまり顔には出てないが、少々呆れた様子で言う阿津斗
「昔からだけど天狐って気付いたらいなくなってるし。
と思えばちゃんといてほしい時にはいるんだよね…」
なんというか、都合のいい神出鬼没だから気味悪くすらある…。
「というか、また栄養サプリメントなんかで食事済ますつもりなの?」
ジトーと阿津斗の持っているものを見る私。
「栄養が取れればそれでいいからな」
「全く、そんなんだからロボットなんて呼ばれるんだよ?」
やれやれ、とため息をつく。
「別に関わりもしない他人にどう思われようとどうでもいいからな」
「それに関しては同感かなぁ」
バッ!とアンパンの袋を破りながらそう言うと
「舞桜さんや相変わらず餡子がお好きですなぁ」
と天狐との鬼ごっこが終わったらしい昧がこっちに来る。
それと同時に勝ち誇った顔をした天狐が正座をしていた私の膝の上で器用に稲荷を食べ始めた。
「ちょっ、天狐!?服!服に汁ついてるからっ!?」
慌ててアンパンを取り出し、余った袋の上に天狐を乗せる。
そんな様子を見てクスクスと笑う昧。
「楽しそうだねぇ、舞桜さん」
どうやら鬼ごっこ中に助けなかったことを根に持っているらしく、私が言ったことをそのまま返してくる。
「うん。楽しいよ?みんなとこうやってワイワイやるの」
と返すと
「私もだよっ!」
弁当を置くと同時に私の方へ飛び付いてくる。
いきなりのことだし、天狐を膝の上に乗せてるしで避けられずドシンッ!と昧ごと後ろへ倒れる。
とっさの受け身で頭だけは守った…あとアンパン。
「ごめっ!大丈夫だった?」
慌てて私の手を取り起き上がらせてくれる。
「大丈夫、大丈夫。平気だよ」
アンパンを口に咥えてパン、パンと制服に付いた汚れを軽く払う。
「あふほ、へをふふもほあふ?」
私の問いかけに無言でウエットティシュを差し出してくれる阿津斗。
それを受け取った私は2、3枚ほど出して手を拭く。ゴミは…ポケットに入れて後で捨てればいっか。
ちなみに天狐は直前にきちんと逃げていたらしい。
昧の頭の上で勝ち誇ったかのように「きゅ、きゅ、きゅ」と偉そうにしている。
そんな天狐に対して昧はぐぬぬぬ、と悔しそうな顔。
昧はともかく天狐に至っては何千年も生きてると思えないほど子どもっぽい…。
とまぁ、色々あったがやっと落ち着いてお昼を食べることができる。




