18 何はなくとも、他をさしておいても、レベルを上げねばならぬ
「しかし……」
手に入れてしまった鑑定能力。
それによって分かったこと。
なかなかに大きな話で、すぐに理解は出来ない。
とりあえず頭の中に置いておくに留める。
理解できないことをすぐに消化吸収しようとしてはいけない。
食べるのと同じで、しっかりとかみ砕いてから体内にとりこまねばならない。
そして、時間をかけて消化して吸収する。
情報も同じだ。
頭の処理能力や容量を超えるなら、すぐには手を出さない。
いずれ理解できる時が来るまで放っておく。
ヒロキの経験上、なんだかんだでこれが一番だ。
今の自分に分からない事は、いずれ分かるまで放っておく。
そうしていたら、ある日なんの前触れもなく分かる瞬間も訪れる……かもしれない。
実際、時間をおけば分かる事もあった。
いきなり、前触れもなく答えが出て来る事があった。
そうなるように今は願って、とりあえず放置しておく。
「それよりも」
まずはやらなければならない事がある。
「レベル、上げないと」
目下のところ、これが一番必要な事になってきた。
『鑑定』の精度を上げるために。
『直観』や『探知・察知』の成功率を上げるために。
全てはレベルの上昇にかかってる。
レベルが足りないから分からないこと、鑑定出来ないことがある。
他の能力もおそらく同じだろう。
レベルが足りないから出来ないことがある。
レベルが上がれば見えてくるものもある。
だからレベルを上げねばならない。
その為には怪物を倒さないといけない。
「どうせやらなきゃらならいし……」
気は進まない。
命の危険と向かい合う事になる。
怪物を相手にしなくてはならないのだ。
だが、どのみち戦わねばならない。
周りに大量に発生してるのだ。
遭遇すれば確実に襲ってくる。
そして、遭遇する可能性は高い。
生き残るためには、戦って勝たねばならない。
「ついでだ」
生き残るついでに、経験値を手にいれる。
経験値を手に入れレベル上げを狙いつつ、生き残りをはかる。
必要な事をこなせば、ついでに別の大事な事も達成できる。
そう自分に言い聞かせて行動に出ていく。
「……頑張るぞー」
自分に言い聞かせるように気合いを入れながら。
幸い、持ってる能力で怪物の位置などは予想がつく。
それをもとに、どう動いていくかを考える。
出来る限り危険を避けて。
出来る限り安全に怪物を倒せるように。
そんな都合の良い事を考えながら。




