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ヴァンパイヤ  作者: 天野 光
1章
7/24

出発

 環がドラキュラになり、リングと名乗り始めた。これは小さな火種になった。

 環自身の記憶は消え、だんだんとラキュレスに似ていった。リングというドラキュラが誕生してしまったのだ。

 傍から見れば、環はバカだと思うだろう。敵討ちに行ったはずが、ラキュレスに利用されてしまいドラキュラになったのだから。しかし彼女は、自分がバカだとは思いもしないはずだ。これが普通のことだと思い込んでいるから。

 リングは嬉しそうに人を殺すようになってしまった。

「さっさと死ねゴミカス。」

 ラキュレスのようなことを、リングは言うようになった。



 みつきたちは事情を聞かれた。殺された夫婦の娘と一緒にいたためである。

(大変なことになっちゃったな。)

 周りにいた人やみつきたちは、そんなことを考えた。

「ええと、蓮くんだっけ?」

「違う。蓮くんじゃなくて、蓮ちゃん。」

 蓮は、警察官に名前を聞かれていた。しかしなぜか、彼女はもう寂しそうでも、悲しそうでもなかった。泣いている様子もなかった。

「じゃあ、蓮ちゃんはどうして、お父さんとお母さんと離れ離れになっちゃたのか分かる?」

 警察官は聞いたが、蓮はうつむいたままだった。聞いても、答えてくれなかった。また後で、心が落ち着いてから聞くことにしたらしく、一度蓮を解放した。

「蓮ちゃん大丈夫だった?」

 翔は心配そうに聞いた。まるで蓮と翔は、お姉ちゃんと弟のような関係になっていた。

「うん。」

 なぜか蓮は一瞬、笑ったような顔をした。親が殺されて悲しくないはずがない。不思議な子供だった。


「少しよろしいですか?」

 警察官がみつきと響を呼び止めた。響の嫌な予感は的中した。

「密輸業、やっていませんか?」

 みつきは初めて動揺を顔に表した。響も同様だった。その揺らぎを警察官は見逃さなかった。

「やっているんですね、密輸業。」

 警察官は頭で考えたことを言葉にした。

(これじゃあ、亡命をするなんて夢のまた夢だ。)

 響は焦りを感じていた。

「そうです。やってます。」

 みつきは密輸業をやっていることを認めた。警察官は悪事を認めたと、2人を連れて行こうとした。

「私たちの父と母はやっていました。でも私たちはやっていません。もう辞めました。他の人とも手を切りました。情報が欲しければ与えますよ。でも、そのかわりに私たちには手を出さないでください。それができないなら捕まっても、絶対に教えません。もう一度言いますが、私も響も密輸業はやっていません。」

 とても長い話をみつきに言われたため、警察官は一瞬困惑した。そのあと、ようやくみつきの言葉を理解した。

 警察官はどうするか困ってしまった。みつきたちを捕まえれば、密輸業に関することを教えてくれない。無理矢理聞き出すという手もあるが、教えてくれる確証がない。

 考えた末、警察官は1つ条件をつけて解放した。

「分かりました。私からも1つ条件をつけさせていただきます。警察官を1人同行させてください。それができないのなら、逮捕します。」

 みつきたちはこの条件を呑んだ。一安心だった。

(みつきってこうゆう才能あったんだ。)

 響は感心していた。

 みつきは1つだけ嘘をついていた。みつきと響は密輸業をやっていた。しかし、亡命のために今は辞めている。


 みつきと響は翔たちに合流をした。蓮もすでにひと通り警察官との話は終わっていた。ようやく自由になれた。

 飛行機のチケットを買って、飛行機に乗り込んだ。もちろん警察に付き添われて。

「ねえ、お母さん。なんで警察の人いるの?」

 翔の質問にみつきはまた、無視をした。


 離陸をしてしばらくした頃、後ろのトイレに行く人がいた。ようやく、亡命の旅に出ることができた。

 ラキュレスが環にリングと名乗らせた理由について紹介します!

 単純ですが、環という漢字の意味は、「輪の形」や「めぐって、端のないこと」などがあります。それを英語にすると「リング」となるからです。ラキュレスはただ、文字遊びをしただけでした。(すごく単純…)

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