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ヴァンパイヤ  作者: 天野 光
1章
16/24

悪い意味の有名人

 ラキュレスとリングは有名人になった。悪い意味の有名人だ。家に火を放ったドラキュラとして、噂になったのだ。

 ラキュレスはさぞかし不満だったろう。嫌ならば、火を放たなければいいものを。

 ラキュレスは未だに、城には帰れていなかった。道が分からず、昼夜関係なく森を彷徨っていた。昼間は太陽の光が届かない洞窟などを選んで歩き、夜は昼間に歩いた洞窟から出て城を探した。

 飲み食いをしていないため、当然、空腹状態だった。空腹なら尚更、苛立つものだ。獣のような状態で、動物ですら近づかなかった。

 ラキュレスが城を探し始めて3日目、ようやくリングと再会した。

 ラキュレスは汚いものを見るような目で見た。

「おい、なぜ沼にはまっているんだ。沼があるのが分からなかったのか?」

 ラキュレスは聞いた。リングはとても嬉しそうな顔をして言った。

「はい!見えていませんでした!」

 なぜか堂々と、自信満々に言った。それが気に食わなかったのか、ラキュレスは糞でも見るような表情になった。そして、何も言わずにその場を立ち去った。



 響はそわそわしながら、モンゴルの中心部の街に向かった。

 生活のために中心部に向かうことに加えて、蓮を探すという目的もあった。

(蓮ちゃんがモンゴルにいるとは限らないけど、行かないより行った方がいいよな。)

 響はそう考えた。


 モンゴルの街に着いた。街にしては人が少ないように見えた。しかし、それはおそらく東京の街を見ていたからだろう。人口密度は東京の方が高いからだ。

「着いた!街、街!」

 翔はいつになく嬉しそうだった。

(美味しそうな匂いがする。)

 みつきは匂いにつられて、ふらっとどこかに行ってしまった。

 響は自由奔放な2人の世話が大変そうだった。

 響がみつきを連れ戻そうとした時、誰かに呼び止めれてしまった。

「あの、少しよろしいでしょうか。」

 その言葉に響は振り向いた。何事かという顔だった。

「私は朝売新聞(あさうりしんぶん)の記者の高田という者です。では早速、この前の飛行機墜落事故で、救助隊に道を教えたという男性はあなたですよね!」

 響は顔を真っ白にした。まずいと思ったのだろう。どう答えるか、早く答えなければ不審に思われる、と彼は焦りを見せた。

 すると、みつきが戻ってきた。記者との会話を聞いていたのかは分からないが、何もかも知っているような顔で響の元に来た。

「記者さん。帰ってください。迷惑なんです。他所様の話に首突っ込んできて、タダで帰れると思わないでくださいよ。」

 みつきの言葉は冷たく、とてもキツイ言い方だった。カメラが回っていたため、その様子もしっかりと撮られてしまっていた。

(すげー、俺こんなにビシッと言い返せないよ。)

 響はただただ感心していた。

 高田記者は歯がゆい気持ちだった。しかし、このままインタビューを続けたとしても、一切答えてくれる気がしなかった。

 高田記者は渋々帰って行った。

「よっしゃ、記者帰って行った。ありがとよ、みつき。」

 響は満面の笑みを浮かべた。

 しかし、喜んでいられるのも今のうちだった。

 みつきが記者に言い返したシーンがネット上に拡散されていたのだ。悪口のようなことを記者に言ったみつきと、救助隊に道を教えた響。

 響とみつきは自分たちにとって、悪い意味の有名人になっていた。

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