とんでもない案
ラキュレスとリングは城に帰った。夜が明けた。ギリギリ太陽の光に当たらずに、帰って来られた。
「間に合った。」
リングはホッとため息を吐いた。しかし、テーブルの向こう側にいるドラキュラに視線を合わせた途端、リングの体が急に動かなくなった。
(誰?誰、このドラキュラ。体が動かない。威圧感が凄い。この威圧感、ラキュレス以上じゃない?)
リングはラキュレスがいなくなったことに、全く気が付かなかった。
「父上、お元気で何よりです。」
ラキュレスが扉を開けて部屋に入ってきた。何かを持っている。ワイングラスにワイン、いや血を入れてトレーに乗せて持ってきたのだろう。
「お元気で何より、とはどうゆう意味だ!私が元気ではないと思ったのか!」
ラキュレスの父親はとてつもない癇癪おやじだった。
「宮野蓮はお前たちと一緒にいたんだろ。エドガーのやつ、いい殺し屋に育てるって張り切ってたぞ。まあ俺はアイツのことあんまり好きじゃねえから、連れ戻したいってんなら連れ戻してくるけど。どうする?」
響はクロノスとの出会いが幸運だと思った。この殺し屋に悪意はない。そのため殺し屋を探る手掛かりになると思ったのだろう。
「お願いします。蓮を連れ戻してくれるなら。」
響は無意識に敬語になった。
クロノスは蓮を連れ戻してきた。翔はとても嬉しそうにした。
「おかえり!」
翔はそう言って蓮姉ちゃんに抱きついた。
「で、これからどうするの響?今持ってる金額では暮らしていけないよ。この人も一緒に仕事するの?」
みつきは不安そうに聞いた。
「いや、今持ってる金で十分暮らしていける。俺たちは殺し屋だぞ。」
みつきの問いに響ではなく、クロノスが答えた。しかもクロノスは自信たっぷりに言った。響はクロノスの言っている意味が分からなかった。
「ねえねえ、お父さん。考えてないで早く行こうよ。」
翔は言った。
響はクロノスの言葉に疑問を持ちながらも、クロノスが先に行ってしまったためついて行った。
響はクロノスの言ったことの意味について、質問をしようとした。しかし、
「ちょっと失礼。あなたのその服装とこの鎌、憲法に違反しているから一緒に来てくれる?」
クロノスは警察官に声をかけられ、響は質問のチャンスを逃してしまった。
クロノスは癪に障ったのか、警察官を鎌で切り殺してしまった。
響は質問どころでは無くなってしまった。急いで響やみつき、クロノスは逃げ出した。
なんとか逃げ切れた。が、このままではいつかは捕まってしまうと全員が確信した。
「これからどうするか。てゆうかお前のせいで酷い目に遭ったぞ!どう責任取ってくれるんだ!」
響は苛立っていた。みつきや翔、蓮も鋭い目つきでクロノスを見た。
翔は何かを思いついた。
「だったら、悪い人になればいいじゃん。」
「どうゆうこと?」
みつきが聞いた。
「だって、クロノスさんも僕たちも捕まるかもしれないんでしょ。だったら逆に悪い人になって悪い人たちの中に溶け込めばいいんだよ。」
響はピンときた。悪い人の中に溶け込めば、逃げやすくなる。そうしたら、亡命先に早く着くのではないかと。
「それなら、俺の組織に来るか?モンゴルの暗殺集団だ。とびっきり柄が悪いがな。」




