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おっさんのごった煮短編集

5年前の冬山 ∞の君 

なろうラジオ企画投稿作品です。

テーマは5年と冬山




 大学の同期だった春人(はるひと)とは在学中に付き合い初めて同棲してた。

 卒業して落ち着いたら結婚しようと約束していた彼は所属していた登山サークルの活動で遭難し行方不明になったまま、死亡が認定された。


 「なぁ、真弓、もう春人のことは忘れてさ、俺と付き合わないか」


 就職してからは必死に働いた。彼の事を思い出さないために必死だったのもあるけど、何かと絡んでくる、春人と同じサークルだった、この男がうざかったからでもあった。


 「今度さ、一緒に狩ヶ峰に登らない」


 「えっ、……いいのか、まぁ、行きたいなら付き合うよ」


 普段は邪険に扱う私の誘いに乗ってきたけど、彼が行方不明になったあの山に誘われたら、そりゃ困惑もするよね。



 必死に働いた。お金も貯めたし田舎に安い家も買った。全ては君のために。


 あれから、もう5年になる。冬山で遭難した君を見つけたくて、何度も登ったんだ。

 

 

 あの男と一緒に山に登り、沢筋へとわざと歩みを進める。思いの外、登り慣れている私に驚くあの男は、このあとどんな顔をするんだろうか。


 「この先に洞穴があるから、そこで休まない」

 

 そう、誘うと、ひとつ返事で了承してくる。


 洞穴の奥へと進む。


 「ねえ、私ね、彼を見つけたんだ」


 洞穴の奥、もう頭だけになった彼がそこにいた。


 「なっ、春人じゃねーか、連れ帰って、墓にいれてやらなきゃ」


 そう言いながら春人の首を持とうとした男の後頭部へと、私はピッケルを振り下ろした。


 「あんたが殺したくせに」


 何度もこの山を登り、やっと春人を見つけた時、春人は信じられないくらい綺麗なまま、凍っていた。

 私は彼と山を降りたくて、この洞穴から彼を解体しては連れ帰った。

 そして、彼が死に際に書いたメモを見つけたんだ。

 あの男に背中を押されて滑落し、なんとかこの洞穴に辿り着いたものの、足を痛めて動けなくなったと書いてあった。


 君の首を持ち帰る。保冷環境を整えた彼専用の地下室に縫合を終えた躰が待っている。


 「仕返しは終わったよ。やっとこれからはずっと一緒にいられるね」



感想お待ちしてますщ(゜д゜щ)カモーン

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― 新着の感想 ―
[良い点] メモ書きを証拠物件として警察に通報し、山岳救助隊の手を借りて死体を麓へ運ぶ。 そうした法に則った解決手段を取らなかった所に、春人さんに対する真弓さんの思いの強さが感じられますね。 メモ書き…
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