終結
ラキュレスは家に火を放った。その火は次々と燃え移り大災害ほどの勢いまで到達した。なぜ大災害と言えるほど勢いが増したのか、それには理由があった。
ラキュレスが家に火を放ったあと、リングが人々を気絶させていったためである。
「どうして気絶させる必要があるんですか?」
リングはラキュレスに聞いた。ラキュレスはその問いが嬉しいのか、気に入ったのかは分からないが、とにかく嬉しそうにした。
「拷問、するんだ。」
ラキュレスは不気味な笑みを浮かべて言った。リングですら、引くほどだった。
ラキュレスとリングは、火の勢いで退路を失う前に人間を連れて帰ることにした。
「ドラキュラが逃げちまう。急いで追うぞ!」
リングが気絶させたといっても全員ではない。その中で生き残った人々がラキュレスたちを追いかけてきたのだ。
「あれ?トマトジュース…?」
みつきは、おかしな夢を見ていた。トマトジュースの中で自分が泳いでいる夢だった。
今、飛行機が墜落した。みつきたちの乗っている飛行機がだ。鳥や動物たちは逃げ、木は飛行機の風圧で空に巻き上げられた。もの凄い衝撃だった。これで助かった人は、飛行機に乗った人の中でほんの一部だった。
みつきは墜落する直前に衝撃を和らげるため、機体を何度も蹴飛ばした。そのおかげで被害は最小限に治まった。
響が目を覚ました。エドガーに撃たれた足はシャツの裾でぐるぐる巻きにしていたが、まだ出血は止まっていなかった。そのため響は包帯がわりのシャツを替えて、もう一度シャツを破り、縛り直した。
(この血のついたシャツを森に捨てたら、動物寄ってこないかな。)
少し疑問に思った響は、燃えている機体にそのシャツを放り込んだ。
響はみつきを見つけ、起こそうとした。
「トマトジュース…美味しいな…ジュースの海だ…」
みつきの寝言に響は目を丸くした。何の夢を見ているのかと。しかし、半分だけ目を開けたまま寝る者がいるか、そう思ったのか響は首を傾げた。
「おい、みつき、寝ぼけんなよ。早く起きてみんな助けなきゃ。」
響がみつきを強引に揺らしたため、目が覚めたようだ。
「トマトジュースは?」
まだ寝ぼけているのか、みつきはおかしなことを言った。みつきは頭を強く打ったことによる幻覚症状を起こしていた。機体についた火をトマトジュースと勘違いしたというところだろうか。
響はみつきを連れて、翔を探した。ようやく見つけた。しかし、翔は頭から血を流していた。響は翔を抱いて、泣いた。
「悪かった。助けられなくて。もう冷たくなってる。死ぬなよ、翔。」
響は泣きながら言った。みつきはバカにしているような目だった。
「翔は死んでないよ。息してるじゃん。」
みつきは呆れた様子で言った。
「え、マジ?よかった!」
響はこの世の危機が救われた時くらい喜び、はっちゃけた。
響は翔を抱えて、みつきと一緒に救助隊が来る前に逃げた。このことが公になると、みつきを狙った殺し屋に行き着く。そうしたらみつきと響にとって不都合になってしまう。
響は人々を助けたかったようだが、助けると自分たちに不都合に働く。仕方がなかった。
「これは何だ。山が燃えているぞ。これじゃ、救助に行けないじゃないか。」
救助隊は途方に暮れていた。




