第1話 回想
白銀を基調とした外装、所々を蒼く輝かせ、背部には大型バインダーが二つ、腰部には二対のレールガン、その姿をこの世界の人々が正面から見たならば鎧を纏ったドラゴンか何かかと勘違いしてしまうような…、現代風に言うならばSFチックな見た目をしたパワードスーツを纏う一人の人物が空を切る。
その速度は、その飛行している物体を人間とは認識出来ないだろう。
そしてその白銀の鉄竜騎士を追い掛けるのは、周囲を深淵へと侵食しながら追い掛ける化け物としか形容出来ない何か。
その化け物は無数の黒い触手を白銀の鉄竜騎士へと伸ばす。
背後を見ていないのにも関わらず、背後にも目が付いているかのような超反応で自身へと伸びてくる無数の触手を瞬く間に斬り伏せた直後、その得物のブレード部分が格納され、銃へと姿を変える、さらに背部にある大型バインダー、腰部のレールガンをその触手の主へ向けて展開し────
無数の閃光が弾けた。
右手の得物と大型バインダーから蒼色をしたビームが、大型バインダーから放出された無数のミサイルが、速射されるレールガンが深淵の主へ突き刺さり、弾ける。
獲物の抵抗に驚いたのか、巨大な化け物は沈黙し、その猛攻により傷付いた肉体の表面が千切れ地表へと崩れ落ちていく。
が、傷付いた部分が一瞬にして元に戻っていった。
白銀の鉄竜騎士は、バインダーは向けたまま先程収納したブレード部分を再度展開している。
沈黙。
それは両者が強者であるが故であろう。
巨大な黒い化け物と、白銀の鉄竜騎士が睨み合っている。
どちらが先に動くか、それにより勝敗は決する。
先に動いたのは巨大な黒い化け物だった。
その深淵の巨躯に白銀の鉄竜騎士を取り込まんと無数の触手を伸ばす。
刹那
色彩が反転した。
その反転した色彩が元に戻った頃には、その化け物の巨体は両断され、その核となっていた少女は、その光を放った犯人─白銀の竜騎士に引きずり出された。
少女は思い返す。
どうしてこんなことになってしまったのか?
どうして私の考えを分かってくれないのか?
という二つの疑問。
そしてもう一つ。
今、私の目の前に立ち、見下ろしている白銀の装甲を纏っている私にとって最愛の少女との出会いを。
初投稿です。
最後までお読みいただきありがとうございます。誤字・脱字報告、感想お待ちしています。
物凄い遅筆なので気長にお待ち頂けると助かります。