表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/57

38話:ねぇお母様

「席につけ〜」


ガラガラ、と教室に先生が入ってくる。


出席数稼ぎでしかない私は教科書とノートを開くだけ開いてぼ〜っと外を(なが)める。


外では授業でサッカーをしているようだ。


ああしてるだけなら普通の高校生なんだけとなぁ…。


ふと横を見ると欠伸(あくび)を噛み殺してる天宮(あまみや)が見えた。


どうやら私と同じように出席日数稼ぎっぽい。


ノート取ってないし、面倒くさそうに頬杖ほほづえしてるし。


特にすることもなくぼ〜っとしてると眠たくなってくる。


変な夢をみたし、昨日の疲れがちゃんととれてないのだろう。


それに、春の陽気はとてもポカポカしていて気持ちいい。


窓際の席のせいで心地よい暖かさが眠気を増進させてくる。


......眠いで思い出したけどシエスタ、あの子の言っていた本当の犯人、あれはどういうことなのだろうか?


そんなことを思いながらゆっくりと夢の世界へと落ちていく…。







ある山奥、人気ひとけもなく、知る人ぞ知る秘密の場所。


色とりどりの花が咲いていて思わず目を奪われる。


「さて、今日も舞桜まおの舞、見せてもらおうかな?」


私と手を繋いでいたお母様がにっこりと優しく笑う。


「はい。お母様」


「もう、家族なんだから敬語は必要ないって言ってるのに」


くせ、ですから…」


淡々とそう言葉を紡ぐ私を見て少し悲しそうな顔をするお母様。


「そっかぁ。じゃ、仕方ないわね。


…安心して、お母さんどんな舞桜まおも好きよ」


そう言って優しく微笑ほほえみギュッと優しく抱きしめてくれる。


心の底がポカポカと温かくなるような変な感覚。


とても、心地よい感覚だ。




舞が終わった後、


「うん!文句なしっ!流石さすが舞桜まお。自慢の娘だね」


嬉しそうによしよしと頭を撫でてくれるお母様。


「......こんな辛い役割を押しつけちゃって、ごめんね」


「お母様は、何も悪くないですよ。そういう運命、だっただけですから」


そう。私が緋巫女ひみこになったのはそういう運命だったというだけだ。


「運命かぁ。


ねぇ舞桜まお、もしも大切なものを失うとして、それが運命だとしたらあなたは、どうする?」


「…あきらめます。


運命、ですから。運命というものは変えれないものですし」


「それがどんなに大切なものであったとしても?」


「…はい」


まいちゃんや阿津斗あつとくんだったとしても?」


「いやだよっ!あの2人がいなくなっちゃうのはいやっ!」


反射的に叫ぶ私。


そんな私をみてクスクスと笑うお母様。


「す、すみません。お母様」


「いいのよ、よかったわ。舞桜まおにもちゃんと大切なものがあって」


お母様は少ししゃがんで私と目線を合わせる。


「いい?きっとこれから理不尽で、どうしようもなくて、救いもないような、そんなことがたっくさんあると思う。


何で自分がこんなことしてるんだろって、何で傷つかなきゃいけないんだろうって。


そう考えちゃって嫌になって逃げちゃいたくなることもいっぱいあると思う。


でも、そういう時、そばにいてくれる人を見つけなさい。


苦しい時は一緒に苦しんでくれる。


悲しいときは一緒に泣いてくれる。


嬉しい時に笑いあえる。


そんな人を。


その人はきっとあなたを成長させ、あなたの支えになってくれるわ。


ま、そんな人、なかなかいないんだけどね」


「お母様のその人がお父様…なのですか?」


「そうよ。惚気のろけみたいになるけどね」


実に楽しそうにそう言うお母様。


「後はそうね…どうか諦めないできっと道はあるから。


どれだけ泥臭くて、汚くなって、みっともなくなっていいの。


──だから最後までもがきなさい」


さっきとは打って変わって真剣な顔でそう言う。


たぶん、これは母からではなく緋巫女ひみことしての警告けいこくのようなものなのだろうと理解した。


「…ねえ、お母様」


「ん?なぁに?」


「お母様は運命が気に入らなかったらどうしますか?」


私がくとクスリ、と楽しそうに笑って


「そうね、私なら―――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ