響の作戦
ラキュレスは目を輝かせていた。よほど潜入するのが楽しかったのだろう。子供のようなキラキラした目だった。
「次はどこに潜入するの?」
リングは念のためラキュレスに聞いた。するとラキュレスは何かに気づいたような顔になった。
「あ、どこ行くか決めてなかった。」
リングは呆れた顔になった。
(行くって決めた時に、考えとけよ。)
「よし、決めた。ルーラエに行く。」
ラキュレスはそう言った。しかし、リングには「ルーラエ」というものの理解が出来なかった。
「ルーラエって何?」
「街だよ、街。あそこほど人間がいる街はないよ。」
殺意なのか分からない、不気味な笑みを浮かべて言った。
ルーラエという街に下見に来て、リングはびっくり仰天という顔になった。
「はあ?夜でもこんなに人間いるの?」
リングの驚きようにラキュレスはクスクスと笑った。リングの様子が面白かったのだろうか。
ラキュレスとリングは下見を終え、日が昇る前に城に戻った。
明日、ようやく2人はルーラエの潜入に向かう。
みつきと響は翔のいる本部に戻った。翔はご機嫌斜めのようだった。
「僕が最初に潜入しようって言ったんだよ。なのになんでやらせてくれないの!」
翔はムカムカする気持ちを、体いっぱい使って表現をした。
「いや、翔くんはまだお父さんたちみたいなことはできないと思うよ。」
クロノスは翔を必死にフォローしようとした。
(潜入…潜入…)
響は何か考えているようだった。そして閃いた。
「あー!潜入すればいいんだ!」
響が突然大きな声を出したため、みつきだけでなく周りの人まで振り向いた。
「潜入すればいいってどうゆうこと?」
みつきは自分の疑問を率直に聞いた。
「今に分かるよ。」
「俺の名はカントだ。で、こっちにいるのがラム。俺は変装が得意だ。ラムは少し無愛想だけど、なんでか人と仲良くするのが得意。仲良くしておいて最後に欺いて殺す、最悪な殺し屋だ。今は政府の人と信頼関係を築いて、政府の全容を探ろうとしているところだ。」
響が連れて来たカントとラムという人。アサシンスの中でも上位に入るほどの成績を持っている。
「なんでこの人たちを連れてきたんだ?別に俺でもいいんじゃないか?」
クロノスは少しカントとラムに嫉妬しているようだった。なぜならクロノスはカントたちよりも上の位にいるからだ。
アサシンスの中で2番目に強い殺し屋、それがクロノスだ。
「クロノスじゃ俺の作戦には当てはまらないんだ。お前、真正面から戦う派だろ。だからさっきも言ったけどこの作戦には合わない。悪いけど翔の世話を続けておいてくれる?」
クロノスは響にそう言われ、ガッカリした様子で帰って行った。
「どうゆう作戦なの?」
みつきは聞いた。
「それは…」
「おお、オルルか!久しぶりだな。隣にいるのは彼女か?よかったな、ようやく彼女1人目だ。祝福するぞ。」
ウラヴはそう言った。ウラヴの家にウラヴの親友、オルルに変装したカントと彼女役のみつきが行った。
「こんにちは、ウルーグルさん。今日暇なら飲みに行きません?」
ラムはウルーグルに飲みに行こうと誘った。ラムと一緒に日系アメリカ人のカフトンとして響が付き添った。髪も金髪にしていた。
響の思いついた作戦は、政府に近づいて政府にウラヴは悪役だと思い込ませる。そうしたら後は簡単だ。ウラヴと政府の手を切らせて、ウラヴを暗殺すれば良い。
この作戦を話している時の響の表情は、本物の殺し屋の目つきだった。




