9 それはまるで経験値のような
怪物の体に浮かんでる点。
それが弱点なのは確かだ。
直観的にそう思ったし、実際そこは簡単に突き刺す事ができた。
しかし、なんでそれが見えるようになったのかは分からない。
「まあ、いいか」
あまり深く考えずに納得していく。
理由や原因はわからない。
だが、見えるようになってるのだ。
事実は事実として受け止めていく。
だいたい、原因不明の事態なぞ、もう珍しくもない。
人間や死体がが怪物に化けてるのだ。
おかしな事が起こるのはもう当たり前だ。
それよりも有利な事が増えたのだ
素直に喜んだ方が良い。
相手の急所や狙い目が分かるようになったのだ。
怪物と戦う際には役に立つ。
おかげでその後の戦闘でも勝つことが出来た。
他の階からやって来る怪物はまだいた。
それらも簡単に倒すことが出来た。
そうしていて分かったのだが、倒すごとに点の精度があがっていく。
見てるヒロキの判断力が上がってる。
最初は点を見てもそこが弱点と分かるだけだった。
しかし、何度も怪物を倒してるうちに、どう攻撃すればいいのかも分かるようになる。
突き刺すのか、切るのか。
どの角度から攻撃を加えればいいのか。
そんな事も分かるようになっていく。
更に、怪物の攻撃。
動きが事前にある程度分かるようになる。
相手の攻撃がどこに来るのか、その位置が見えるようになった。
それを見れば避ける事もできる。
相手の攻撃を掻い潜って懐に入る事もできる。
そうなれば、簡単に急所を狙うことができる。
まるでRPGだった。
怪物を倒して経験値を手に入れる。
それでレベルアップ、能力が高まっていく。
そうなってるような気がした。
そうでも無ければ、いきなり急所が見えるようなった説明がつかない。
相手の動きが分かるようになった理由がつかない。
「本当にどうなってんだか」
怪物があらわれ、それと戦い、不思議な能力に目覚める。
凄い日だと思った。
ブラック企業の連中に報復しようしたら、それ以上にとんでもない事になった。
なかなかに濃密な一日だ。
しかも、まだ昼にもなってない。
さて、どうするかと考える。
怪物がいる以上、危険はそこらにある。
それらをどう掻い潜っていくか。
どうやって倒していくか。
生き残るためにはこれらを考えていかねばならない。
変わってしまったこの世界と向き合っていかねばならない。