27 気にはなるが積極的に探すつもりもない、面倒が増えるだけだから
怪物があらわれて三日。
ヒロキは相変わらず物資集めを続けていた。
生きていく為に必用なので手を抜いたりはしない。
会社はだんだんと倉庫状態になっていった。
これからいっそ、大型店舗を拠点にした方が良いのではとすら思う。
スーパーにホームセンターなどなら、商品が転がってる。
そこを確保した方が運搬の手間が省ける。
だが、それだと人がやってきた時の対処が面倒になる。
勝手に独占してるとなれば、攻めこまれる可能性もある。
そうならないようにするには、やはり少しずつでも持ち出した方が良い。
「面倒だな」
人間関係というのは、とかく鬱陶しい。
ただ、気になる事がある。
この三日で人や怪物に遭遇してないのだ。
すれ違ったり人影を見たりという事もない。
物を集めるのにあちこち出歩いてるのにだ。
「どうなってんだ」
理由がさっぱり分からない。
テレビやラジオがないので状況が分からない。
携帯電話でネットを見て、特に情報が更新された形跡はない。
世間の状態が分からない。
知りたければ自分で調べるしかなかった。
人がいる場所を探して動き回るしかない。
だが、そこまでするつもりはなかった。
人も怪物もいなくて構わないとヒロキは考えてる。
人恋しいという気持ちはないし、怪物となど遭遇したくもない。
いればいたで鬱陶しく面倒な事が発生する。
ならば、一人でいた方がマシというもの。
無理して集団を作る必要もない。
第一、そんな事したら、食糧などが足りなくなる。
よほど有意義な人物でもない限り、人と一緒にいたいとは思わなかった。
ただ、人も怪物もどこに消えたのか。
それだけは気になる。
何か悪い事が起こってるのではないかと心配する。
他の者達の事を気づかってるわけではない。
それらがいずれ自分に悪い影響をもたらすのではないかと考えてるだけだ。
そんなヒロキは翌日、『直観』がはたらくのを感じた。
寝起きしてる会社からそう離れてない場所。
そこに行くべきだと。
何故なのかは分からない。
だが、『直観』が示してくれる。
そこに行った方が良いと。
だからそれに従った。
「あらまあ」
直観が示す場所。
その手前で足を止め、双眼鏡を使う。
拡大された風景の中に、人がいる。
男が三人。
見たこともない連中だ。




