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ヴァンパイヤ  作者: 天野 光
1章
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親探し

 ラキュレスは環の目玉を潰した。これで、もう襲っては来ないだろう。ラキュレスはそう思った。

「お母さんを返せ。許さない。」

 環は目を潰されたにもかかわらず、ラキュレスを殺そうとした。これにはラキュレスも頭を抱えるほどだった。

 ラキュレスはふと気がついた。

(この人間って、もしかして最強?)

 訳の分からないことに、気がついたらしい。そして、ラキュレスは、自分のやりたいように環を扱った。つまり、ドラキュラにしてしまったのだ。環を見込みがあると考えたためである。環は目が見えなくなっていため、抵抗もできなかった。

「今からお前はリングと名乗れ。」

 ラキュレスは環にそう言って、自分の、ドラキュラの血を入れた。

 環はドラキュラになったことを気づかなかった。ラキュレスが気付かぬように少量ずつ入れたからだ。騒がれても困る、と思ったからだろう。

「ラキュレス姉ちゃんが殺さないって、珍しいね。」

 一緒にいたフランは不思議そうに聞いた。だが、ラキュレスは嬉しそうだった。満足そうだった。



 みつきたちはようやく荒木田空港(あらきだくうこう)に着いた。

「やったー!空港、着いた。」

 翔は空港に着いて盛り上がっていた。みつきには翔の喜びの意味が分からないようで、ただボーッと突っ立っていた。

「よし、飛行機のチケットを買おうか。」

 響は2人に向かって話した。

 空港の中は思ったよりも広く、方向音痴の親2人はチケット売り場が見つけられなかった。

「広すぎるよ。こんな所に行こうって言ったの誰だよ。」

 響は心の声を漏らした。

「空港から行こうって言ったの響だよ。」

 みつきは表情を変えずに言った。響はみつきの言葉で自分が言ったことを思い出した。そして、乙女のように顔が真っ赤になった。翔は2人の会話を聞いて嘲笑っていた。

「あの、私のお母さんとお父さん知りませんか?」

 みつきたちが話していると、10歳くらいの女の子が話しかけてきた。どうやら親とはぐれてしまったらしい。彼女の名前は宮野 蓮(みやの れん)という名だった。

 響はこの女の子、蓮の親を探そうと、みつきと翔に言った。

「いいよ!僕のお母さんとお父さんがいなくなったら、嫌だし。一緒に探そう!」

 翔は快く快諾した。一方みつきはよく意味が分かっていない様子で、うなずいた。適当にうなずいたのだと、すぐに分かった。

 まず迷子になったとき、言ったほうが良い迷子センターに向かった。

「ねえ、お母さんって、本当に何も考えてないみたいだね。」

 翔は迷子センターに向かいながら、みつきにそう言った。その言葉にもみつきは無言だった。

 ようやく迷子センターに着いた。だが、蓮の親の姿はなかった。10分ほど待ってみたが、来なかった。

「どうする?このまま待つ?」

 響が心配そうに聞いたが、ずっと蓮は黙っていた。

「お知らせします。この空港内で殺人事件が起きました。被害者は今のところ2人です。宮野 志穂さん、宮野 守さん、夫婦で殺害されました。…」

 アナウンスが突然流れたと思えば、殺人事件のアナウンスだった。

「お母さんとお父さんだ!」

 蓮が突然叫んだ。迷子センターに来なかったのは、殺害されていたためであった。

 蓮は泣き崩れた。しかし、警察が来てしまい、死体には近づくことすら許されなかった。みつきたちと蓮、殺害現場の近くにいた人全員がその場で待機するように言われた。

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