化け物
リングを仕留めようと、人々は群がった。
「邪魔。しつこい。どっか行け!」
リングは声を高くして、どこか可愛らしく叫んだ。その間にラキュレスの所にも、人々は攻撃をした。
(あー、面倒くさい。さっさと帰って寝たい。)
ラキュレスは、明らかに疲れていた。自分の好きなこと以外は疲れてしまうのだろう。面倒ごとはなるべく早めに終わらせたい。そう思ったのか、ラキュレスは人々の首を掻っ切っていった。
「うわ、ラキュレスってこんな強かったの?」
リングはラキュレスに見惚れていた。しかし、見惚れている暇はない。意外とマイペースな性格なのだろう。
リングはボーっと見惚れたあと、我に返った。
「あ、人間を殺さなきゃ、逆に私たちが死んじゃう。」
リングの参戦によって、この戦いは混戦となっていった。
人々は困惑していた。普通なら数十人の敵を相手に、2人で挑むバカがいるはずがない。そのような状況ですら、ラキュレスとリングは向かっていった。化け物のようだった。
響は右足を撃たれて、動けなくなっていた。みつきはその様子を、バカにしている目で見ていた。
「バカだな。」
みつきはそう思った。
響は傷口を押さえた。シャツの裾を引きちぎって、傷口を覆った。だがそれでも、立ち上がるのがやっとのようだった。顔の表情で、どれだけ苦しいのかが分かる。
響はみつきの目を見た。助けて欲しいのか、又は違う理由か、それは響にしか分からない。
「お前、人間か?」
響はみつきに聞いた。あまりにも突然すぎて、みつきは目を丸くした。
「って、そんなこと言ってる暇あるの?」
みつきは言い返した。少し怒っているようにも聞こえた。響は何を考えているのか、分からないからだろう。
「だから、お前はどうしても人間に見えないんだ。お前はいつも人当たりが冷たいんだよ。人間はそんなに心が冷たいのか?そんなわけないだろ。それだったらとっくに人間は滅んでるよ。人は助け合わなきゃ生きていけないんだから。」
響は率直に自分の心の声を叫んだ。響の右足は血で染まっていた。みつきはその足を見ていた。動揺している時の目だった。
(嘘だ。響は嘘を言っている。私は人間だ。化け物じゃない。)
みつきは自分にこう言い続けた。明らかに気を取り乱している。
響はみつきを見つめた。何か悪いことを言ったかと、考えながら。
「な、なあ、大丈夫だって。俺が今言ったの、ただの冗談だから。」
焦って響は自分の心の声と違うことを言ってしまった。人間の悪い所だ。
「どうやったら…。どうやったら人間に近づけるの?」
響の言葉を信じて、みつきは思い切って聞いてみた。
(響は小さい時から一緒に育った。だから、響のことは信用できると思うんだ。)
みつきはそう考えていた。それを聞いて、響は笑った。
「それは、とっても簡単なことだよ。」




