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『始皇帝、西方よりの速記者を捕らえること』

作者: 成城速記部

昔、秦の始皇帝のころ、西方から、速記者が渡ってきた。目通りをお許しになられたものの、始皇帝は大変にあやしまれて、速記者とは何者だ、何をしにやってきたのだ、と尋ねると、速記者は、はるか西方から速記を伝えにやってまいりました、と答えた。始皇帝は、速記とはそもそも何だ。お前の格好はとても奇妙だ。赤い帽子をかぶり、黄色の背嚢を背負い、長い木の棒を持っている(※1)。このまま帰らせるわけにはいかない。牢に入れよ。今後、同じような者が我が国内に入ったら、必ず捕らえよ。この者は深く閉じ込めておけ、と、わざわざ宣旨を下された。

牢の長官は、宣旨に従い、重罪の者用の国に収監した。扉に鎖を縦と横にかける(※2)厳重ぶりであった。速記者は、西方の神々や諸仏に、我を助けたまえ、と念ずると、広目天が、右手にプレスマン、左手に原文帳を持った姿で、黄金の光をまとって空から飛んであらわれ、牢の扉を蹴破って、この速記者を抱えて飛び去っていった。このとき、同じ牢から多くの者が逃げたという。

牢の長官が、このときの様子を始皇帝に報告すると、始皇帝は、ひどく恐れなさったという。



教訓:結局、秦に速記は伝えられず、そのことが、真の滅亡を早めたという説もある。



※1:なぜかこの部分だけ詳細に語られているのは奇妙である。偶然の一致とは思われるが、『MOTHER2』という有名なゲームの主人公が、ここで描写されているのと全く同じ格好をしているのは、このゲームの主人公が、速記者であることを示唆している可能性があるが、横縞の服を着ているところまで語られていないので、偶然の一致ととる研究者が多い。

※2:鎖を縦と横にかけると、「田」の字になると見て、「田鎖」を示唆しているのではないかと見る研究者もいるが、始皇帝の時代と、日本の速記を創始した田鎖綱紀の時代は、二千年以上離れており、偶然と見るべきである。タイムリープ説を唱える者もいるが、ちゃんちゃらおかしい。

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