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光り輝く空の下 ~人が怪物にかわっていく世界の中で、目覚めた超能力を使って戦い生き残る~  作者: よぎそーと
2章

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33 呼びかけ、彼方から来たもの

「それで、地球への呼びかけも行われる事になったんです」

 ヒロキの懸念をよそに、話は続く。

 まずは聞くだけ聞かないと、と耳を傾けていく。



 研究そのものは問題なく続いていった。

 個人の能力開発も、それ以外のものも。



 超能力の開発だけが研究目的ではない。

 個人の能力に頼らない、機械や機材による地球の波動の読みとり。

 これも進められていった。

 互いに影響を与え合うので、どちらか片方だけにするわけにもいかなかったのだ。



 おかげで、地球からの波動、大地の声ともいうべきものの検出は可能となっていった。

 まだはっきりとしたものではなかったが。

 そして、受信がある程度の成果を見せた頃、もう一つの実験が開始されていった。

 地球への呼びかけだ。



 とはいっても、簡単に効果が出るとは誰も思ってなかった。

 人間からすればどれだけ意識の力を高出力にしても、地球からすれば微々たるものだ。

 大きな影響があるとは誰も考えてなかった。

 それでも、多少の変化はあるかもしれない。

 その時の波長の変化を観測出来れば、今後に活かせるのではないかという期待。

 誰もがその程度の成果しか考えていなかった。

 それが限界だと思っていた。



「けど、予想外に良い結果が出て来まして」

 実験は大成功だった。

 超能力を発動していた者達。

 その意識を増幅する機械。

 これらの組み合わせは地球に大きな影響を与えた。



 たしかに全体からすれば微々たるものだ。

 与えた影響は高がしれている。

 しかし、それも全体からすればの話だ。



 人類からすれば、それは想定外の大きな影響になった。

 実験に参加していた者達にも予想外だった。

 運が良かったのか悪かったのか。

 その時の実験では連鎖反応が起きた。



 人間側からの働きかけ。

 それが地球側に届いた。

 呼びかけに返事があった。

 とはいっても、それは地球が意識を向けたというわけではない。



 誰かに呼ばれた気がして振り向いた。

 言ってしまえばその程度の事だったのかもしれない。

 だが、確かに地球は反応をしてきた。

 それだけで世の中に多大な影響をもたらすほどに。



 地球のあらゆる活動が活性化した。

 あくまで若干という程度だったが。

 それでも環境を変化させるには充分だった。

 空にオーロラがあらわれたのもこれが原因だ。

 地磁気が活性化したからだ。



 それだけではない。

 いうなれば次元そのものにも影響があった。

 世界の壁とでも表現すれば良いのだろうか。

 その向こう側から怪物が地上にやってくるようになった。



 精神体ともいうべきそれらは、呼びかけによってうごめいた壁を越えてきた。

 一時的に隙間が出来て、そこからこちら側の世界に入り込めるようになった。

 そうしてやってきた精神体は、自分に似た人間のところへと向かっていった。



「波長が合ってる人間にとりついていったんです」

 人はそれぞれ独自の波長を持っている。

 脳波に鼓動、様々な動きを持っている。

 それらが似通ってるところに、次元の壁の向こうにいた者達は向かっていった。



 そうして取り憑いた者達と融合。

 精神体に似通った姿になっていった。

「それが人間が怪物になっていった理由」

 何の事は無い、あの日次元の壁が壊れたのだ。

 そして、人の姿を失う者達が出てきた。



 もっとも、ヒサトモはそれを乗っ取られたとは言わない。

 確かに精神体と融合し、本来の自我や意識は消えた。

 だけど、完全に消滅したわけではない。

 精神体と混じり合って今の存続し続けている。



 それに、人間性が変わったわけではない。

 もともと似たような波長のものが一つになっただけだ。

 本来の人格や人間性、性格に行動原理などはそのまま残ってる。

 それがより強く出てるだけ。

 暴れ回ってる者がいるとしたら、それは元々そういう性質だったというしかない。

「本性があらわれたと言った方が良いかも」

 呆れるようにヒサトモは言う。



「これが理由ですよ。

 世界がこうなってる」

「なんとまあ……」

「…………」

「はて、さて……」

 話を聞き終えたヒロキ達は何とも言えなくなる。

 嘘では無いだろうが、受け入れるのに時間がかかりそうだった。

 だが、拒絶も否定もしない。

 信じられなくても、嘘だというわけにはいかない。

 否定するだけの材料がないのだから。



 何より、否定から始めてもしょうがない。

 すぐに認めるのもどうかというものだが。

 まずは本当かどうかを確かめねばならない。

 それは疑うという事でもない。

 慎重というものだ。



 話を聞いたヒロキ達三人は、そういう事なのかととりあえず受け入れる。

 事実かどうかは分からないが、それはこれから調べる事にして。



「けど」

 それでもヒロキは気になる事があった。

「それで、俺達に何かしろって?

 こんな風になったのをどうにかしろと?」

 そんな大それた事をしなくてはならないのかと思った。

 さすがにそれは荷が重すぎる。



「まさか」

 ヒサトモは首を横にふった。

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