17 鑑定によって分かってくる事実
相手の弱点が分かる。
どういう動きをすれば良いのか分かる。
自分や相手のレベルが分かる。
『鑑定』はこれを可能にする。
いつの間にかヒロキはそんな能力を身につけていた。
どこで、どうやってなのかは分からない。
その疑問は鑑定能力によって判明する。
『星の命脈の活性化によって覚醒』
それがヒロキに影響を与えたようだ。
だとして、星の命脈とは何なのか?
何時発生したのか?
どのように影響を与えたのか?
疑問が次々にわいてくる。
『地球の持つ生命反応』
それが星の命脈というものだという。
『本日、9時24分』
出社からしばらく経った頃だ。
周りの人間が怪物化したあたりだと思い当たる。
『地球上に存在する全ての存在に影響』
かなり広範囲に影響を及ぼしてる。
『以上、現時点の能力で分かる事』
より詳しい情報が欲しかったが、それはこの言葉で阻まれた。
どういう事なのかと聞くと、『レベル不足』という。
鑑定能力の範囲はレベルの大きさによるのが分かった。
『鑑定』の効果も分かっていく。
内容を細かく見ると、次のような事が見栄tえくる。
『レベル鑑定』
『弱点看破』
『行動予測』
こういった事が『鑑定』の中に含まれてる。
怪物の体の上に浮かんでいた点が弱点。
直後の動きがどうなるかが分かったのが行動予測。
そして、自分や怪物に浮かんだ数値がレベル。
鑑定能力でこれらが分かるようだ。
また、鑑定の一種というか。
より大きな枠組みなのか、別の能力も備わっていた。
『直観』
『探知・察知』
鑑定に似てるというか近いというか。
そんな能力もヒロキは持っていた。
『直観』は智慧や考察によらない正解を選び取る能力。
原理や原因がわかってなくても、何となく良い方向を選び取る事ができる。
怪物の攻撃を避けたり当てたり出来たのもこれのおかげだ。
『探知・察知』も似たようなものだ。
ただ、こちらは見聞きした事をもとにしてる。
その場に存在するものを見聞きして、違和感などに気付けるようになる。
直観や未来予知、相手の考えや気持ちを読み取るといった事ではない。
だが、事前に危険や問題に気付ける可能性が増える。
直観とは違った意味で、攻撃や回避の成功にも結びつく。
思いがけず色々な事ができるようになっていた。
そう思えば、確かに色々な事が事前に分かったりしていた。
鑑定ではっきりする前にも、これらは備わっていたのだろう。
「レベルが上がれば、もっと出来ることは増えるのか?」
レベルによって効果が変わると言っている
ならば、これからレベルが上がれば更に強化されるのか?
気になるところだった。
『より多くの事が判明するようになる』
答えは明快だった。
ただ、何が出来るようになるかまでは教えてくれない。
それはレベルが上がるまで分からないのだろう。
ただ、『現時点では不明』という答えだけが出てきた。
「レベルを上げる方法は?」
『怪物を倒す』
これまた端的に答えが出てきた。
『星の命脈の影響でも、徐々にレベルは上がる』
予想外の答えも得ることが出来た。
全ては星の命脈によるものだという。
地球の生命活動、それがヒロキ達に影響をもたらしてる。
「なんでまた、そんな事に?」
訳が分からなかった。
なぜ地球の生命反応が大きくなったのか?
それについて鑑定能力は、
『不明』
とだけ答えた。
本当に分からないのか、レベルが足りないのか。
どちらか分からないが、今のところ原因はわからない。
起こってしまった事実を告げるにとどまる。
どちらにせよ、今の段階では謎のまま。
答えはどこにもないのは確かだった。
「その星の命脈ってのは、あのオーロラと関係あるのか?」
普通では見られない現象も鑑定する。
『星の命脈による影響の一つ。
地磁気が強力になってる』
原因では無く、結果の一つという事らしい。
それだけの影響を星の命脈はもってるのも分かった。
分かったところでどうにもならなかったが。
「なんでまた……」
こうなってしまったのか、という思いが口から出る。
鑑定である程度答えを得たが、謎はますます深まった。
最も重要な答えは決して出てこないのだから。




