23話:絶対に
トランプで遊ぶのも飽きてきて次は何をしようかと考えているときだった。
「あの…さ、舞桜は6年前の百鬼夜行の事件について、覚えてる?」
いつになく真剣な顔になる昧。
もちろん覚えている。だってその日にお母様は…。
「ニュースでは霊操師によって引き起こされたテロ行為みたいに報道されてたよね。
それを解決したのは近くにいた除霊師ってことも」
私の目をまっすぐに見てくる。
「その除霊師って舞桜のことだよ…ね?」
「…どうしてそう思うの?」
「単純にそんなことをできそうな人を舞桜しか知らないからね。
──まぁほとんど勘なんだけどさ」
「別に隠すつもりはないから言うけど…その通り。私のことだよ。でもなんで急にそんな話を?」
「…あのさ、もし、もしさあの百鬼夜行が目眩しだとしたらさ。
…犯人は何を狙ったんだと思う…?」
あれが目眩し…?
「それってどういう意味なの?昧」
「っ!」
ギュッと胸を抑えて苦しそうな顔をする昧。
「だ、大丈夫…?」
「あはは、やっぱり舞桜みたいにかっこよくはなれないよ…。
ゴメンね私、自分1人すら、守れない…みたい」
苦しむ昧の手足が銀色の毛が生えた獣のように変わっていく。
「あ~あ......心配、かけたくなかったん、だけどなぁ」
そう言う昧の胸に目玉のような模様が見えた。
あれは…呪詛の印!?
昧は誰かに呪われてる!
ずっと一緒にいてどうして気づかなかったの私!
そう後悔するのと同時に昧が外に飛び出していく。
その意味に気付いた私も急いで近くに置いてあったアヤメ(刀)を手に取り昧の後を追う。
四足歩行で走る昧は速く、徐々に距離を離される。
…というか、スカートで四つん這いは不味くない?
緊急事態だというのにそんなことを思ってしまうほど混乱していたのだが、流石は昧。
尻尾を?のようにしてスカートを押さえている。これなら見えることはないだろう。
常備している御札に霊力を込めて巫女装束に着替える。
その後すぐに阿津斗に電話をかける。
いつも通り3コール以内に出てくれた。
「どうし…」
「昧が暴走する!多分人工島の方に向かってる。付近の住人の避難を優先させて!最悪緋巫女の名前使っていいから!
できるだけ急いで!時間がないの。私は昧を追うから切るよ!」
阿津斗の言葉を遮り一方的にそういった後、電話を切る。
それと同時に連絡用のインカムを右耳に付けた。
緋巫女の名前を出せば政府の方も動いてくれる。
恩を作るなんてやりたくないけどわがままは言ってられない。見返りに何を求められたってやってやる。
人工島というのは土地開発の一環で作られた埋め立て地のことで今はただ風力発電が並んでいるだけの場所だ。
…待ってて昧、絶対に助けるから
そう心に誓って昧を追いかけ続ける。




