37話:逃げんなよ?
「…死にたい」
と学校に着くなりそう言って、机の上に突っ伏す私。
「どうしたのっ舞桜!?ノイローゼ!?」
昧が少々大げさに心配してくれる。
「いや、そうじゃないんだけど…」
本当、なんでさっきはあんなこと言ったんだろう…。
『待って…』
『もう少し、もう少しだけこのまま…』
頭の中でさっきの出来事がリピートされて顔が熱くなる。
「顔赤いよ?ホントに大丈夫?」
「え、あ、うん。大丈夫だよ。
ちょっと変な夢見ただけだから」
悩んでるのは別のことだが嘘ではないのでまぁいいだろう。
「ふ~ん。そうなんだ。
私今日は舞桜が夢に出てきたよ〜」
えへへ~と嬉しそうに話す昧。
昨日のことをあんまり引きずってなさそうでよかった。
昧の話をうんうんと聞きながら、そう思っていると
「それより、例の転校生との決闘。今日やるんだろ?」
といつの間にかいたらしい阿津斗がそんなことを言う。
「…あれ?そうだったっけ…」
「そういえばそうだったっけ?
舞桜!あんな変なやつボコボコにしちゃえ!」
と昧が応援してくれる。
最近の日常が濃くて完全に忘れていたが、どうやら今日らしい。
天宮のやつ、初めてあったときは正義感ぶってるありがちな勘違いしてる人かと思っていた。
でも、今はただただ謎の男だ。
…悪いやつではないんだけど、なんというか、妙に気になってしまう。
「ボコボコって…天宮はSランクだし、そんな簡単に勝てないと思うよ」
「むぅ~…」
むすぅ、と口をへの字にする昧。
「まぁ、もちろん。負ける気はないけどね」
負けたらパーティ組まされるらしいし。
「俺がどうかしたのか?」
お手洗いかどこかに行ってたらしい天宮が戻ってくるなり聞いてくる。
するとなぜか親の敵とばかりに天宮を睨みつける昧。
「聞きたいんだけど、なんで今日舞桜と登校してきたの」
ガルルル、と今にも噛みつきそう…。
「仮にも助けてやった恩人にする態度かよ…。まぁあれだ。
昨日のことについて聞きたくってな。それで俺が無理矢理押しかけたんだよ」
と当たり障りのない返事をする。
「…むぅ。納得いかないけどしてあげる。
──でもっ!舞桜に手を出したらただじゃすまないからねっ!」
ガウッ!と天宮を脅す。
天宮の言う通り仮にも恩人を脅すっていいの…?
「へいへい」
面倒くさそうに苦笑しながら返す天宮。
そんなことをしているうちにチャイムが鳴り授業が始まる。
「桜木、今日の決闘、逃げんなよ」
ボソッと小声でそう言ってくる天宮に
「そっちこそビビって逃げないでよ」
と不敵に返すのだった。




