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待ち侘びた婚約者がなぜか4人になって来た

初投稿です!よろしくお願いします。

 隣りの国から若様の奥方が輿入れしてきた。

若様が5歳から12歳まで人質として過ごした、佐間野国領主4の姫 千紗姫。

隣の国といっても早馬で5日、徒歩で10日。

輿でのまして一国の姫の移動となるとその倍近くかかる。

佐間野国を出立してから昨日までの道中は、我が国の忍び達が逐一報告してきた。


「で、なぜ姫が4人もいるのだ?」

そう問いたのは若の従者である自分。

「いえ、道中では姫は1人だったと報告があったのですが・・」

そう答えたのは忍びの主。

今、自分の目の前にいるのは同じ顔、同じ髪型、同じ着物を着た4人の姫。

昨日の夕方に城へ到着したため、若様との顔見せは今日の昼過ぎにして欲しい。と姫側からの申し入れだった。

(4人の女子の準備をしなければならないなら、この時間になっても仕方あるまい。)

と、心の中で思っていると、

「女子の準備には時間がかかると聞いたが、足りたのか?」

との主人の問いに

「こちらの都合を聞き入れて頂き感謝致します。」

と姫側の従者が答える。そして、「我が国主、佐間野影久より言付けを。」と話しを続けた。


「我が4の姫を当てる事が叶わない時は、そのまま姫を国へ返して頂きたい。との事です。」

「なるほど、お義父上は私に姫を当てられない!と、そうお考えか。」

そう言いながら、なぜか嬉しそうにこたえる若様。

「我が影より話しは聞いておる。まず、1番右の姫。

そなたは道中や宿でも良く食べ物を口にしたと聞く。」

そう問われた向かって1番右の姫が

「とにかくお腹が空いたもので。」

と答えた。

「となりの姫は道中や宿でも良く寝ていたと聞く。」

そう問われた右から2番目の姫が

「とにかく眠かったもので。」

と答えた。

「その隣りの姫は道中や宿でも良く話していたと聞く。」

そう問われた右から3番目の姫が

「とにかく話しがしたかったもので。」

と答えた。

「最後に、そなたは輿の中でも宿の中でも何もせずにいたと聞く。」

そう問われた最後の姫が、若様の顔をじっと見つめ

「何もする気が無かったもので。」

と答えた。

自分をはじめその場にいた我が国の者たちは、本物の姫を見抜けずにいた。

(もしかして、初めから本物の姫は居ないのでは?)

と思う者たちも居た。

そんな時、

「あい分かった!」

と言いながら立ち上がり、姫の元へ歩き始めた若様。

自分をはじめ、誰もが若様の姿を目で追った。

そして、1人の姫の前に座り込み

「そなたが私の知る千紗姫だ!。」

「・・・なぜ、そう思われるのですか?」

そう答えたのは向かって1番左に座る姫だった。

「そなたは気付いていないだろうが、自分で答えを言っておる。」

・・・意味が分からない!

と、その場に居た全員が思っただろう。

もしかして姫にカマをかけたのか?と・・

だかその問いかけに姫は

「お分かりになりましたか?」

とその瞬間、他3人の姫(の姿をした偽物)達が一斉に頭を下げた。

「そなたは何もしていないのでは無い。道中では馬に股がり領民達を、宿では付き添いに紛れ周りのもの達の生活を見ていたのだろう?同じ物を食べ、話しを聞き時には同じ部屋で寝たのでは無いのか?」

そう微笑まれた若様に千紗姫は

「高政さまと10年前に約束しましたから・・」

と答えられた。


若様が人質として佐間野国へ行っていた7年の間に、どのようにして出会いそしてどのような約束をしたのかは、2人以外は知らない事。だからこそ、こんな事をしても必ず若様は必ず気付いてくれる!との確信があった千紗姫の大胆な行動に、この先もずっと振り回される事になるとは・・


この段階では誰も気付く事は出来なかった。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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