新しい仕事
ラキュレスはケーキを出してくれた優しいおばちゃんを前にしても、殺意は消えなかった。
(首にこのナイフ突き刺せば、確実に死ぬよな。)
ラキュレスは表情を変えなかった。なぜ、ドラキュラとはこうも残酷な生き物なのだろうか。
そしてとうとう、ラキュレスはおばちゃんにナイフを突き出した。
「え?わ、私、私は何もしてないですけど。」
おばちゃんは戸惑いはしたが、まだラキュレスたちがドラキュラとは気づいていない様子だった。
(絶対アイツらは女騎士じゃねえ。何か目的があって装ってるんだ。あの女2人とも、人間の目をしてない。殺意の目しかなかった。おばちゃんは優しすぎるから。)
違和感を感じた他の村人が部屋に入ってきた。しかし、一歩遅かったようだ。
おばちゃんの首回りは血だらけだった。村人は怒り狂った。ラキュレスとリングを殺そうと。
しかしそれでも、ラキュレスとリングは楽しそうだった。村人全員、息の根を止めるまで楽しんだ。
家には火がつき、地面に倒れ込んだ人はピクリとも動かず、この村は死んだ。
「ねえ、蓮姉ちゃん。好きな食べ物って何?僕はハンバーグが好き。」
翔は興味津々だった。クロノスは幸せそうに2人の会話を見ていた。
「私はショットブッラルが好き。」
蓮は翔の質問にすぐに答えた。翔は首を傾げた。
「ショット…え?何それ?」
「ショットブッラルはスウェーデンって国にある肉団子みたいなもの。日本でいうハンバーグかな。」
「へえ、僕も食べてみたい!」
翔は食べる気満々だった。
(ショットブッラルか。そういえば、エドガーのヤツ、スウェーデン出身だったから、よく一緒に食べたな。)
クロノスにとっては懐かしかい食べ物のようだ。
みつきはレキラの死体を入れたカバンを持って本部に戻った。そして暗殺集団、アサシンスのボスらしき人にレキラを撮った写真と死体を見せた。
「よくやったな、みつき。日本人のメンバーはなかなか居なくてな。日本人が来てくれるのは嬉しいんだ。」
ボスはみつきにそう話していた。
響はクロノスの援護を受けて、脱獄していた。そのため本部に戻るのはみつきより10分ほど遅れてしまった。
響が戻った頃には、すでにみつきとボスが話をしていた。
「お、帰ってきたか、響。ちょうど今みつきと話していたところだ。」
ボスは2人を呼び寄せた。そしてこう言った。
「2人とも、これで1人殺したな。お前たちはもう俺たちの仲間だ。」
みつきも響も顔立ちが変わっていた。殺し屋の目になっていた。目つきがきつくなり、眉間にも皺が寄っていた。
ボスは満足そうだった。
「よし、早速仕事にかかってもらう。次の仕事はモンゴルで有名な芸能人の暗殺だ。名前はウラヴという。この暗殺は依頼主がいるため、暗殺の失敗は絶対に許されない。アサシンスのヤツらは自由に使ってかまわないからな。ただ、恵蘭というヤツに、時々進捗状況を報告すること。」
ボスはそう言って帰って行った。
またみつきたちは新しい仕事をすることになった。




